女子プロレス団体「マリーゴールド」1・24後楽園ホール大会は“プロレス界のアイコン”岩谷麻優のデビュー15周年記念大会として開催される。
女子プロ界を代表するスター選手のメモリアル興行。そのメインイベントは、王者・岩谷vs挑戦者・林下詩美によるGHC女子選手権試合に決まった。当然、大会の主役は岩谷だ。だが、15周年を迎えたアイコンに劣らぬ思い入れをもって、この試合に臨むのが“マリーゴールドのエース”詩美。大会直前に開かれた記者会見ではクールでロイヤルを体現する詩美が涙する場面も見られたが、その意味はなんだったのか。

詩美「岩谷麻優がマリーゴールドに来てくれて、私は選手としても個人としても本当に救われました」
こう語る詩美は、2024年5月の旗揚げ時からマリーゴールドを「エース」として支えてきた。だが、旗揚げ当初から誰もが認める「エース」だったかと言えば決してそんなことはなかった。
真っすぐで情熱的なジュリアらと比較され、外敵として女子プロレス黄金の花園に参戦していたSareeeから痛烈な批判を浴びたこともある。ジュリアやSareeeに加え、高橋奈七永、MIRAI、ボジラら主力選手がそれぞれの理由でマリーゴールドを去り、団体がパワーダウンを余儀なくされた時期もあったが、それでも詩美は奮闘。ときにはもがき苦しむこともあったが、それでも自分に言い聞かせるように「エース」だと繰り返し、マリーゴールドを支えた。

詩美「マリーゴールドで自分はエースにならなきゃいけない、トップでいなきゃいけない、自分で自分を追い込んでやってきたんですけど、岩谷麻優が、麻優さんが来てくれて…(涙)。自分は自分らしく、いれるようになりました。私は自分に……(涙で声をつまらせる)自分に対してすごくいろいろ背負ってやってた時も、麻優さんがいれば私は甘えられるし、力が抜けられる。ホントに特別な存在になったんだなと思います」
昨年5月、マリーゴールド電撃移籍を果たした岩谷は超がつく即戦力。天性の明るさを振りまきながら、救世主さながらに団体をけん引。言い変えれば、詩美が背負い続けた重荷をともに担ってくれた。
2人がかつて所属したスターダム時代、過去4度シングルが実現(=後述)。当時も「特別な場面で闘ってきた」(詩美)感覚があったが、その思いはマリーゴールドに来て、より強くなり、そしてスターダム時代とは少なからず変化もした。先輩であり、ライバルであり、同志。あらゆる意味で「特別な存在」になった岩谷の15周年メモリアルだから、詩美は対戦相手に名乗りをあげ、何度もアピールしてアイコンが持つGHC女子挑戦も実現させた。
詩美「麻優さんとGHCのベルトを懸けて、15周年という大事な時にシングルマッチで闘えること、ホントにうれしく思います。1月24日、岩谷麻優には何してもいい(という気持ち)。私のすべて受け止めてもらいます」
詩美は昨年10・26両国国技館大会で青野未来に敗れ、団体最高峰王座マリーゴールド・ワールドから陥落。首や腰など様々な負傷を抱え、約2カ月の欠場を経て、リングに戻ってきた詩美があらためて思い知らされたのが岩谷の凄さだった。
新春1・3大田区ビッグマッチ。第4試合で勝利した詩美は、メインイベントで岩谷がGHC女子初戴冠を果たす姿を目の当たりにした。しかも「これがトップの試合」と痛感させられた彩羽匠との壮絶バウトを制して。岩谷に助けられ、岩谷に火をつけられた詩美はいま間違いなく燃えている。
そんな詩美を迎え撃つ岩谷とて「全力疾走で駆け抜ける」ことを誓った15周年イヤー。デビュー記念日(1月23日)の翌日に開催される自身のメモリアル興行で躓くわけにはいかなかった。

岩谷「いろんなことがあった15年間の集大成、すべてをウタにぶつけたいなと思います。ウタが麻優には何をしてもいいとか言ってましたけど、こっちも何をやってもいいと思ってるし。どんな闘いになるのか、不安な部分もありますけど、お互いすべてをぶつけあって、15周年一発目、いいスタートを切って、この1年間、全力で闘い抜いていきたいなと思います」
岩谷と詩美のシングル戦績は、岩谷の5戦3勝1敗1分け。マリーゴールドで一度だけ実現した一戦は時間切れドローに終わっている。6度目のシングルにして、GHC女子が懸けられた今回の一戦は60分1本勝負に決まった。レスラーである以上、感謝を抱く岩谷への恩返しはリングで勝利すること。15周年イヤーのバク進を誓うアイコンも当然、負けるつもりはない。果たして勝つのは岩谷か、詩美か。リング外で雑音が続くいまこそ、リング上でこれぞマリーゴールドを見せてほしい。
マリーゴールドの2026年を占う大一番、1月24日後楽園ホールで運命のゴングが鳴る。

