5月13日より開幕するGLEATのシングルトーナメント「G-CLASS 2026」エントリー選手インタビューの第2弾は、T-Hawkが登場。1回戦の対戦相手である田村ハヤトは現在のタッグパートナーであり、同じくトーナメントと前後して凱旋興行をおこなう身。そんな中、T-Hawkの口から出たのは「グレイトしようぜ!って何?」という問題提起だった。(聞き手・鈴木健.txt)――T-Hawk選手は昨年に続いての「G-CLASS」エントリーとなります。
T-Hawk 前回の16選手エントリーから8人になったことで雑味がないというか、よりピュアな今のGLEATのトップ8人がエントリーされたトーナメントであることが、僕の中では大きいです。前回、僕は愛鷹亮さんに準決勝で負けたんですけど、愛鷹さんっていったら年齢は上にしても、プロレスキャリアに関してはその時点でペーペーだったじゃないですか。それで、なんとかしてあげようという謎の親心のようなものが出ちゃったんです。それに対し今回はよりならされたというか、フラットに臨めるトーナメントという意味で楽しみにしています。
――厳選という点では伊藤貴則、渡辺壮馬、井土徹也だけでなく田中稔、鈴木鼓太郎という実績十分な選手でさえエントリーされなかったですからね。
T-Hawk 来年はもしかすると僕が入れないかもしれない。去年は第1回目だったから、そういう危機感のようなものはなかったですけど、まだ歴史がないこともあって単発で終わった印象だったんです。あそこで生み出されたものがあとに続かなかった。
――優勝した中嶋勝彦選手が直後にG-REX王者になるという流れこそあったものの、トーナメント自体はその過程という見方で終わってしまったかもしれません。
T-Hawk 僕、最近ね、Netflixに入ったんですよ。
――今ですか!?
T-Hawk 流行りものには手を出さないという逆張り精神があったんです。でも、見てみたらNetflixのプログラムって続きが見たくなるように、45~50分で作られているんですよね。そういうネトフリ感がウチにもほしいと思っていて、あとは民放では表現できない危うさもあるじゃないですか。それをGLEATではできるんじゃないかって、見ながら思ったんですよね。2026年に関することというよりも、その先…Seasonが続くような感覚で見られるようにしていきたい。だからトーナメントで誰々が優勝しました、めでたしめでたしで終わらせちゃいけないんです。
――その1回戦の相手が、田村ハヤト選手です。
T-Hawk “高校野球の名門対決”っていう括りが落ち着くんでしょうけど、それ以上に僕も田村くんも小賢しいことはなしでいくタイプだから、彼ならタックル、ラリアット、僕なら張り手、チョップというようにミニマリストのように表現できる唯一の二人だと思うんです。技を制限して、絞って絞って、より真正面からぶつかり合うプロレスを最大に突きつめた形でやれるのが僕ら二人。そういうプロレスを、第1試合で見せたい。先にあげた4つの技しかほぼほぼ出ないけど、ザッツ・プロレスというのを感じさせる…スタイリッシュとか疾走感といったベースをフル無視してやりたい。それをド頭で見せた時に、どんな空気になるのか感じてみたいんですよね。
――本当に第1試合に組まれたら、まさにつかみはOK的なものになるでしょう。
T-Hawk 過去に3度シングルでやっていますけど、あの時の田村くんとは別人だと思っていて。今はアメ車なのに小回りが効く感じ。遺伝子からして違うような。そして、長期欠場から帰ってきた時に、すごくクリアになった印象を持ったんです。前はラテだったのが、アクエリアスのような清涼飲料感がある。混ぜ物はいらない状態になっているから、前とは違うアプローチに僕もなると思います。よく、組んでいる人間と闘うのはどうなのって言われますけど正直、組んでも1対1で向き合っていますから。彼も前に出たがるじゃないですか。僕も出たがりだから、明らかに組みながら闘っているんですよ。存在感で負けないぞっていう火の粉が隣からかかってくる。
