3月いっぱいで「エボリューション」を退団し、フリーになった女子プロレスラー、Chi Chiが22日、対戦が急浮上していたマリーゴールドの若きエース、ビクトリア弓月の負傷欠場、そして弓月が所属する女子プロレス団体「マリーゴールド」に関して取材に応じた。
「早く治してほしい。去年私も負傷欠場して、そのツラさはわかってるので。わかってるけど、なにしとんねん…!って」
複雑な胸のうちを表すかのようにChi Chiはこう絞り出した。
同団体の若きエース、ビクトリア弓月から対戦ラブコールを送られていたChi Chi。“闘うバービー人形”が「私はいつでも準備できてます」と応戦するや、弓月も「やるしかないでしょ!」と高ぶりを抑えきれずにいた。だが――マリーゴールド4・19札幌夜興行で弓月がまさかの負傷。精密検査の結果、右ヒザ前十字ジン帯損傷と診断された。
21歳の若きエースは長期欠場必至といった情勢で、弓月vsChi Chiという刺激的新世代対決も宙に浮いてしまった格好。これにChi Chiは「本人が一番悔しいと思う。でも、その次に悔しいのは私だぞって言いたい」と無念をあらわにした。
冒頭に記したように、Chi Chiは3・28エボリューション新宿大会(夜)で退団を発表。何の因果か、弓月はその数時間前の3・28マリーゴールド新宿大会(昼)でChi Chiの名前を口にし、「闘いたい」と発言。2023年デビューの同期ではある2人だが、接点はゼロに近い。だからこそ弓月からの突然の対戦ラブコールはChi Chiにとって「なんで?」だったし、だからこそ運命めいたものも感じ、即座にSNSで反応した。

そんな両者のやり取りを受け、ロッシー小川マリーゴールド代表も前向きな姿勢を示し、対戦は秒読みかと思われた矢先の弓月欠場。これにより、Chi Chiとマリーゴールドの接点も消滅するかと思われたが、フリーランスとして業界に勝負を挑むことを決めた“闘うバービー人形”は対マリーゴールドに意欲を見せ、「これで誰も出てこなかったら『だから弓月が一番なんだよ』って言ってやりますよ」と“弓月以外”を挑発してみせた。
Chi Chiとて3月にデビュー3周年を迎えたばかり。取りようによっては“上から目線”に聞こえる言葉の数々に対し、反発の声が上がる可能性もあるが、「自分は思ったことを言っちゃうので」とどこ吹く風。また、欠場を余儀なくされた弓月に対しても「私は海外に挑戦したいって言って(エボリューションを)退団したので。いつまで日本にいるかわからないから、交われるかわからないよ」と突き放す一方で、「待ってますよ」と宙に浮いたシングル対決の実現にも意欲を示した。
このChi Chi発言に対して、弓月は、そしてマリーゴールド勢はどんな反応を見せるのか。弓月に加え、岩谷麻優、田中きずなが負傷欠場し、グラビア出身の勇気みなみ退団も先ごろ発表されたばかり。逆風が続くマリーゴールドにおいて、Chi Chiというイレギュラーな存在が起爆剤になる可能性もあるが、果たして。

そんなChi Chiとの一問一答は以下の通り。
――マリーゴールドのビクトリア弓月選手が「Chi Chiさんと闘いたい」と対戦のラブコールが送られました。
Chi Chi「私が退団を発表した数時間前にね。どこからか風のウワサを聞いたのか、聞いてないのかわからないですけど、すごいタイミングだなって。自分の退団発表が3月28日夜のEvolution新宿FACE大会の試合終わりのバックステージだったんですけど、同じ日の昼興行のマリーゴールドで、弓月が私と闘いたいって言ってくれて」
――運命としか言いようのないタイミングでした。
Chi Chi「エボリューションの大会中にスマホを見てみたら、弓月がChi Chiの名前出してるぞってなってて。え、これから退団発表するのに、なんでって(笑)。関係者の方々に退団のご報告は(事前に)してたんですけど、マリーゴールドはほとんど関わりもないし、接点のある選手もいなくて、(事前の退団報告を)してなかったんです。なので、すごいな、こんなことあるんだって」
――それに対してChi Chi選手もSNSで即座に反応しましたよね?
Chi Chi「次の日だったかな。鉄は熱いうちに打てじゃないですけど」
――「全く関わりがないのにすごいタイミング。エスパーかしら?ビクトリア弓月はとても欲深そうで気になっていました。私はいつでも準備できています」とアンサーしています。

