
7月7日、4代目タイガーマスクが引退した。
1995年7月15日、東京・後楽園ホールでデビューして31年間の現役生活の幕を下ろしたが、マスクマンでデビューして同じキャラクターを通したのも珍しければ、デビューした同じ会場で引退を迎えるのも前例は数少ない。
引退セレモニーだけでも1時間近く。タイガーマスクの交流の広さと知名度を物語るように、多くのレスラー、OB、関係者が集まって、4代目タイガーをねぎらった。
試合では、初代タイガーマスクのデビュー戦の相手であり、最高のライバルの1人でもあったダイナマイト・キッドの甥であるトム・ビリントン、初代のライバルであり自身のライバルでもあったブラック・タイガー(4代目)と対戦して、4代目だけでなく“タイガーマスク”の歴史の最終ページを紡いだ。
マスクを脱いで素顔に戻ったロッキー・ロメロは、「LAドージョーにいた時、ニュージャパンから連絡がきた。『ブラック・タイガーになってくれ』『タイガーマスクの相手として日本に来ないか?』って。最初はジョークかと思ったよ」と笑い、「でも、俺にそういうチャンスを与えてくれた。彼のタイガーマスクを背負ってプレッシャーがかかってただろうけど、俺も相当なプレッシャーだった。それまでに2代目、3代目のブラック・タイガーが誕生していたが、俺は初代のスタイルでニュージャパンにリングに上がろうって。先代に恥をかかさないようにって必死だった。でも最後、こうやって指名してくれたということは、ファンのみんなにも認められたということかな」と続け、「これでブラック・タイガーも引退だ」と言いながらも、「プロレスラーの引退といえばカムバックがつきものだから。いつ姿を現すかわからないよ。あのレジェンドが叫んだように、フォーエバー、フォーエバーだ」と笑顔を見せた。
セレモニーではデビュー戦の相手を務めたザ・グレート・サスケも駆けつけた。もともと4代目タイガーマスクのデビューがあって、対戦相手に指名された形だが、「実はデビューしたあとにみちのくプロレスに入るって決まってたんです。だからデビュー前に盛岡入りして、道場で練習してました。1995年の夏って、ちょうど『SUPER J-CUP』やその後の『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア』でみちプロが注目されていた頃。それもあって私が指名されたんでしょう。みちプロ入りが決まってたわけですから、みっともない試合をさせたら、その勢いにストップをかけることになりますからね。私もプレッシャーがありましたよ」とデビューの裏話を明かしてくれた。
結果、敗れはしたもののデビュー戦の評価は高かった。あらためてみちプロに入団して東北地方をサーキットしたが、一目見たいというファンは田舎町にも多く、観客動員に貢献した。
ただ、その直後から新日本プロレスは暗黒期に突入する。そこで4代目タイガーは人気回復、団体を立て直すための切り札的存在となった。「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」で2連覇を果たした時期(2004年、2005年)は新日本が最も苦しかった時代で、4代目タイガーの踏ん張りがV字回復へつながっていった。
棚橋弘至社長は、「本当に苦しい時代でしたけど、控室でもライガーさん(獣神サンダー・ライガー)と2人、明るい雰囲気を作ってくれて頑張ってくれました。もちろん練習やリング上では厳しかったですけどね。でも、あの雰囲気にはずいぶん助けられました。自分も頑張ろうって思わせてくれましたし」と当時を振り返る。
4代目タイガーの引退により、新日本はこれまで掲げていたプロレス界の金看板を降ろしたことになる。「若い選手の中から、タイガーさんのように世間に広く知れ渡るスター選手が飛び出してほしいですね。『G1クライマックス』がその舞台になるか、期待してます」と続けた。
4代目がタイガーマスクを名乗ることで背負った重圧。ただそれは彼一人にだけでなく、4代目にかかわった周囲にも飛び火し、それぞれの立場でのしかかっていた。引退はしたものの、そのプレッシャーは棚橋社長に、新日本を率いる者として新たなスター選手を育て上げるの課題として残された。
橋爪哲也
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