5・20後楽園で旗揚げする話題の女子プロレス新団体「マリーゴールド」のエース、ジュリアがホスト役となり、所属選手とトークバトルをおこなう特別企画の第3弾ゲストは“女子プロ界の人間国宝”高橋奈七永。「そう遠くない日」の引退を見据えるベテランは、しかしリングを降りるその時まで高橋奈七永を貫くという。そんなレジェンドをリスペクトするジュリアは、自身を含むマリーゴールド所属全メンバーで更なる成長を遂げ、業界ナンバーワン女子プロレス団体になると誓う。アルコールを入れながら、ざっくばらんに語り合ったジュリア×奈七永トークバトル60分1本勝負の後編をお届けします!
ジュリア「7人で集合写真を撮った時、センターじゃなくて端っこにいた自分が悔しかったって。引退を見据えてこの団体に来たと言いながら、悔しいって言える奈七永さんはホントにプロレスラーなんだなって。引退するその日まできっと奈七永さんなんだなって思って」
奈七永「だって、そう思わなきゃリングで闘う意味ないじゃん」
ジュリア「その通りだと思います。でも、引退するからってどこか遠慮してしまう人、見てきたので。だから奈七永さんのインタビュー読んですごい嬉しかった」
奈七永「正直言うと、あんなふうに考える私は、もう古いんだろうなって思ってたんだよね」
ジュリア「いいじゃないですか! 昭和に生まれたプロレスは、力道山先生が戦後の日本の生きる力になり、みんなに勇気を与えてきて…その根っこの部分って令和になっても変わってないと思うんですよ。例えばウナギ屋さんだって開業100年みたいな老舗は日々ウナギを焼き、秘伝のタレをつぎ足しつぎ足し使っている。その歴史があるから私たちはおいしいウナギが食べれるし、そこに現代ふうにアレンジしたタレをかけても別物になると思うんです。小ぎれいなレストランもいいけど、古くて歴史を感じるお店で山椒をかけて食べるからよりおいしく感じる。プロレスだって、そういうのが必要だと思う」
――古いというより、歴史を積み重ねるイメージですかね。まして奈七永さんは全日本女子プロレスを体感していて、いまもっとも新しい団体マリーゴールドに所属。歴史と現在の両方を知る貴重な存在です。
奈七永「小川さんも昭和は終わらせないって言ってたもんね。ていうか、いまもそうだし、ミーティングとかでも思ったんだけど、ジュリアってめっちゃアツいよね。前はそういうのわからなかったけど」
ジュリア「ラテン系の血が流れてるので!情熱の国イタリア、私もパッションなんです!」
奈七永「ホントだ!パッション!」
――奈七永さんにとって、ジュリアさんのアツさは予想外な感じだったんですか?
奈七永「うん。私はわからなかった。でもそういう人がいるっていうのは頼もしいですよね」
ジュリア「ありがとうございます。パッション!」
奈七永「さっき話題に出た週プロの撮影の立ち位置もそうなんだけど、ずっと自分が引っ張る立場でやってきた。それも幸せなことなんだけど、キャリアを重ねたいま、自分がここにいるの、ぶっちゃけ不思議な感じはするんですよ。だけど、同じ場所にジュリアっていう現代を代表するレスラーも一緒にいる。私にとっても刺激になるよ、めっちゃ」
ジュリア「でも、意外だったのは奈七永さん、練習のとき割と気を使ってますよね?」
奈七永「使った(苦笑)。どこまで追い込んでいいかまだわからないしね」
ジュリア「昭和式じゃないけど、根性論でガンガンやらせるイメージがありました」
奈七永「そういう時もありましたよ。でも、ある程度時代にアジャストしていかなきゃいけないじゃん。個人の段階をしっかり見極めなきゃいけないし」
――初期スターダムでは厳しく指導していたと聞きます。
奈七永「厳しかったですよ。自分に対してもものすごく厳しく課してたし、プロとはなんぞや、というものを自分が伝える役目だと思ってたから」
ジュリア「でもナメられたくもない、って気持ちもありますよね?」
奈七永「ある。どっちもある」
ジュリア「そこは自分と奈七永さんでバランス取れたらなって。自分が言ったら角が立つことでも、奈七永さんが言ったら聞かざるを得ないようなこともあるだろうし、説得力というか」
――練習を教えるにしても、スターダム出身、アクトレス出身、アイスリボン出身とそれぞれ出自が違うから大変じゃないんですか?
