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2025-09-26

【相撲編集部が選ぶ秋場所13日目の一番】豊昇龍連敗! 琴櫻が存在感見せる。東横綱大の里、いよいよ単独トップに

豊昇龍は立ち合いに失敗し、琴櫻の圧力をまともに受けて連敗。たった2日で優勝争い単独トップから追う立場に。このあとも切り替えて、今度はしっかりと逆転を狙っていけるか

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琴櫻(寄り切り)豊昇龍

9月場所も13日目といよいよ佳境だ。

幕内前半戦、2つ目の取組で、大ケガのためいったん序二段まで下がりながら幕内まで復活してきた友風が、佐田の海を破って、なんと6年(プラス1場所)ぶりの幕内での勝ち越しを決めた。そして後半に入って、3敗の安青錦が2敗の隆の勝にガンガン突っ張られながらも、やはり頭を上げずに最後は渡し込みで破って3敗に引きずり降ろすなど、熱戦が続いた後、優勝争いの先頭にも大きな動きがあった。
 
11日目まで全勝で優勝争いをけん引し、きのう、安青錦に敗れて1敗となった豊昇龍が、大関琴櫻に敗れて連敗、さらに一歩後退してしまったのだ。
 
結果的には、完全に作戦が失敗した。この日の豊昇龍は、立ち合いから左の上手狙い。形としては下からいったが、まず右を差しにくる琴櫻に差し手を許す形になった。そして大きな誤算だったのは、逆の右側を固めきれず、琴櫻に浅く左をのぞかされ、モロ差しを許してしまったことだろう。これにより、豊昇龍は自分より大きな琴櫻の圧力をまともに受けることになってしまった。
 
慌てて右を巻き替えたが、もう土俵際。体を寄せられ、右からの突き落としも効き目なく、力なく寄り切られてしまった。

勝った琴櫻としては、優勝争いが両横綱のマッチレースとなっていく中、大関としての存在感を示したかっこう。取組後は「しっかり落ち着いていけた。しっかり体の芯で停められたと思います。形になったので攻めることだけを考えました」と語った。1月場所に負け越し、そして3月場所以降は3場所連続8勝7敗と不振が続いてきたが、この日のように前に出る相撲が多くみられるようになった今場所は、ようやく復調への足掛かりをつかみつつあるように見える。この場所をきっかけに、綱取りレースで先を行かれてしまった豊昇龍や大の里に再び伍していってもらいたいものだ。

さて、思わぬ連敗で、たった2日で追われる立場から追う立場になってしまった豊昇龍。この日の負けは、単なる立ち合いの失敗だったのか、あるいはきのう土がついた精神的影響が何かあったのか……。そのあたりは、まあ当人以外は分かりようもないが、千秋楽の大の里戦に勝てば、まだ逆転優勝の望みはあり、そしてその決戦までは、まだあす1日ある。せっかくここまで両横綱のマッチレースという、大相撲本来の形を作ってきたことでもあり、とにかく気を落とすことなく、あすもしっかり取って、千秋楽結びの一番を、優勝のかかった一番にしてもらいたいところ。そこはとにかく横綱の責任、ということになるだろう。何とかそこに持ち込んで、大の里との直接対決に強いという武器を生かしたい。

大の里は、結びで若隆景を寄り切り1敗キープ。とうとう単独トップに立った。この日も立ち合いは少し遅れて立つような感じで、そのあとしっかり逆襲して圧倒、という相撲。終盤に入って、こういう内容の相撲が多くなっており、まあそれも強い相撲で横綱相撲ではあるのだが、この後は相手が大関、そして横綱になるので、受ける立ち合いになってしまっては危険も伴う。そのあたりさえ気をつけていけば、横綱として初めての賜盃は、もう、手を伸ばせば届くところにあると言ってもよさそうだ。

文=藤本泰祐

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