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2026-04-14

「31歳の人間にとっての夢は、目標でしかないんです」――アメフトとの二刀流だからこそ、飯野雄貴はこのタイミングで頂点を目指す②【週刊プロレス】

4・5後楽園では王者から直接勝利

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アメフトでは「セクシー」と呼ばれ…
ベルトを獲ればチームでも認められる

――ところでアメリカンフットボールとラグビーの両方を経験してみて気づいたことは?

飯野 ああ、やってみたらまったくの別モノです。防具をつけているから慣れなくて。コンタクトスポーツに関しては、もうこれ以上はできないと思いましたね。ほかのことはできる気がしますけど…演劇教室に通うとか、歌の練習とかは。

――ぜひやってください。

飯野 でも、体を思いっきり動かして人とぶつかり合うのは、プロレスもそうですけど年齢も限られるじゃないですか。僕はヒザを悪くしていないですけど、続けるうちにそうなると出せる技も限られてくる。眼窩底をやった時にアメフトできるかなと思いました。防具を被ったら物が二重に見えたし。でも、徐々に慣れてきたんで続けられましたけど。始める前に眼窩底やったことを言ったら「飯野さん、もしかすると向いていないかもしれません」って言われて「ええっ!?」ってなりましたもん。やる前からそれ、言いますか?って。

――チームメイトの皆さんはプロレスの試合を見に来てくれるんですか。

飯野 まだですね。5月からXリーグ(社会人アメリカンフットボールのトップリーグ戦)が始まるので、15日のタイトルマッチはさすがに来られないと思うんですけど。皆さんもアメフトと並行して別の仕事もしているので、忙しいんです。

――やはりそこは兼業なんですね。

飯野 スポンサーのノジマ(家電販売業)や、それ以外のスポンサー企業に勤めている方もいます。だから私の力でもっとアメフト界を盛り上げたいんです。それはコーチとご飯を食べている時に言いました。

――ちゃんとアメフトというジャンルを背負っている。

飯野 同じようにプロレス界とアメフト界で活躍してほしい方が何人かいるんで、その先鞭をつけられたらなと。新日本プロレスの辻陽太さんがアメフト出身だし、ちょっと前になるけど大森隆男さんも経験者じゃないですか。けっこうプロレス界ってつながりあるんですよね。それこそ中澤マイケルさんのお父さんは東海大学の監督さんでしたし。

――DDT両国国技館の歴史は中澤選手のお父様が自宅から肛門爆破のボタンを押したところから始まっているので、とても重要な人物です。

飯野 ウチの監督さんがもともと東海大なので「中澤さん、知ってる?」って聞かれましたよ。それぐらいプロレス界とつながりがあるので、二刀流の人材をどんどん送り込みたい。アメフト経験がなくても、野球をやっていた人は向いているんですよ。ボールキャッチの仕方がバックステップなんで。

――外野フライを獲る時みたいに。

飯野 あとは逆スカウティングもしたいですね。アメフトからプロレスへ。第二のゴールドバーグを目指して。

――それは自分がなりましょうよ。

飯野 ああ、そうだ! 私がならなきゃ。ブロック・レスナーも挑戦しているんですよね。

――ミネソタ・バイキングスに入団したものの、ロスター入りは果たせなかったという。

飯野 僕はブロック・レスナーと同じポジションなんです。それでYouTubeで見たら、スタートが遅いんですよ。だから、やっぱり難しいんなだなって。あの凄いブロック・レスナーでさえそうなんですよ? 自分に置き換えて動画に「そうだよね、難しいよね」って語りかけました。

――そこはfacebookか何かで直接伝えるべきです。同じアメフトの難しさを味わうプロレスラーとして気持ちを共有しましょう。

飯野 何勝手に親近感を持ってんだって話ですよ。でも、けっこうプロレスが好きな選手もいて「新日本を見ています」って言うんです。じゃあDDTは?って聞いたら、それで飯野“セクシー”雄貴の動画を見つけたみたいで、練習中に「セクシー!」って呼ばれるんです。

――『太陽にほえろ』の七曲署みたいな。「今日からおまえはセクシーだ」と。5月の新シーズンには間に合わないんですか。

飯野 そうですね。練習もですけど、チーム内の規則があるんですよ。ディフェンスラインはこういうことをするみたいなものが。アメフト全部覚えるとなると100ページぐらいになるんですけど、ディフェンスに関しては20ページぐらいあって、それを覚えるとともにこのエリアではこういう動きをしてはいけないといったことも、一つひとつ覚える必要があるんです。

――ただプレーしていればいいというわけではないんですね。でも、まだまだ試合に出られないにもかかわらずモチベーションを持って続けられるのも凄いと思うんです。

飯野 それをやらないと…この5年間で2、3回は絶対に出たいんで。シーズン中に1回でも出られたら嬉しいという世界なんです。皆さん10年、20年やっている選手たちばかりの中に、ポツンと入ってきたやつがレギュラーになったらフザケんな!ってなるじゃないですか。それを超えて飯野雄貴が入れたら、こういうことをやってきたからだとチームの中で認められた証拠だと思うし。

――この二刀流に加えてパーソナルトレーニングジム(代々木・IPG)も経営されていて、よく時間のやりくりができますね。

飯野 アメフトの練習がある日は半日取られるんで。朝6時半に家を出て相模原までいって、8時からのミーティングに出て9時半から練習開始。そこから13時ぐらいまでやって、1時間から1時間半かけて戻ってきてジムの仕事をするの繰り返しです。でも、基本平日は自主練なので、3時間ぐらいウエートトレーニングのメニューをやったりとか。今はタイトルマッチがあるのでプロレスに集中していますけど。

――面と向かってこういうことを言うのもアレですけど、飯野選手って努力家なんですね。

飯野 いやいやいや。

――こういう話を聞くと、タイトルマッチもいけそうな気がしてきました。日々の濃さという意味で。

飯野 でも「頑張る」という言葉をあまり使わないようにしていて。自分に言い聞かせることで自信をつけられるんですけど、今は平常心を保つことの方が優先だと思うので、毎日の中でやるべきことを頑張ると思うことなく一つひとつキッチリとクリアするようにしています。すべてのやっていることをそのつど切り替えて、プロレスはプロレスとして自分を仕向けています。

――KO-D無差別級のベルトを獲ったら、相模原ライズのメンバーへ見せるために持っていきますか。

飯野 しません。写真で見せます。

――どうして?

飯野 ハドルといって、練習前にちょっとしたミーティングがあるんです。そこでチャンピオンになりましたと報告するつもりではいるんですけど…さわられるのが怖いじゃないですか、壊されそうで。これ、体育会系あるあるなんですけど「これ持って写真撮っていいッスかあ? ウェーイ!」ってされるのが嫌なんで。メダルとかもよくあるんですよ、持っていくと貸して貸してってなるという。そういうのが想像つくので、ベルトは持っていかずに報告だけで済ませます。

――まあ、市長がメダルにかじりつく時代ですから、それが無難かもしれません。

飯野 でも、プロレスのチャンピオンになればアメフトに対する意気込みも伝わると思うので。切り替えてとは言いましたけど、やっぱり自分のやっていることは地続きなんですよね。

BBM SPORTS

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