
新型コロナウイルスの感染が終息したわけではないが、サッカー界は元の姿を取り戻しつつある。タウンクラブもほとんどのところで活動を再開している。ここでは、アンダー世代の日本代表監督である森山佳郎氏に、指導者や選手がアフターコロナにやるべき取り組みのヒントを聞いた。
◎インタビューは5月中旬にビデオ会議システムを介して実施
取材・構成/川端暁彦
写真/佐藤博之、川端暁彦、BBM
出典:サッカークリニック2020年7月号
森山 2020年が始まったときには、誰も予想していなかった事態だと思います。私も今(5月中旬)は「ステイホーム」を続けているしかないという形です。
森山 不安がまずあるだろうと思います。「このままサッカーを続けていいのか」と思ってしまう子もいるかもしれません。特に、最終学年の選手たちのことは本当に心配ですよね。私がもし彼らの立場だったらと思うと……。
森山 日本の場合、最終学年で大きく飛躍する選手は本当に多いですからね。年代別日本代表監督という立場からしてもすごく残念なことです。実際に私は、3月から日本全国で行なわれるフェスティバルを回ろうと思って、スケジュールをびっしり組んでいました。きっとそこで、「こんな選手がいたのか!」という発見もできたと思うんです。選手側も、そのチャンスを虎視眈々とうかがっていたでしょうから、本当につらいです。
森山 こういうとき、指導者は選手たちにしっかり声を掛けてあげることはもちろんですが、双方向のコミュニケーションを意識することがまず大切だと思います。
森山 そうです。子供たちはきっと不安で悩んでいると思います。ただ重要なのは、不安になるのは当然ですし、悩むのも決して悪いことではないのです。
思い出すのは、私が大学の試験に受からず浪人していたときのことです。当時は毎日が不安で、「これから自分はどうなってしまうんだろうか。これでいいんだろうか」と悩んでばかりいました。しかし、そうやって不安に駆られた経験も、サッカーを続けることについて悩んだのも、今にして思えばすべてプラスなんです。
森山 そうだと思います。トレーニングや試合の中断が数週間程度のレベルであれば、肉体的なコンディショニングがまず大切だと思います。しかし、中断がこれだけ長引くと、メンタル的な部分のケアがより重要になります。できないことがある中で、それならば今の自分にできるのは何だろうと考えていくのが大切です。
森山 まずは「一人ではないのだ」と、みんなが感じて過ごすことじゃないでしょうか。オンラインでつながってトレーニングするといった試みを多くのチームがやっていますが、そういったものでも良いと思います。仲間と一緒にやるというだけで救われる選手もいます。指導者がそこで少し声を掛けてあげるだけでも選手側の気持ちはかなり変わると思います。
選手は指導者のことを本当によく見ていますし、ウソはすぐに見抜かれてしまいます。だから、素直なコミュニケーションでいいと思います。例えば、みんなで腕立て伏せをしているときには、「おい、フォームが崩れてきたぞ。頑張れ」と言うのでもいいでしょう。
森山 そうです。そして、「僕たちの指導者は、この状況下でも、チームを強くするために、個人をうまくするために、情熱を注いでくれている」と感じさせてあげることが大事だと思います。
オンラインのトレーニングなど、アプリを使うのが苦手な指導者も多いですよね。しかし、そのようなタイプの指導者こそ、この機に一生懸命に勉強し、そういったアプリを活用し始めたら、選手からはどう見えると思いますか? 「苦手としていたことに、僕たちのために真剣に取り組んでくれている」と感じるかもしれません。そうなれば、「じゃあ、自分も」という気持ちになる選手もきっと出てくると思います。私自身も、今回初めて選手向けにビデオミーティングをつくってみたところです。
指導者は言葉で伝えるのも大事ですが、指導者自身が努力して成長しようとしている姿勢を持つことが大事です。それは必ず選手に伝わりますから。選手たちにウソは通用しません。
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