奈七永「でも そこはあんまり関係ないかな。一回ゼロにしないといけないとは思うけど。最初は(練習に)ついてこれなかったり未経験だとしても、やる気を出してまじめに取り組めばグーンと伸びたりする人もいるから。コイツにだけは絶対負けたくない!みたいな気持ちでもいいと思うし。仲悪くなれって言うんじゃなくて、ライバルになってくれればね」
ジュリア「そうですね。この前出た旗揚げ戦のポスターを見て、石川が『何故』ってつぶやいていて。それも含めて、新しいライバル関係が始まるのもこれからですね」
――アクトレス勢、具体的に言えば青野未来選手におそらく自分が配置されたであろう場所を奪われ、彼女は右端最後列に回された。悔しい思いがあったんじゃないですか?
奈七永「でもあれがロッシー小川だよ」
ジュリア「でたでた、と思いました(笑)。青野未来はアクトレスでもトップを張って、ベルトも巻いて、キャリアや実績いろんな意味を含めてあの配置になったんだろう。石川本人にも、聞いてみたい」
――次回のゲストが決まりましたね!
ジュリア「吐き出させましょう」
――レスラーにとって一番大事なのはリング上です。ただ、そこに至る過程でいかに盛り上げ、注目を集めるかもレスラーの腕と言えますからね。何もなかった石川さんと青野さんの絡みに少なくとも僕は興味を抱きましたよ!
ジュリア「ポスターひとつでこれからどんな関係になっていくのか、石川次第でもある。この先が楽しみだよ」
――そういえば奈七永さんは弓月選手に対戦表明されてましたよね?
奈七永「やりたいって言われたら、私は逃げないですよ」
ジュリア「おー。あの子もなかなかブッ飛んでました、頭のネジが外れてる」
奈七永「弓月のパッションを注入してもらおうかな(ニヤリ)。私、スターダムの時も旗揚げ戦第1試合だったんだよね」
――2011年1・23新木場のスターダム旗揚げ戦第1試合は、奈七永さんと愛川ゆず季さんとのタッグ戦でした。
奈七永「どうなるかわからないけど、私と弓月の試合からマリーゴールドが始まったらおもしろいよね。(対戦するとなったら)もう全部、持ってるもの全部をぶつけてもらいたい。それは全部受け止めるから。その上でまだまだだよっていうものを見せたい。見せれる自分でいたい」
――第1試合からマリーゴールドのセンターにまで這い上がると。
奈七永「納得して、それを受け入れちゃったら終わりだから」
ジュリア「それをストレートに言葉にするところがめっちゃかっこいい。プライドが邪魔して、言えないじゃないですか」
奈七永「プライドが邪魔しちゃうとなんか損じゃん。一番ムダ」
ジュリア「はい。でもプライドがなかなか捨てられない時も…正直ある。こういう人だからマリーゴールドにいてくれて、ホントありがたい」
――そんな奈七永さんとジュリアさんが闘う日もいつかくると思います。
奈七永「やりたいし、タッグを組むのもいいよね」
ジュリア「私もです! スターダムの時も奈七永さんと試合したいし、組んでもみたいってってずっと言ってきたので」
――「お騒がせ症候群」でも2024年闘い相手としてSareeeさん、山下りなさん、そして奈七永さんの名前をあげていました!
ジュリア「そうそう」
――ただ、奈七永さんは引退を視野にいれていて、それは「そう遠くない時」だと。
奈七永「そうですね。(引退の明確な時期は)わかんないけど、やれる時にやんなきゃいけないね」
ジュリア「いつやりますか!?」
奈七永「え、いつ?」
ジュリア「はい。ジュリ番、いつ見たい?」
――じゃあ2度目の後楽園(6・11)とか? 適当に言ってますが…!
ジュリア「じゃあ6・11だな!」
――そんな適当に…いつ実現するかわかりませんが、せっかくジュリアvs奈七永が実現するなら勝負論のあるカードがいいですよね! シングルとか、誰が負けるか読めないタッグとか。
ジュリア「見てくれる人がワクワクするシチュエーションで私もやりたい。いろいろ浮かぶね」
――あらためてですけど、マリーゴールドをどんな団体にしていきたいですか?
