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2026-05-01

「僕が変化球だけだと思っている人も多いと思うけど…」GLEAT G-CLASS2026出場選手に訊く⑥KAZMA SAKAMOTO

石田(左)とのタッグでも活躍するKAZMA

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5月13日より開幕するGLEATのシングルトーナメント「G-CLASS 2026」エントリー選手インタビューの第6弾は、KAZMA SAKAMOTOが登場。BLACK GENERATION INTERNATIONALでは石田凱士をはじめとする他の選手たちを前面に出し、自分は一歩引いて全体を俯瞰することでユニットとして機能させているバイプレイヤーが、シングルのトーナメントへ出場することについてどう思っているのか。(聞き手・鈴木健.txt)

――前回、石田凱士選手とお答えいただいた公式インタビューでは「自分はタッグの方が好きでシングルマッチは嫌い」と発言していましたが、エントリー選手が厳選された中でご自身がシングルのトーナメントへ選ばれたことに関し、思うところをまずはお聞かせください。

KAZMA なんで入っているのかなと思いました。でも、入ったということは期待されていると受け取って頑張ろうかなとは思います…嫌いですけど。ただ、嫌いでもいつかは通らなきゃいけないので、頑張ります。ギアチェンジ? 大丈夫です、プロレスラーですから。ひきだしはたくさんあるので、それを開ける時ではありますよね。まあ普段は開けていないですからね。違うものを見せられたら、スペシャルでしょ?って言えますし。

――他のエントリー選手に話を聞くと「シングルプレイヤーのKAZMAとやってみたい」という人が多かったんです。やはりプレイヤー目線だとそうなるんだと思いました。

KAZMA いやー、そういう期待をされるのが一番困るんだよなあ。嬉しいもんじゃないですよ。だって僕がシングルマッチ嫌いだってことはずっと言っているんですよ? だから、それに見合ったものがやれるのかっていったら自分でもそこはわからないので。それであまりやってこなかった部分もあるし。

これね、あらためて言いますけどプロレスはやっぱりシングルじゃないですよ、絶対! タッグマッチこそがプロレスというのが僕の感覚です。たとえシングルマッチで試合ができようが、何かに優勝しようがそこは譲れないです。なんか、シングルの王座の方がタッグよりも上に見られるけど、僕はタッグがメインのビッグマッチでも全然いいと思っています。むしろタッグの方がその日、プロレスの興行において最後に見る試合として、一番楽しめる可能性の方が高いと思うんです。だから、そこで区別されるのは好きじゃないって、ずっと思っていますよ。

――ただ、今回に関しては出るからには優勝を狙うわけですよね。

KAZMA はい、優勝しますよ。ここに選ばれたということは、出ましただけじゃいけないんで。優勝を狙わなかったら、出られなかった人たちにも失礼だし。会社の誰が選んだのかは知らないですけど、今回のメンバーは誰が優勝してもおかしくないし、ここに壮馬がいても伊藤くんがいてもおかしくない。それこそ田中さんや鼓太郎さんもそうです。誰もおかしくないんですよ。でも、その中で選ばれた意味をしっかり考えながらやらなきゃいけないと思います。

――1回戦の相手・石田凱士選手とは2023年3月21日、大阪でG-REX王座に挑戦して以来のシングルマッチになります。

KAZMA 前回はとてもいいものができたという感触が今も残っているので、それ以上のものができるかどうかに関しては未知数ですね。いきなりバーン!っていうものができてしまうと、それを超えられるか超えられないのかが自分でも読めなくなる。それぐらい、あのタイトルマッチはよかったので。

もう会場がデキ上がっている中、今までの二人の過程もありましたし、すごくいい空気でなぜか「カズマ」コールが起こって自分でも不思議だったんですよ。地元の石田より自分の方が大きかった。その空気に二人も乗せられてできた部分もあったと思います。だからそれとは違う空気の中でどうなるかが読めないんですよね。

