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2025-01-18

【相撲編集部が選ぶ初場所7日目の一番】豊昇龍が全勝の王鵬に圧勝。再び「横綱への道」を視界に⁉

今場所好調な相手を、力強さとスピードともに圧倒。王鵬に土をつけてまず1人を1敗に引きずり降ろした豊昇龍。再び横綱ロードが見えてきた⁉

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豊昇龍(送り倒し)王鵬

力強さも、スピードも、やはり一枚上だった。
 
豊昇龍が、ここまで全勝できていた王鵬に圧勝。まずは自力で前を行っていた力を一人、引きずり降ろした。

優勝争いの上では、場所前半最大のヤマ場となる一番。仕切りの段階から、大関はいつもにも増して気合が載っているように見えた。
 
立ち合いは、きのうに続いて、このところいい流れをもたらしている突っ張りを選択。文句なしのスピードと角度で突きあげて、押し相撲の王鵬に対して先手を取った。いったん東土俵に攻め込み、王鵬が押し返してくるところを、今度は腕を手繰って右から突いて崩す手順通りの攻め。スピードを生かして相手の横についた。王鵬も何とか相手の左腕を取って体勢を立て直そうとしたが、豊昇龍はそれを許さず。廻しに手を掛けながら相手の右腰につき、そのまま送り倒し。倒した後も〝どうだ!〟と言わんばかりの気合の入った表情で相手を見下ろした。

「相手のペースとか考えずに、自分の相撲を取るという気持ちで出ました」と豊昇龍。今場所覚醒した感もあった大横綱の孫に、大関の力を見せつけた。

「気合が入っていた」と記者に聞かれ、「気合を入れないと相撲を取れない。しっかり集中して相撲を取りました」という一方で、「(後ろについてからも)急いで攻める必要はない。落ちる可能性もあるから」と冷静さも。気持ちもいいバランスのところにあるようだ。

一方、「(大関は)速かったですね、(力が)伝わる前にイナされていた。もうちょっと立ち合いでとらえていれば、流れが変わっていたのでは……」と王鵬。豊昇龍とは同じ学年で高校時代からのライバル。それだけに相手が番付で上であっても気後れはなく、これまでの対戦成績も3勝2敗とリードしていた。今場所はさらに好調だけに期待されたが、豊昇龍の今場所は、それを上回る充実度だった、ということか。

王鵬はこの日勝っていれば優勝候補の最右翼に躍り出ていたところだったが、そのチャンスを逸した。とはいえ、あすの琴櫻戦が終われば、三役との対戦は完了。序盤に比べるとやや勢いが落ちてきている感もあるが、まだまだ優勝争いを展開していける可能性は十分だ。それができるようなら、初の三賞、さらには新三役へと夢が広がっていくだけに、場所の後半も前半同様の頑張りを見せてもらいたいところだ。
 
この結果、7日目を終わって、全勝は平幕の千代翔馬、金峰山の2人、1敗で豊昇龍、王鵬、玉鷲、尊富士の4人が追う形となった。千代翔馬と金峰山は、それぞれ痛めていた腰(千代翔馬)と首(金峰山)の具合がよくなって、これまでとは見違えるような動きを見せており、今後上位と当てられても意外に星を崩さない可能性も秘めてはいるが、やはり番付と過去の経験から考えて、豊昇龍がV候補本命、というところは間違いないだろう。
 
豊昇龍の目には、前を行く走者2人の背中も、そして5日目時点では少し見えにくくなっていた横綱への道も、再びはっきり見えてきたはずだ。

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