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2026-07-14

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所3日目の一番】藤ノ川が豊昇龍を倒して、戦後初の初挑戦から4番連続横綱撃破!

藤ノ川は自らの低さのアドバンテージを生かした土俵際の突き落としで豊昇龍を破り、2日連続の金星。初挑戦から土俵上での対横綱戦4連勝の、戦後初の記録を達成した

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藤ノ川(突き落とし)豊昇龍

初挑戦から、金星、金星と来て、ひと場所おいて、次もまた金星、金星だ。
 
小兵の藤ノ川が、きのうの大の里に続いてこの日も横綱豊昇龍を突き落として2日連続の金星。春場所3日目に大の里を引き落とし、4日目に豊昇龍を叩き込んで2日連続金星を挙げているのと合わせて、初挑戦から対横綱4連勝とした(ほかに夏場所では豊昇龍戦で不戦勝が1あり、数字上は5連勝)。
 
これは、何と戦後では初めての記録。これまでは初挑戦から3連勝で、昭和59(1984)年秋場所で11日目に横綱隆の里を押し出し、14日目に横綱千代の富士を押し出し、九州場所初日に横綱北の湖を押し出し、「黒船来襲」と騒がれたあの小錦(のち大関)と並んでいたが、それを上回った。大きな大きなあの小錦の記録を、小さな「今牛若」の藤ノ川が上回るのだから、何とも面白い、痛快な記録達成だ。取組後のNHKインタビューでは、「記録は知らなかったです」と笑顔がはじけた。
 
相撲を振り返っていこう。いつものように、「思いっきり当たっていった」という藤ノ川だが、この日は先に攻められた。豊昇龍は低い藤ノ川を起こすべく、右から強烈なカチ上げ。そのままヒジをカギ型にして押してきた。さらによく見ながら両手でノド元を突く。藤ノ川はあっという間に俵に足が掛かるところまで押し込まれた。
 
しかし、ここで藤ノ川の小ささが武器になる。俵に足をかけて弓なりになりながら藤ノ川が踏ん張ると、豊昇龍の突きは自然と上から覆いかぶさるようなものになり、上体が伸び加減になってしまったのだ。「圧力が足りないんで、動きでカバーしようと思っている」という藤ノ川は、この機を逃さず、豊昇龍の左脇をスルリと抜けながらの突き落としで横綱を土俵に這わせた。
 
藤ノ川の対横綱4連勝の決まり手は、引き落とし、叩き込み、突き落とし、突き落とし。このあたりを見ると、攻め込まれても腰の構えさえ完全に崩されなければ、相手はどうしても上から下への攻めになる、という藤ノ川ならではのアドバンテージを、思い切った動きで見事に生かしていると言えるだろう。

「(横綱のカチ上げは)頭になかったです。立ち合い当たっていたから(突き落としが)決まったのかなと思います」と藤ノ川。「きのうは懸賞金で焼き肉に行くと言っていたが」と聞かれ、「沖縄料理に行きました。ゴーヤチャンプルーがおいしかったです。きょうこそ焼き肉に行きます」とまた笑顔。もちろん小兵力士でもあるので、“両横綱に勝ったから、残りは楽勝”ということにはならないが、東の筆頭であり、新三役へ大きく視界が開けてきたことは確かだ。
 
一方、今場所こそ横綱昇進後の初優勝をと狙う豊昇龍は3日目にして土がつき、取組後はノーコメント。とはいえ内容的には今後に尾を引くような負け方ではないので、まだまだこれからだろう。まあ、前を行かれることになった霧島が絶好調なので、「もう負けられない」という気持ちは強くなるかもしれないが……。
 
この日は、豊昇龍のほか、大関琴櫻が美ノ海に腕をうまく手繰られて押し出され土。一方、連敗スタートだった大の里は隆の勝の右ノド輪を左であてがって外し、前に攻め切って、ついに白星。本人もファンもホッとしたであろうこの1勝で、あすから状況を好転させていけるか。関脇陣は、琴勝峰が義ノ富士、熱海富士が王鵬と、それぞれに力強い相撲で小結を退け、安青錦はまだ慎重な感じの動きではあったが、理詰めの攻めで伯乃富士を封じて白星を重ねていずれも3連勝とした。
 
霧島はこの日も文句なしの相撲で豪ノ山を押し出し。優勝争い本命の座は間違いのないものとなってきたが、果たしてそこに競りかけていく力士は、あすから巻き返しての横綱・大関陣になるのか、あるいは関脇陣になるのか。ある意味では、ちょっと様相の見えづらい場所になってきた。

文=藤本泰祐

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