――その石田選手から伝言を承っていまして「揺さぶりとかインサイドワークではなく、直球勝負で来てくれ。気持ちのぶつけ合いをしよう」と。つまり、KAZMA選手の持ち味である灰汁の部分ではないところで来てほしいそうなんです。

KAZMA へぇー、じゃあそういうことにしましょうか、直球勝負だ!って(ニヤリ)。あのね、僕はそうやって乗せられるのが嫌いなんで、向かい合ってみてどうなるかじゃないですか。いくかもしれないし、いかないかもしれない。向こうが来いって言っている時点で“振り”かもしれないんだから、言葉通りにいったところで向こうもその通りにくるかなんてわからない。基本、プロレスは振りだと僕は思っているんで。

――でも、直球勝負の対応もできるということですね。

KAZMA (サラリと)できますよ、はい。僕が変化球だけだと思っている人も多いと思うんですけど、そっちが得意なだけで。変化球が効くからストレートが速く見えたりとかもあるじゃないですか。そういう意味では、オールラウンダーだと自分では思っているんですけどね。直球勝負をするのはいいと思いますけど、お客さんが見たいもの、望むことをやるのがプロレスラーなのかな?とも思います。

僕は、そこを裏切るのもプロレスだと思うし、直球勝負しないんだと思わせて出したり出さなかったりして探るのが僕たちなんで。お客さんの求めている通りのものを見せたら面白くなくなると思いますよ。それで、望まれた通りに直球を投げてみて「あれ? 思っていたものと違うぞ」って言われたら嫌ですし。そこはこっちがコントロールすることであって、見る側がコントロールすることではないと思うんですね。

――そういう話を聞くと、予想ができなくなります。

KAZMA いつもと違うものを見せるのも一つのテでしょうけど、自分自身の根本を見せないと良さも出ない気がするんですよね。気持ちはもちろんぶつけますよ。それ以外に関しては、当日のお楽しみにということにしておいてください。

――ただ、同じユニットに所属しG-INFINITYのベルトを持っているこのタイミングで対戦することに関しては、意義を見いだしていますよね。

KAZMA 4月の新宿FACEで1回戦のカードが発表になったのをバックステージで聞いていたんですよ。その時点で「これは俺と石田なんだろうな」と思っていたら本当にそうなったんで、そっかそっかと。まあ、会社も意味がなければ組まないでしょうから。タッグチャンピオン同士で、今までの過程もあって、前回の大阪の続き…自分と石田にしかない紡ぐものがあって、それがまた過程となり続いていくというね。

だから僕も楽しみであり、一レスラーとしては前回負けているからその借りは返さなきゃいけない。一つひとつの武器の強さだったら、たぶん自分の方が破壊力あるんで、いけると思っています。

――そこで石田選手に勝てば、準決勝はリンダマンvs山村の勝者と当たることになるわけですが、これも前回のインタビューで「GLEATの若手はもっと主張して動かなければ」と言っていました。その対象がまさに山村選手になるわけですが。

KAZMA 今は、いいレスラー止まりじゃないですかね。別にクセがあるわけでもないし、特に印象はないです。今までGLEATでもいろいろとユニットができてきましたけど、別に可もなく不可もないポジションであってもいい試合はできますから、平均点よりちょっと上のレスラーじゃないですか。だから、波がないんですよね。

――ということは、リンダマン選手が勝つと。

KAZMA いや、山村くん。ここはいかないとダメでしょ。その方が面白くなるんだから。リンダマンが絶対王者とは僕、思っていないんで、だから勝つチャンスはあると思います。さっき言ったように、誰が誰に勝ってもおかしくないんだから。山村くんはそれこそ何か違うものを出して…ここでいい試合だったと評価されたところで何も変わらないですから。どちらが勝つにしろ、また反対側ブロックから誰が勝ち進んでこようと、僕はあまり関係ないです。誰であってもそれなりに対応できるから。

――KAIENTAI DOJOの時は、団体最高峰のシングル王座(CHAMPION OF STRONGEST-K)を保持していた時もありましたが、その時はどう見えていたんですか。

KAZMA あの頃は無理して頑張っていた気がします。完全に背伸びしていました。真霜拳號とタッグを組んでいたじゃないですか。彼はタッグパートナーをコントロールするうまさがあって、お互いで若干引き気味にやっていました。

――お互いがパートナーを際立たせようとしていた?