Chi Chi「ビクトリア弓月、欲深そうじゃないですか。欲深い女いいなって。生意気そうだし、ハングリー精神も凄そう。マリーゴールドの試合とか見てないですけど、(弓月の存在は)話題として入ってきますよね」
――欲深い部分とか野心があるから、デビュー5カ月でスターダムを辞めてマリーゴールド移籍という道を選んだのかもしれません。
Chi Chi「すごいですよね。彼女のことは詳しく知らないですけど、“なりたい像”みたいなのがあるから決断をしたんでしょうし」
――最初は週プロの個別取材に対して発言したものだったんですが、Chi Chi選手の反応があるや、公式のバックステージでも発言するようになりました。水面下での交渉も何もない状態にもかかわらず。
Chi Chi「それがすごいなと思って。マリーゴールドって鎖国チックじゃないですか」
――フリー選手の参戦は、野崎渚選手や山中絵里奈選手らある程度固定されてるのが現状です。
Chi Chi「そんななかでビクトリア弓月は実力もあってベルトも巻いている。変に波風立てずに、団体内で下を蹴散らしていればいいものの、そうじゃない。絡めるかどうかわからないけど、他団体の私の名前を出してみたり。そういうところが刺さったんですよね」
――Chi Chiさんの心に?
Chi Chi「はい。フリーになるっていうところで、見習わなきゃいけないなと。ドンドン名前とか出して、話題も作っていかなきゃいけないなって思ってた矢先に、団体所属の弓月がホントに何も決まってないのに私の名前、出してくるのかって。そしたら、こっちも動くじゃないですか、ヤバいヤバいって」
――刺激を受けたと?
Chi Chi「はい。こういうのが大事だよなって、そこは学びました」
――敷かれたレールを進むのもプロレスなら、何もないところから何かが生まれるのもプロレス。今回に関して言えば完全に後者です。
Chi Chi「おもしろいですよね。ワクワクしますよ、そういうほうが。自分と弓月次第にはなりますけど、お客さんの期待値も高められるんじゃないかなって思ったし。試合して、バチバチにやり合えたら長いライバル関係が生まれていくのかなって」

――おふたりのやり取りを受け、ロッシー小川代表もカード実現にかなり前向きになっていました。
Chi Chi「もしロッシーさんの興味に引っかかってなかったとしても、私は乗り込んでいたと思いますよ。それで面白いカードなんだぜっていうのを証明する。じゃないとフリーとしてやっていけないと思うので」
――ただ、これだけアツく語っていただいたのに残念な知らせが届きました…。
Chi Chi「ホントですよ(苦笑)」
――マリーゴールド4・19札幌大会夜の部で弓月選手がヒザを負傷。右ヒザ前十字ジン帯損傷のため欠場に入ってしまいました。
Chi Chi「まずは早く治してほしい。去年私も負傷欠場していて、そのツラさはわかってるので。わかってるけど、なにしとんねん…!って」
――そうですよね。
Chi Chi「こっちはホントに高まっていたのに。ビクトリア弓月もしたくてしたケガじゃないだろうし、言われるのもキツいと思う。本人が一番キツい、ケガは。わかってて、私はあえて言います。すごい楽しみにしていたので、ビクトリア弓月と闘えるのを。ビクトリア弓月も私と闘いたいと思ってくれて、自分の状況をもっと変えていかなきゃいけないと思って、発言してくれたうえでのケガだろうから、本人が一番悔しいと思う。でも、その次に悔しいのは私だぞって言いたい。(欠場期間は)長いんですか?」
――ケガの程度にもよりますが、一般的にジン帯損傷だと3~4カ月はかかるかと…。
Chi Chi「無理しても仕方ないですもんね。でも、知らないよって言っておいてください。私は海外に挑戦したいって言って(エボリューションを)退団したので。いつまで日本にいるかわからないから、交われるかわからないよって。…でも、悔しいっすね。ビクトリア弓月が生意気言ってるバックステージとか見ると、欲深そうで生意気でいいなって思ってたので」
――ただ、弓月発言で生まれたChi Chi選手とマリーゴールドの接点がこれで消えるのももったいない気がするのですが?
Chi Chi「弓月がいない間に私が弓月のポジションを奪っちゃうのもおもしろいですけどね」
――弓月選手はユナイテッド・ナショナル王者でもありますし。
Chi Chi「知らないよって。ハンカチを噛んでキィ~ってさせちゃうよって」
――だいぶ昭和な悔しがり方ですね…。
Chi Chi (苦笑)。
――対Chi Chiにマリーゴールドの中から誰か手をあげてきたら、それはそれでおもしろい気もするのですが?
Chi Chi「いや、出てこないとダメでしょ、マリーゴールド。これで誰も出てこなかったら『だから弓月が一番なんだよ』って言ってやりますよ」

