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2025-05-14

【相撲編集部が選ぶ夏場所4日目の一番】大の里が王鵬との全勝対決に圧勝。豊昇龍が2敗目喫し、流れは新横綱誕生へ⁉

王鵬を押し出し、全勝対決を圧勝した大の里。しっかりした立ち合いの踏み込みで、新横綱誕生への流れを、着々と引き寄せているようだ

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大の里(押し出し)王鵬

注目の全勝対決は、綱取り大関の圧勝だった。
 
この日まで次々と上位陣を倒し3連勝、今場所、完全覚醒の感を漂わせる王鵬との撃突で、大の里が力を見せつけた。相手にほとんど攻めさせず、一気の押し出しだ。
 
過去の対戦では、3連勝の後、立ち合いの作戦をおっつけから突き起こしに変えた王鵬に、このところ連敗。どういう対策を練ってくるかが注目された大の里だが、これまでと同様に、右差し狙いで当たっていった。
 
取組後には「連敗している相手ですし、しっかり考えていきました」と語った大の里だが、きのうの阿炎戦でも、右差し狙いでしっかりと踏み込み、相手の強烈なノド輪攻めに耐える形を作っているだけに、この日も策を弄さず、同じ立ち合いを採用したところに、今場所のこの立ち合いへの手応えを得ていることがうかがわれる。
 
その右差し狙いは王鵬に突き放されてならず。しかし、「初日から体が動いてるので、上体を起こさないようにいきました」という大の里は、しっかり踏み込んで圧力を掛けることに成功、上体も起こされていないので、右が差せなくとも悪癖の叩きに出る必要は全くなかった。そのあとすぐに突いて出て、逆に王鵬の上体を起こすと、そのままの勢いで黒房下に押し出した。

「いつもは“右を差してから”というイメージがあったんですが、構わず出てきたので。速かったですね。僕自体はそんなに崩れてないと思ったんですけど、馬力がすごかった」と、敗れた王鵬は、綱取り大関の速さ、そして強さに舌を巻いた。
 
おそらくは前半戦で最大になるであろう難敵を倒した大の里は、もちろんこれで初日から4連勝。この日を終えて、全勝は大の里のほか、関脇大栄翔、平幕の伯桜鵬、遠藤、錦木の5人となった。
 
またこの日は、横綱豊昇龍が「しっかり当たっているから決まったと思います」という、阿炎の立ち合いのモロ手突きからの叩きに手をつき、きのうに続いて連敗、大の里とは星2つの差がついた。
 
優勝争いの状況としては、豊昇龍、琴櫻の他の横綱・大関陣は五分の星、全勝で並んでいる中には大栄翔、伯桜鵬と、過去に優勝あるいは優勝争いをした経験のある力士はいるが、まあそうはいってもどこまで大の里についてこられるか、という存在ではあるだろう。現在1敗の上位陣には、関脇霧島、小結若隆景、そして王鵬、尊富士と実力者がいるが、大の里にとっては、この日の王鵬同様、ここを一つひとつ退けていけば……、という状況にはなってきた。
 
まだ4日目を終わったところなので、いささか気が早い面はあるかもしれないが、形勢としては、新横綱誕生への流れは着々とできつつあると言えるだろう。
 
もちろんその状況を引き寄せたのは、大の里自身。「相手どうこうより、自分の相撲を。一番一番集中していこうと思いました」というこの日の気持ちを忘れず、自信を深める立ち合いの踏み込みを続けていければ、夢の実現はどんどん近づいてくるはずだ。

文=藤本泰祐

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