KAZMA そう。隣にいた人間の影響は大きいですよ。真霜の場合はシングルプレイヤーでもあり、両方できるんですよね。その分の主張は強かったのに対し、僕はそんなに主張が強くない。周りのいい木が育つ環境の中で、その影響を受けて自分も育った時期だったと思います。だから、その時に見たもの、感じたもの、身につけたものがDRAGONGATEに上がって生かされたんです。

――オープン・ザ・ツインゲートとオープン・ザ・トライアングルゲートを獲ったのはまさにKAZMA選手の真骨頂です。

KAZMA 自分がいたR.E.D.とかは若い選手がいっぱいいたんで、自分が出るよりは彼らに頑張ってほしいというのもあったし、自分ももちろん出たけど、そういうふうに俯瞰して一歩も二歩も引いてやっていた時は(そのユニットは)強かったと思います。

――KAZMA選手のプロレス観を聞くたびに思うのは、よくその方向に自分を持っていけているなと。自分が前に出たいというエゴが優先されないんですね。

KAZMA それは僕が影響されているのが東京愚連隊のNOSAWA論外&MAZADAで。あの人たちがいなかったら僕は勘違いして前に出よう出ようとしていたかもしれない。実際、そうやってしまって「そこはそうじゃないんだよ」と試合直後に言われたこともあったんで、その影響は強いです。

――GLEATが団体としてもキャリアがまだ若かった時点で、ユニットやタッグの経験が豊富でそういうスタンスをとれる選手がいたのが、今思うと大きかったと思います。

KAZMA よく見てくれている人はわかっているとは思うんですよ。そこはわかってもらえたら嬉しいとは思いますけど、わからなかったらわからなかったでいいと思っているんで。表に出る人たちがちゃんと目立って、その印象が強いほどみんなの目はそっちにいって僕のような立ち位置の人間は目立たなくなる。それでいいんです。

だから「本当はわかってくれるだろう」と求めてはいないし、もしも見えちゃっているのであればまだまだなのかなとも思うし。本来は気づかれないままうまくできているのが一番いい。ディック東郷さんや金丸義信さんがそうじゃないですか。でも、そういう方でさえ最近はわかってきちゃっているんですよね。それって僕はあまりよくない気がするんですよ。

――万人に理解され、評価された方がいい立ち位置の選手と、気づかれず、評価されぬままやれた方がいい選手と。

KAZMA だから、このトーナメントに優勝したら一つの評価を得られるわけですから。それもわかりやすい評価じゃないですか。ベルトにしても結局はわかりやすい形だから、それが一番いいんだと思うし、これも一度は通らなければならない道だと思っています。というのは、一度も(GLEATの)シングルのチャンピオンになっていないんで、なった人の気持ちというものがわらない。わからなかったら、他人に対し何も言えないじゃないですか。

――「チャンピオンになってもいないのに、何がわかるんだ」と言われたら、経験していない分、返しづらいですね。

KAZMA 何かを感じても言えないんですよ、立場的には。だから期待というものをされているのだとしたら、それに応えたい気持ちよりも通らなきゃいけないという方が強いですね、個人としては。避けたいですけど、避けちゃいけない。でも、そういったシチュエーションになったことで、こうしてKAZMA SAKAMOTOの意思を強く打ち出せたわけですから、それはそれでいいんじゃないかって思うんです。

BBM

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