――逆に、なぜ今は組んでいるのでしょう。
T-Hawk もちろんGLEAT全員でっていうのはありつつも、僕は内にしろ外にしろ蹴落としたいタイプなんで、それを組むことによって感じさせるのが田村ハヤトなんです。変にタッグチームとしてまとめようとしないし、でも熱量は伝わってくる。GLEATも、去年のことは今となってはもうどうでもいいんですけど、変にまとめようとしている感じがある。それに対し、そうじゃないだろって思う自分がいるんですよね。主張してナンボだし、自分の意見を言ってナンボ…そもそも「グレイトしようぜ!」って何?って思っています。歴史がまだ浅いからこそブチ壊せるんですよ。フレームだけ作っちゃって、あとから中身を作るよりも、一回その枠を壊して復興した方が、みんなで一緒にできる気がするんですよね。それには全員が一人で闘うトーナメントをきっかけにするのがいいタイミングなのかなと。
――「グレイトしようぜ」のスローガンを掲げながら、その枠ばかりにとらわれて中が見えて来ていないということですか。
T-Hawk そう、だからフレームなんていらんですよ。俺、あまりやったことないですから。しゃあなしにやることはあっても。「これってどうなの?」と疑問に思うのって大事だと思うから。でも逆に田村ハヤトって、何も考えていないのがいいところで、変にこねくり回すとそれは違うと思うんですよね。
――お二人のチームって、まだ正式名が決まっていないんですよね。そのつど暫定的な呼び方はつけていますが。
T-Hawk これも絞りたくないんですよ。ジャズのセッションのように、バンドスコアもいらない。だから今後もチーム名はつけるつもりないです。ここに来たらこれが見られるっていうのも大事じゃないですか。かといって、お客さんが求めているものに寄り添いすぎるのもダメで。そこはお客さんとのセッションです。音を合わせすぎず、かつ息は合っているような。
――あれほど誤爆しながら仲間割れしないのもすごいと思うんです。
T-Hawk だって、明らかにあいつもほしがっているじゃないですか。お客さんもほしがり、田村もほしがると僕の中の悪魔が出てきて、今日はやらんってなることもある。それもまた、闘いなんですよ。全方位と闘っている。僕はキャッチャーをやっていたからインコースを投げさせるだけじゃなく外角も高さも奥行きもつけなきゃいいリードはできないという考えなんで、そこは散らしていきます。あと、僕も田村もゴリゴリの上下関係文化で育ってきて、受け身がとれるんですよ。田村は、後輩の受け身。ああいうのは大事ですよ。縦社会における受け身のとり方って、一般社会に出ても身についている人間は有能じゃないですか。プロレス以外でも大事だと思いますよ。
――自分と田村選手以外のマークする選手は誰になりますか。
T-Hawk めちゃくちゃベタでやってみたいのはKAZMAと石田です。特にKAZMAとはシングルでやったことがないのもあるし、打ったら返ってくるタイプだから好きだし、そういう単純なやり合いをやってみたい。石田に関してはよくも悪くも闘う上で一番手が合う。あとはチャンピオンのリンダマンともやっておきたいし。この前(4・8新宿)やってみて、やっぱり楽しかったのもあるけど、今のリンダマンを見ているとチャンピオンとして団体を守るとか引っ張っていく責任感が先走っちゃっていて、なんていうか…ベルトに旅をさせてあげていない気がするんです。
――ベルトに旅をさせる?