――弓月選手は現UN王者。リスクがあるのを承知のうえで、現状打破のためにChi Chi戦をブチあげたところもありますからね。
Chi Chi「その弓月がケガした以上、自分が自分がってもっと出てこなきゃダメでしょって。これで私に誰もケンカ売ってこなかったらマリーゴールドどうなの?って思います。所属も試合数も多いけど、ぬるい団体だなって。正直、マリーゴールドの試合って技失敗動画でしかほぼ見たことないですけど」
――それもまた極端な…。
Chi Chi「めちゃくちゃいると思いますよ、そういう人。でも、あの技失敗動画に関して言うと、技の失敗なんて誰でもあるじゃないですか」
――人間ですからね。
Chi Chi「技失敗よりも、失敗したとしても闘い続けるマインドとかファイティングスピリットみたいなものが足りてないんじゃないの?って思う、私的には。もっと練習しろって声もあるかもだけど、私はマリーゴールドの練習を見てないからわからない。でも、技を失敗して、『あぁ失敗しちゃった…』っていうのをプロだったら見せるなって思うし、技を見せたいんじゃなくて、(対戦相手を)倒したいんだろって。だったら、もう一回行けよ!って思うし、違う技だっていいんだし。ナックルでも蹴りでもいいけど、相手を倒したいって気持ちがあれば技の失敗を上回ることができると私は思うから。技で魅せることも大事ですけど、一番大事なのは闘う気持ちなので。そこが足りてないんじゃないのかなって」
――Chi Chi選手が大事にしてる部分ですね。
Chi Chi「ホントですよ。私、難しい技なんてやらないですから。自分のポテンシャルとか能力をわかってるので。できることしか試合でしないですし、試合で出せるようになるまで練習するし。私は飛んだり跳ねたりはしないですし、自分の向き不向きがあるから。それでも闘う気持ちは誰よりもあるつもりだから。だからお客さんがエキサイトしてくれるんだと思うし。プロレスをするうえで、私が一番大事な闘う気持ちっていうのをマリーゴールドに教えに行ってもいいですよ」
――ここまで言われて、マリーゴールドのほかの選手がどういう反応を見せるのか。それともなんの反応も見せないのか。
Chi Chi「自分は思ったことを言っちゃうので。ムカつくかもしれないけど、マリーゴールドっていう団体に対して信念があったら食いついてくると思うので」
――その先に弓月vs Chi Chiがあるかもしれません。
Chi Chi「そうですね、待ってますよ。若いし、今後のキャリアを考えたらいまは絶対ちゃんと治して、その時私がまだ日本にいたら必ずやろう」
――弓月選手は2月で21歳になったばかりです。
Chi Chi「え…! 21歳? そんな若いの?(苦笑)まぁ、それだけ若かったら治りも早いだろうから、意外と早く(弓月vsChi Chiが)実現するかもしれないですね。それまでの間に誰かケンカを売って来る選手が出てくるのか、楽しみにしてますよ」