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2026-03-20

【相撲編集部が選ぶ春場所13日目の一番】熱海富士が豪ノ山の突進を押し返して新三役で勝ち越し。来場所の関脇争いは熾烈に

熱海富士は豪ノ山の攻めをはね返し、逆に押し出して新三役場所を見事勝ち越し。これまでよりひと皮むけた「強い勝ち方」になってきた

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熱海富士(押し出し)豪ノ山

本当に強くなった。
 
熱海富士が、今場所好調な馬力自慢の豪ノ山の突進をはね返して逆に押し出し。新三役で見事に勝ち越しを決めた。
 
立ち合いから右四つにつかまえにいったが、中に入られ、右ハズ主体に攻め込まれた。両足が俵にかかるところまで追い込まれたが、ここで相手の両手をはね上げると、左からかかえて耐えた。そのあと左おっつけで逆襲、右で相手の顔を押してのけぞらせ、引きに乗じて前に出て、逆に押し出した。
 
豪ノ山は馬力通じず、「もっと下からいけばよかった。圧力も馬力も全然負けです」と嘆き節だ。

「流れの中で自分の攻めができました」とは熱海富士。馬力のある突進をかわして勝つのではなく、土俵際で腰を入れ直して耐え、左から相手の動きを固めて、押し返して勝ったところに価値がある。今までの熱海富士は、攻め勝つときも、不十分でも体に任せて前に出て、相手に体を預けてさてどうなるか、そしてこの日のように攻められて勝つ場合にも、土俵際の突き落としで勝つ、という印象があったが、この日は「しっかり残して」「しっかりつかまえて」「前に出て攻め切る」ということができていた。本当に強い力士の勝ち方だ。
 
現在、幕内では最も重い197キロの体。体重はどんどん増え続けているが、その体を持て余すのでなく、攻守にしっかり使えるようになってきたのは、多彩な稽古相手がいる伊勢ケ濱部屋でもまれているたまものか。
 
これで新三役の壁もなく8勝目を挙げ勝ち越し。「7勝から負けが込んでしまうことが多いので、勝てたことがうれしい」と笑顔だ。
 
小結で勝ち越したことで、来場所の新関脇も視界に入ってきた。来場所の関脇争いは、霧島が大関復帰となればそれで一つ枠が空くが、それを前提としてもなかなかに熾烈だ。
 
まず、枠の数とも絡むが、西関脇の髙安が現在6勝7敗で、もしこの後連勝で勝ち越せば優先権がある。そして下から上がる候補は、この熱海富士が西小結で8勝5敗、東前頭筆頭の若隆景が8勝5敗、西4枚目の隆の勝が9勝4敗、西5枚目の琴勝峰が10勝3敗。この4人はまだ今後2日間の勝敗次第で星の強さが入れ替わる可能性がある。そういう意味でも、熱海富士にとってあすの琴勝峰戦は大事だ。霧島が大関復帰したとして、次の大関へのトップコンテンダーが誰になるかは注目だ。
 
それに、来場所東関脇に座れるかどうかはともかくとしても、今場所の内容を見ると、熱海富士が次期大関候補の先頭に近い位置に出てきたことは十分感じられる。体が大きい力士は、開眼までの時間はかかる可能性は高いが、体の使い方を覚えて、もし覚醒してしまえば一気。この新三役場所からサッと駆け上がっていく可能性もある。
 
この日、優勝争いのほうは、霧島が王鵬を寄り倒して1敗をキープ、琴勝峰は豊昇龍に叩き込まれてともに3敗に並ぶことになり2差に。霧島はあす勝てば優勝決定となった。
 
注目のあすの取組は、霧島は安青錦と。霧島-琴勝峰戦は組まれなかったが、これはおそらく、星の差が2つになり、琴勝峰が霧島と戦わずして優勝というケースがなくなった(琴勝峰が優勝するためには霧島との優勝決定戦が必須)、という判断で、番付どおりの対戦を優先したということだと思う。
 
果たして霧島はあす勝ってすんなりと優勝を決め、大関復帰への気運を盛り上げることができるか。安青錦も6勝7敗と、綱取り一転カド番の危機なので必死だろう。どんな結果になるにせよ、熱戦を期待したい。

文=藤本泰祐

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