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2020-09-14

【相撲編集部が選ぶ秋場所2日目の一番】 隆の勝(寄り切り)朝乃山

初日に遠藤に敗れ、黒星スタートとなった大関朝乃山。「気持ちを切り替えて」と語っていたが、2日目は新鋭の隆の勝と顔が合った。

※写真上=前頭筆頭・隆の勝が朝乃山の右を封じ、左を深く差して寄り切った
写真:月刊相撲

 過去の対戦成績は朝乃山の2戦2勝。まっすぐ当たって押してくる相手だけに立ち合いでしくじらなければ、問題はないはずだった。しかし、朝乃山の踏み込みが甘かった。

 立ち合いは互角も、隆の勝が右から突くと朝乃山は一歩後退。間隔が空いたことで隆の勝の左おっつけが朝乃山のハズにかかる。ハズ押しで上体が起きた朝乃山はすぐに土俵際まで押し込まれ、最後は左を深く差されて寄り切られた。朝乃山はまったくいいところがなく完敗だった。

 大関戦初勝利を挙げた隆の勝は、「本当にうれしいです。大関に右を差されないことだけ意識していました。イメージどおり? イメージよりも上出来です。押し込めたことが一番ですね」とトレードマークの笑顔が弾けた。

 出稽古は禁止されていたが、部屋には大関の貴景勝がいる。大関もケガから回復して、場所前は2人でいい稽古ができたようだ。「大関と稽古をするようになって、力がついてきているのを実感します。最後はがむしゃらに前に出たんですけど、足が止まらなかったのはスリ足と四股のおかげかな。周りのみんなより、スリ足や四股を踏むようにしています」と地道な努力が実を結んだ。

 今場所は西前頭筆頭で最高位を更新した隆の勝。勝ち越せば新三役の可能性も出てくる。「挑戦者の気持ちで一日一番、自分の相撲を取るだけです」と元気よく国技館をあとにした。

 連敗スタートとなった朝乃山は、NHKアナの質問にも無言、記者クラブのリモート取材も拒否した。真面目な力士だけに横綱不在で最高位となった責任を感じてしまっているのか。コロナ禍でゲン直しの気分転換もできず心配である。

文=山口亜土

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