奈七永「この前の週プロのインタビューでも言ったけど、心に届くプロレス、心を打つプロレスを見せられる団体にしたい。それが使命な気がする。だって、みんなさ、スターダムとかアクトレスガールズとかを辞めてまできてるわけじゃん。その覚悟ってすごいと思うし、だからこそもっと届かせるべきだと思う」
――インタビューではスターダム時代のジュリアさん、詩美さんたちの試合も奈七永さんの心には響かなかったと。
ジュリア「正直でよろしい!」
奈七永「アハハ!」
ジュリア「それが率直な感想ってことですから。足りないものがまだまだあるってこと。ファン時代に私は高橋奈七永vs田中将斗戦を見て、間違いなく心を打たれた。キャリア7年経って、原点みたいなものに触れる機会って少なくなってきたなって。そして、さっき奈七永さんが言ってた邪魔なプライドもそうだけど、カッコよくいなきゃって自分も確かにいる。そんなの要らないなって。今日奈七永さんと話をして、素直に思いました。なんか燃えますね」
奈七永「そう言ってくれるのは私もうれしい」
ジュリア「奈七永さんの前じゃウソはつけないし、ウソついても見透かされると思うんです。私ももちろんだけど、奈七永さんが現役でマリーゴールドにたずわさってくれてるうちに、みんな体感したほうがいい、高橋奈七永を」
――後輩たちが向かって来たら惜しげなく高橋奈七永をぶつけますか?
奈七永「いや、そんなことはない」
――…え?
奈七永「変な意味じゃなくて、その子の段階によって受け取れるレベルがあると思うから。デビュー間もない相手に全部をぶつけたって、まったく意味が分からないと思うから」
ジュリア「合同練習の時もついてこれなかったら、途中で抜けてって言ってますもんね」
――根性を出して、がんばるのが良しとされそうですが?
奈七永「私は『いいから抜けて』って言う。無理して倒れたりしても困るし。根性はあるに越したことはないけど、必要じゃない時もあると思ってるから」
ジュリア「もともとそういう考えでしたか?」
奈七永「もともとは違う。やれよ! 根性みせろよ!っていう感じだったけど、プロレスラーとしてキャリアを積んで、人間としても経験を積んできて、人の痛みがわかるようになったのかも(笑)。でも、伝えられるものは伝えたいですよ」
ジュリア「よし、奈七永さん、座学もやりましょう。座学を」
奈七永「プロレスの?」
ジュリア「はい。プロレスに対する思考って人それぞれ違う。それは当たり前だし、みんながみんな言うこと聞けとも思わない。だけど、最低ラインの共通言語を作ってかなきゃいけないじゃんって思って」
奈七永「みんなバラバラなとこから来てるしね」
ジュリア「共通言語があれば、統率は取れるかなと」
――座学は面白いかもしれませんね! いろいろ考えてるジュリアさんと奈七永さんがいるマリーゴールド、せっかく旗揚げする以上、業界トップを目指したいところです!
ジュリア「負けたくないよね、いろんなものに。そのために私もがんばるし、奈七永さんにも頑張ってもらうし!ね!ほかのメンバーもみんなで、もっともっと成長して」
奈七永「よし、じゃあお互いのいいところを言い合おう!」
ジュリア「えー!」
奈七永「真っすぐでアツい!」
――この対談を通して、奈七永さんへのジュリアさんの思いはもう十分伝わってる気が…(苦笑)。
ジュリア「たくさん言ったのに(笑)!でも、やっぱり自分を貫く強さを持っているところがすごくかっこいい」
奈七永「お、嬉しい」
ジュリア「引退を見据えたいまでも、上を目指し続けてるところもレスラーとしてマジで最高だなと思うし」
奈七永「ありがとう。でも、マリーゴールドのためにまだまだ頑張って、上を目指さなきゃだね」
ジュリア「はい! よろしくお願いします! ところで奈七永さん、ちょっとお話が…」
取材そっちのけで小1時間、2人で語り合っていたが、字にはできないことばかりだったのでジュリアvs奈七永、トークバトルはここまで。次回をお楽しみに!
【マリーゴールド大会スケジュール】
旗揚げ戦「Marigold Fields Forever」
★5月20日(月)東京・後楽園ホール(18:30)
「Marigold Grand Opening Wars 2024」
★5月26日(日)東京・新木場1stRING(12:00)
★5月26日(日)東京・新木場1stRING(18:00)
★6月1日(土)大阪・176BOX(13:00)
★6月2日(日)静岡・アクトシティ浜松(13:00)
★6月11日(火)東京・後楽園ホール(18:30)
★6月15日(土)京都・KBSホール(13:00)
★6月16日(日)愛知・名古屋国際会議場(13:00)
★6月23日(日)東京・新木場1stRING(18:00)
★6月29日(土)宮城・仙台PIT(13:00)
※大会の詳細・チケット情報は団体の公式サイトにて。
https://dsf-marigold.com/