岩谷vs詩美シングル通算戦績は
岩谷の5戦3勝1敗1分け
【第1戦】
★2018年9月24日=東京・後楽園ホール
▼5★STAR GP2018優勝決定戦(30分1本勝負)
○岩谷麻優(15分56秒、ドラゴン・スープレックス・ホールド)林下詩美
●
シングルリーグ戦「5★STAR GP」優勝決定戦で初シングルが実現。ブルースターズ1位の岩谷はレッドスターズ1位の詩美をドラゴンで撃破。5★STAR初優勝を飾った。

【第2戦】
★2020年11月15日=宮城・仙台サンプラザホール
▼ワールド・オブ・スターダム選手権試合(30分1本勝負)
<挑戦者>○林下詩美(24分44秒、BTボム→片エビ固め)岩谷麻優●<王者>
※岩谷が6度目の防衛に失敗。林下が第13代王者となる
初シングルから2年後、杜の都で実現した2度目のシングルは団体最高峰王座ワールド・オブ・スターダムを巡り激突。同年9月に5★STAR GP初優勝を果たした詩美は勢いそのままに岩谷が持つワールド王座に挑戦。大激闘の末、BTボムで詩美が勝利。ワールド初戴冠とともに、岩谷からシングル初勝利を挙げた。

【第3戦】
★2022年10月23日=東京・アリーナ立川立飛
▼IWGP女子初代王座決定トーナメント準決勝(時間無制限1本勝負)
○岩谷麻優(14分51秒、ムーンサルト・プレス→体固め)林下詩美●
同年7月に設立が発表されたIWGP女子王座。10・2新日本ロンドン大会を皮切りに初代王者決定トーナメントが開幕。10・23立川の準決勝で詩美と激突した岩谷は代名詞ムーンサルト・プレスで3カウント。しかし、11・20有明の初代王者決定戦でカイリに敗れ、初代IWGP女子王者は逃してしまった。

【第4戦】
★2023年8月13日=エディオンアリーナ大阪
▼IWGP女子選手権試合(60分1本勝負)
<王者>○岩谷麻優(21分32秒、ドラゴンズ・レイ)林下詩美●<挑戦者>
※第3代王者が初防衛に成功
大阪夏のビッグマッチのセミで実現した4度目のシングル。同年4月にメルセデス・モネを下し、IWGP女子初戴冠を果たした岩谷は初防衛戦で詩美を相手に熱狂マッチを展開。21分を超える激闘の末、ドラゴンズ・レイで3カウント。初防衛に成功した。

【第5戦】
★2025年8月30日=東京・後楽園ホール
▼DREAMリーグ公式戦(15分1本勝負)
△林下詩美<4勝1敗1分=9点>(時間切れ引き分け)岩谷麻優△<2勝1敗1分=5点>
マリーゴールドで唯一おこなわれた岩谷と詩美の一騎打ちは、夏のシングルリーグ戦で実現。15分1本勝負という勝負タイムもあって、序盤からエンジン全開でぶつかり合った2人だが、やはり試合時間が短すぎた。岩谷のドラゴンズレイ狙いを掟破りのドラゴンスープレックスで切り返した詩美が怒とうのラッシュも、Crusade(旋回式ハイジャックボム)を決めたところで試合終了のゴング。5度目ののシングルにして初めて決着つかずの両者痛み分けに終わった。

「岩谷麻優デビュー15周年」
★1月24日(土) 東京・後楽園ホール(18:30)
▼岩谷麻優15周年記念試合&GHC女子選手権試合
岩谷麻優vs林下詩美
※第3代王者初防衛戦
▼ツインスター選手権試合
<王者組>松井珠紗&CHIAKIvs山岡聖怜&心希<挑戦者組>
※第6代王者組の4度目の防衛戦
▼3Dトリオス王座決定トーナメント1回戦
青野未来&天麗皇希&メガトン桜井麻衣&翔月なつみ&山中絵里奈
▼後藤智香&石川奈青vs野崎渚&瀬戸レア
▼ビクトリア弓月vs南小桃
▼越野SYOKO.&ハミングバードvs橘渚&山﨑裕花