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2018-09-19

【System of Arthur Lydiard vol.3】中年太りの心臓病患者20人、32㎞走破までの8カ月間に何が?

無理して速く走る必要なし!

 さあ今日から走り始めよう! と思っているあなたも必見です。リディアードは、中年太りの20人の心臓病患者に対して、どのようなトレーニングを課したのかを見ていきましょう。

 第一歩として、15分間継続して走れるようになることを目指します。15分間走れたら、そこから強弱をつけて、「ハード/イージー」のコンセプトを守るようにします。リディアードの場合、15分ゆっくりを2日間続け、3日目に20~30分の継続走(ハード)をするようにしました。続く2日間はまた15分に戻り、ゆっくりと(イージー)、6日目にまた20~30分走ります(表1)。

 ここで一番大事なことは、速く走ろうとする誘惑を抑制すること! この段階では、継続して走れる「時間」を延ばしていくことが大切なのです。ランをストップさせるのは「スピード」です。それよりもスピードを落として、継続して走れる総時間を延ばすことに集中します。

 皆さん、「有酸素/無酸素」という単語を聞いたことがあると思います。有酸素能力の最も重要な要素となる、毛細血管の発達とミトコンドリアの数をより効果的に増加させるトレーニングとは、「強度」ではなく「継続時間」に比例する、ということがわかっています。リディアードは、これを「筋持久力」と呼んでいました。この筋持久力の発達こそが、将来のためのより大きな受け皿を築き上げる第一歩となるのです。

 30分を快適に走れるようになったら、次には45分を目指します。ロング・ランが45分になっても、この段階ではまだ中2日間は15分に戻ります。この「ロング・ラン」によって、スタミナがみなぎってくるのを感じられるようになるはずです。ここまで来ると、スケジュールにバラエティーを加え、例えば週末の一番長いランを1時間、週の中間ロング・ランを45分、その間のリカバリーを15分と20分というパターンにします(表2)。このうちの20分走の1つを、スピード・プレイ、ファルトレクにするのもいいでしょう。


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