7月25日からホットスタッフフィールド広島(広島広域公園陸上競技場)でインターハイの陸上競技が開幕する。全41種目が5日間の日程で行われ、支部大会、都府県大会、11地区大会を勝ち抜いた選手たちが集結。そのなかから注目の選手やチームを紹介する。男子八種競技で5811点をマークし、近畿大会を制した鯵坂勇介(東海大仰星高3年・大阪)が「東海大仰星記録」を更新し、メダル獲得を目指す。
先輩の記録を超えて、いざメダル獲りへ記録を超えること。それは、苦しいとき、悔しいとき、どんなときも気持ちを奮い立たせる原動力になる。男子八種競技で近畿大会を制した鰺坂勇介(東海大仰星高3年・大阪)が、いつものグラウンドでチラチラと見てきたものがある。
グラウンドの片隅に掲示された「東海大仰星記録」だ。100mには昨年のインターハイ男子100m優勝の西岡尚輝(現・筑波大1年)の10秒11が燦然と輝き、男子4×100mRには学校別高校歴代2位の39秒48が刻まれている。そして、鰺坂の視線の先には、同校OBで、7月の日本選手権混成男子十種競技2位の森口諒也(オリコ)が高校3年時にマークした5745点が2016年から君臨していた。高2のベストが5466点の鰺坂は、それを超えたかった。
今季初戦の大阪大会、5537点。自己ベストだったが、こんなものではないはずだった。「すべては走りから来ている」と考えた鰺坂は「成瀬(竜也)先生が相談に乗ってくれて、走りの部分を戻すことができました」と手応えを持って、近畿大会に臨んだ。
近畿大会では最初の100mから波に乗り、「1日目は全部自己ベストでいくことができました」。2日目最初の110mHは14秒台に届かなかったが、やり投は自己ベスト。「インターハイで種目別1位を取りたい」と話す、得意の走高跳は1m88とまずまず。ここで首位に立ち、1500mは大阪大会より約13秒速い4分35秒28でフィニッシュし、トータル5811点。「森口先輩の記録を超えることができました」と笑顔を見せた。
もう一つ、鰺坂を刺激しているのが、後輩・工藤条士(2年)の存在だ。「工藤くんが僕を焦らせるくらいの記録を出してくれています(近畿大会6位5536点)。2人で全国を目指して冬期を積むことができましたし、彼がいてこその僕の記録だと思います」。後輩に負けたくない気持ちも、鰺坂を高ぶらせている。
昨年のインターハイ、鰺坂は5173点で22位だった。近畿大会で好調だった1日目。得意な種目がある2日目。高校記録を持つ宮下輝一(市船橋高3年・千葉)との差は大きいが、だからといってひるむ理由にはならない。「5900点を超えて、メダルを絶対に取りたいです」。暑くて、熱くなりそうな夏、鰺坂にもスイッチが入っている。