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2020-05-07

5月場所中止、7月場所は国技館で無観客。 「今できることを」と新大関の朝乃山

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本相撲協会は、5月4日、5月場所の中止、7月場所を名古屋ではなく、両国国技館で行うことを発表した。

江戸時代に疫病や火事で何度か中止に

 日本相撲協会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で5月場所の初日を2週間延期(24日初日)し、開催への道を模索してきたが、緊急事態宣言の5月末まで延長の報道を受けて、5月4日に中止を決定した。7月場所は名古屋で行わず、両国国技館で無観客開催を目指す予定、10月の秋巡業を中止するとの発表もあった。

 八角理事長(元横綱北勝海)は、「緊急事態宣言の延長が発令されたことを鑑み、ファンの皆様並びに関係者の皆様の健康と安全を確保するため、5月場所の開催中止を決定いたしました。7月は特別開催としまして7月19日から8月2日、東京で行うこととし、両国国技館での無観客開催を目指す所存です」と広報を通じコメントを出した。

 本場所の中止は八百長問題に揺れた平成23年3月場所以来9年ぶり。国技館の破損で開催できなかった昭和21年夏場所(6月)と合わせ、戦後3回目となる。新聞によっては史上3回目と書かれているが、江戸時代に疫病や火事で何度か中止になっているので、「戦後」と表記するのが正しい。

 緊急事態宣言は今後の状況次第で、早ければ14日にも解除される可能性もあるだけに、中止の決定が早すぎる気もするが、力士たちのことを考えれば、早い決定でよかったと思う。緊急事態宣言の効力がある間は、申し合いやぶつかり稽古が禁止されており、出稽古もできない。稽古不足のまま本場所を迎えても、白熱した取組を見せることは難しく、ケガも心配だ。7月場所の国技館開催も、無観客ならば名古屋で行う必要もなく、移動や滞在のリスクも伴うだけに賢明な判断と言えるだろう。

 中止の報を受けて、5月場所の目玉になるはずだった新大関の朝乃山は、「7月場所に向けて1日1日を大事に、今できることを続けていきます」とコメントを発表した。全力士が同じ思いだろう。7月場所では画面を通じてファンに熱戦を届け、9月場所ではお客さんの声援に包まれた中での取組——。そうなることを願っている。
文・山口亜土(『相撲』編集長)

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