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2026-03-16

【相撲編集部が選ぶ春場所9日目の一番】ナニワの主役! 豪ノ山が1敗守って幕内勝ち越し第1号に

左右のハズ押しで力強く琴勝峰を攻め込む豪ノ山。一方的に押し出して幕内勝ち越し第1号に。場所の後半もご当所大阪の主役として走り抜けたい

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豪ノ山(押し出し)琴栄峰

「ナニワの主役は俺やで!」
 
この日も、まるでそう言っているかのような、力強く、一方的な相撲だった。
 
寝屋川出身、ご当所力士の豪ノ山が、琴栄峰を押し出して1敗をキープ。同時に勝ち越しも決め、今場所の幕内勝ち越し第1号となった。
 
この日は、返り入幕の琴栄峰との対戦。琴栄峰は自身が前日まで6勝2敗と好調なのみならず、兄の琴勝峰が1敗で豪ノ山と並んでいたので、勝てば“援護射撃”(気が早すぎる?)ともなるところだったが、まったく問題にしなかった。
 
頭と手でガツッと当たると、まず突き上げて、右ハズ、左ハズとかかって、何もさせずに押し出した。豪ノ山は、当たったあとに右ヒジで相手のノドをグイグイ押し上げて押し倒した7日目の宇良戦、相手のモロ手突きをはね上げて一気に押し出したきのうの金峰山戦に続いて、これで3日連続の「電車道」だ。

「しっかり当たって、前に攻めて勝ったんでよかった。踏み込んでいけた」と豪ノ山。もともと立ち合いの当たりと馬力には定評があり、三役目前まで行ったことのある力士。昨年9月場所で1勝14敗と大敗するなどして、このところ平幕下位に下がっており、最近は自ら差すような相撲もあって、ちょっと停滞しているようにも見えていたが、完全に当たりと馬力、そして何より、前に攻め切る気持ちがよみがえってきたように見える。
 
この好調の要因には、いったん幕内下位に下がってしまったこともあり、下半身を鍛え直したことがあるのだという。今場所序盤は、突いて出ることに成功した相撲だけでなく、突きから二本入って体で圧倒した2日目の時疾風戦は流れだとしても、初日の狼雅戦、5日目の欧勝海戦など、相手に左上手を引かれながらも、しゃにむに攻め切った相撲もあった。立ち合いが威力を取り戻したことで、それができるようになったという面もあるだろう。だとすれば、差す相撲を試したことも、遠回りばかりではなかったということになる。そして白星が重なるにつれ、さらにノッてきて、突き押し相撲のまま攻め切れる形になってきた、というのが今場所だろう。
 
京都出身の藤ノ川、大阪出身の宇良、朝紅龍、朝翠龍、西ノ龍、一意といったところが気迫のこもった相撲で館内を沸かせている今場所だが、この豪ノ山の暴れっぷりは、ご当所力士の中でも別格と言える。
 
これで9日目を終え、霧島、琴勝峰とトップを並走する形。「(勝ち越しは)なるべく意識しないようにいけたかな。あしたからも(記者に)囲まれるように頑張ります」と豪ノ山。後半戦は上位との対戦も予想されるが、もともと上位にいた力士なので、食っていくことも十分可能。豪ノ山にとっては、相手の変化を恐れずぶつかっていけるか、逆に相手力士にとっては、豪ノ山のブチかましを恐れずに当たっていけるか、が今後の勝負のカギになってくるだろう。
 
この日は、横綱豊昇龍は、左で張って右上手狙いという危なっかしい立ち合いだったが、何とか相手の攻めをしのいで、隆の勝を寄り切った。これでまずは1敗4人衆の一人を自力で引きずり降ろした形。豊昇龍としては、こうして一人、また一人と引きずり降ろしていくことが、逆転優勝へとつながる。
 
あすは1敗勢の中で番付最上位の霧島が好調隆の勝の挑戦を受ける。9日目は大栄翔の突き押しをかわして白星を手にした霧島だが、あすはどうか。14場所ぶりの優勝と、その先にある大関復帰に向けて、大事な一番となる。

文=藤本泰祐

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