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2025-11-09

【相撲編集部が選ぶ九州場所初日の一番】「次なる大物」伯桜鵬が豊昇龍を破り、3場所連続の金星ゲット

鋭い立ち合いから左を差し、一気に豊昇龍を寄り倒した伯桜鵬。これで3場所連続の金星ゲットとなった

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伯桜鵬(寄り倒し)豊昇龍

「ザ・ネクスト・ビッグ・シング(次なる大物)」が、その成長を見せつけた。
 
この日幕を開けた一年納めの九州場所。自己最高位の東前頭筆頭まで上がってきた伯桜鵬が、鋭い立ち合いから横綱豊昇龍を寄り倒し、初日から見事な金星を挙げた。伯桜鵬は先々場所、先場所は大の里から金星を挙げており、これで3場所連続の金星ゲットだ。
 
この両者の顔合わせ、先場所は立ち合い右に動いて上手を取った豊昇龍が、そのまま右上手投げで勝っているが、今場所の伯桜鵬は、そのあたりも警戒して相手も見ながら、しかし低い角度を作って鋭く立つというベストな立ち合いを見せた。
 
今場所の豊昇龍は、左から張っての右差し狙いで立ったが、伯桜鵬の鋭い立ち合いの前に、張り手はさほど効果を表さず。右差しが果たせなかったばかりか、張り差しの最も大きなマイナス面である、自分だけが上体が立つ形となってしまった。
 
立ち合いが思うにまかせなかったときの豊昇龍の次の動きとしては、右に回っての投げ。何とか上手に手を掛け、右上手投げにいったが、もうこの時には、低い体勢で左を差して前に出た伯桜鵬の攻めに、ほぼ体のない土俵際。伯桜鵬がそのまま体を預けて寄り倒した。
 
豊昇龍は9月場所後に行われた力士選士権やロンドン公演では最後に大の里を倒していずれも優勝しており、今年最後の本場所へも気合十分に臨んでいたはずだが、この初日は明らかに立ち合いの張り差しが失敗した形。伸び盛りの相手に対して、ちょっと安易に勝とうとしすぎた、という面は免れないだろう。あす以降、また気持ちを入れ直して立て直せるか。
 
一方、「しっかり踏み込んで、前に出られて、よかったと思います」とは伯桜鵬。「巡業先でもいろいろ相撲のことを教えてくれ、胸を出していただいたりして、気にかけてくださっているので、そんな横綱に勝ててうれしいです」と“恩返し”も果たした形だ。
 
その豊かな将来性に、ロンドン公演では「ザ・ネクスト・ビッグ・シング」のキャッチフレーズで紹介された男。以前から相撲のうまさには定評があり、最大の課題は立ち合いの圧力と言われていたが、この日はベストな立ち合いができたと言ってもよく、この感覚をつかんでいけば、いよいよ覚醒のときが来ることになる。
 
伯桜鵬は東前頭筆頭だけに、勝ち越せば新三役はかなり有望となる立場。前述の通り、ここまで3場所連続金星をゲットしているが、来場所三役になることでそれがストップするのであれば、願ってもないことだろう。

あすはもう一人の横綱の大の里と対戦。すでに年間最多勝も確定させている東の横綱から3場所連続で金星を得られるか、注目の一番になる。

この日、大の里は髙安にほぼ何もさせずに危なげなく寄り切り。豊昇龍が敗れたこともあり、早くも「今場所は“大の里を誰が止めるか”という場所になっていくのか――」という予感も漂うが、本当にそうなるかどうかは、とりあえず、あすの大の里-伯桜鵬戦が済んでから、ということになろうか。

文=藤本泰祐

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