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2019-11-14

【相撲編集部が選ぶ九州場所5日目の一番】 炎鵬(引き落とし)碧山

新入幕で初日から4連勝していた若隆景が右足首の脱臼で休場、また大関復帰を目指していた栃ノ心も右肋軟骨骨折で休場し、幕内力士6人が休場となった。
 若隆景とともに4連勝していた正代も琴奨菊に敗れ、5日目で全勝がいなくなるのは、平成13年秋場所以来18年ぶりのこと。1敗で横綱白鵬、小結朝乃山、平幕5人(若隆景を除く)が並ぶ大混戦となった。

※写真上=半分以下の体重ながら巨漢碧山を翻弄し、引き落としで破った炎鵬
写真:月刊相撲

 小兵の人気力士・炎鵬もトップグループに食らいついている。2場所連続で9勝を挙げ、番付は西6枚目まで上がった。対戦相手も厳しくなり、元三役が多くなった。この日は関脇経験者の碧山と初対戦。体重は炎鵬の倍以上ある。まともにぶちかまされたら、炎鵬は吹っ飛んでしまうが、碧山も小兵相手だけによく見てフワッと立ってきた。

 細かく突っ張りながら叩く碧山だが、炎鵬は前に落ちず果敢に突き返していく。後退した碧山が再び前に出るところを、炎鵬は相手の左突き手を引っ張ると、碧山はバッタリと落ちた。

 今場所の炎鵬は「前に出ることが自分の武器」と小細工なしの勝負を心掛けている。それでも巨漢の碧山を前にして「怖かった。勝つイメージがわかなかった」と語るが、軍配が返ると「無心になれた。前に出ようという意識があったのがよかったのかな」。

 前半戦は好成績の炎鵬だが、後半になると痛むところが増えてきて白星が伸びない。今場所もすでに左上腕部を痛めている。満身創痍で戦う小兵は「一日一番、自分の相撲を取り切る」と決意表明。6日目はいつも大熱戦となる松鳳山戦。今場所も激しい攻防が予想され、炎鵬の相撲から目が離せない。

文=山口亜土

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