T-Hawk たとえばですけど、今は休んでいる三宅豪に対し復帰戦でタイトルマッチをやるぞっていうぐらいのことをやってもいいと思うんですよね。ただ防衛回数を重ねるだけだと、インコースまっすぐだけのリードになってしまう。チャンピオンが球を散らしたら、その方が面白いじゃないですか。
――別ブロックはその3人と山村武寛選手です。
T-Hawk 反対ブロックって全員間違いないというか、期待値を超えてくる4人なんですよね。ただ、それが「おいおいおいおい!?」ってなるかといったら違う。100%面白くなるって、裏を返せばつまらないんですよね。でも、こっちのブロックは田村ハヤト、河上隆一、ブラスナックルJUNとざわざわしませんか? 外資系銀行マンと居酒屋系に分かれている。居酒屋系は赤ちょうちんをくぐったら意外と旨い串焼きに出逢うかもしれないけど、あっちのブロックは入る前から確実に旨い。食べログの評価も高い。僕らの方は1と5に評価が集中して、会計が合っているかどうかも怪しい店。外資系の中から勝ち上がってくるのは…リンダマンだと思うけど、個人的オッズはKAZMAで。
――KAZMA選手は願望の強さで?
T-Hawk あの人って、わざと引っ込んでいる気がするんですよ。それをして、俺はシングルが嫌いとか苦手とかそういう言葉を使うけど、そこを楽しくさせてあげたいし、シングルで火を点けるとしたら僕が一番得意なんで。皆さんにお聞きしたいんですけど、俺とシングルマッチでやった人間って、みんないつもと違う感じがしません? ケツを叩くのが、昔から得意だと自分では思っています。団体のエースとは違うかもしれないけど、その役割は僕しかできないと思う。パーン!と張ってみたい。
――6・4新宿のG-CLASS決勝戦の3日後には、昨年に続く地元・苫小牧(アブロス矢代スポーツセンター)での凱旋興行があります。
T-Hawk 実は今回、やるつもりはなかったんです。前回がすごく大変だったから。去年は15周年ってキリがよかったのもあったので、次は20周年でやりたかったんです。それぐらい乱発したくなかった。でも、前回終わったあとに初めてプロレスを見に来た人が100人近くいたんですけど「プロレスってメチャクチャ面白いですね! 次も絶対に来ます」って、直接言ってくれたんですよ。僕はGLEATが面白かったよりもプロレスが面白かったと言われたことがすごく嬉しかった。
小学5年生の時にプロレスを初めて見て、その時にプロレスラーがカッコいいと思ったから今もこの仕事を続けていられる。自分でやっていながら、同業のプロレスラーを見てカッコいいと今も思えるし、自分もカッコよく生きないといけないなって思わせてくれる。それと同じ感情を持ってくれたからこそ、面白い、楽しい、カッコいいっていう言葉をもらえたのが嬉しかったんですよね。理想はそれがGLEATを見てであればベストだけど、ほかの団体でもいいんです。そういうふうに言ってもらえるプロレスラーの人たちがいた方がいいじゃないですか。
――苫小牧市にやってくる団体も今では限られるでしょうから、生で観戦できるのは年に1、2回です。
T-Hawk 馴染みがない分、大変だし今の時点ですごいプレッシャーなんですよ。でも、大会が終わったあとにそういう声をいただけたら全部チャラになるというか。仮に赤字になっても心は黒字みたいなね。地元だから言うわけじゃないけど、去年で一番嬉しかったかもしれない。地元でやる意味っていうのは、もはやそこしかないですよね。故郷に帰ってきて、今も元気でやっていますっていうのを見せるのもあるけど…僕はキャリア11年目ぐらいまで、周りのおかげじゃなく自分の努力でやってきたんだって思っていた野郎なんです。性格的に突っ張っていた部分もあったと思うんですけど、この数年でそれって全然違うだろって気づけた。周りの方々が協力し、立ててくれて、その上でその人たちが喜んでくれたら倍嬉しくなるっていうのを経験するようになった。
――そのあとには、7月1日にSGC HALL有明初進出が待っています。
T-Hawk GLEATって面白いですよねえ。ぶっこみ精神っていうか。鈴木(裕之)社長と昼飯いくと、気合入っているんですよ。正直、たまにこの野郎!って思うこともあるんですけど、ちゃんと受け止めてくれるんですよね。気持ちで殴り合えるんですよ。だから「これにノリたい」って思える。7月1日につなぐためにもトーナメントで優勝して、凱旋興行もいいモノにしないとね。