close

2025-04-25

【サッカー】どんな時代になっても変わらない、「止める、蹴る」のスキル - RB大宮アルディージャU18の監督に聞いた、新時代のビルドアップとは(後編)

(Photo:土屋雅史)

全ての画像を見る
サッカークリニック5月号の特集は「進化するビルドアップとその指導」。
選手育成で高い評価を誇るRB大宮アルディージャのユースチームでは、ビルドアップの指導において、どんなアプローチをしているのか?大宮で、U12からU18までの全カテゴリーで監督やコーチを任され、2024年から再び、U18の監督を務めている丹野友輔に話を聞いた。
BBMsportsでは前後編に分け公開。後編ではビルドアップのポイント、進化について聞いている。

取材・構成/土屋雅史

(引用:『サッカークリニック 2025年5月号』-【特集】進化するビルドアップとその指導 PART2:新時代のビルドアップ-より)

「止める、蹴る」のスキルがないと、成立しない


自分が教えるやり方だけではく、いろんなやり方に対応できる選手になってほしいと語る監督(Photo:土屋雅史)

─ビルドアップする際のポイントは何でしょうか?


丹野 まずは、パス&コントロールやドリブルといった技術が重要です。ビルドアップについては、はまりそうになった際に、その状況を外せるか、そのままはまってしまうかで、全然変わってきます。「止める、蹴る」のスキルがないと、成立しないのがビルドアップ。ですから、そこをないがしろにしたまま、先に進むことはできません。

スキルがあった上で、自分のタイミングでボールに寄るのか離れるのか、あるいはファーストタッチのボールをどこに置くのか、どういう目線でボールを蹴るのか、グッと進入していく運ぶドリブルをどこで使うのか、そういう工夫を考えることが大切です。そういうことは、どんな時代になっても変わらないんじゃないかなと思います。

─ビルドアップの練習メニューをつくる上で、変化したことはありますか?

丹野 ビルドアップのトレーニングをすると、前に行かなくなるんですよ(笑)。ですから、そこを払拭するようなルールをつくることが大事。それこそ、長いボールを蹴ってもOKというのは、変わったところかもしれません。

昔は、そこをあまりルールに入れていなかったのですが、できるだけサッカーのルールに近づけながら、なおかつ、そのルールの中でこれをやったら得するという部分を理解させなければいけません。そこの理解がないと、基本的に、今の選手は積極的にはやらないと感じています。

「パスを何本つないでも1点にならないルールなのに、何本もつなぐ必要があるんですか?」と言われたら、こちらとしても、そうだよなと思います。リアリティーとクラリティーのバランスをどこまで保つかというところで、クラリティーのほうに寄りすぎると、何をやっているのかがわからなくなってしまいます。でも、リアリティーを追求しすぎると、フォーカスしたいものが薄まってしまうことがあると思います。バランス良く混ぜることが大切でしょう。もちろん、仕組みを知らなければいけないでしょうが、それが絶対だと思い込んで、それしかできなくなってしまうのは避けたいです。

今は自分がこのチームの監督をやっていますが、いろいろな監督がいて、いろいろなやり方があるので、それにちゃんと適応できる選手になってほしいです。サッカーがゴールを奪い合うスポーツである以上、基本的な優先順位は変わらないと考えます。基本的な考え方をちゃんと持つと同時に、枝葉のところで、いろいろな監督の考え方にうまく順応していくべきなのかなと思います。

【図】トレーニングメニューの紹介はこちら

─ビルドアップ自体は、進化していると感じますか?

丹野 どのチームも、ハイプレスに対して、どのようにアンチプレスするかを試行錯誤しています。プレスを外されたチームは、ミドルゾーンで構えるわけですが、中を閉められて、背後が消されたら、逆にサイドが空いてくるので、サイドをどのように攻略すればゴールまで行けるかという考え方に切り替わります。

何かの大会のリポートで、「守備時にミドルゾーンで構えるチームが増えてきているが、そこでクロスボールを上げ、それを決めきるチームが勝ち上がっている」という報告がありました。要は、ハイプレス対策がいろいろと考えられているので、そこは、進化していると言えば、進化していると思います。ただし、強いチームは何をやっても強いです。

本誌では#2としてFC町田ゼルビアユース監督にも聞いています!)


(Photo:J.LEAGUE)

丹野友輔(RB大宮アルディージャU18監督)
PROFILE
たんの・ゆうすけ/ 1983年6月17日生まれ、埼玉県出身。2002年に、志木高校から大宮アルディージャ(当時。以下同様)に加入した。04年の引退後、大宮のアカデミーで、あらゆる年代を指導。23年の高円宮杯全日本U-15サッカー選手権大会で、大宮U15を準優勝に導いたほか、数多くのアカデミー選手をトップチームに送り込んでいる

「【特集】進化するビルドアップとその指導」を掲載した「サッカークリニック2025年5月号」はこちらで購入

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事