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2026-07-16

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所5日目の一番】霧島、まさかの黒星。V候補本命は変わらずも、「レベルの高い優勝」へは痛い1敗

霧島は平戸海を相手に受ける相撲になってしまい、押し出されて土。優勝争いではまだまだ中心とみられるが、「レベルの高い優勝」に向けては、痛い1敗となった

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平戸海(押し出し)霧島

綱取り大関の霧島が、まさかの黒星だ。
 
土をつけたのは平戸海。今場所は、初日から当たりよく攻める相撲を多く見せていたが、連日あと一歩届かず、白星は手にできていなかったので、霧島にとっての落とし穴がここにあるとは、ちょっと予想はしづらかった。
 
だが、少々黒星が続いたからと言って、技巧に走ろうという気を起こすことなく、「立ち合い負けだけはしないように。思い切り当たって、何も考えずに前に出よう」と思い続けた、平戸海の魅力である愚直ともいえる姿勢が事態を打開した。
 
立ち合いはやはり平戸海が低く当たり勝った。霧島は、決して油断したとは思わないが、少なくとも立ち合いから先手で攻め込もうという感じではなく、「捕まえれば何とかなる」という感じの立ち合いになっていたように思う。
 
平戸海が立ち合いから攻め、頭が相手の胸のあたりに入り、霧島から廻しが遠くなるいい角度で圧力をかけ続けると、霧島は左で相手の頭を抑え、回り込みながらの引き。そこからは、霧島が負ける時のパターンでもある、受けに入ってさばこうとする相撲になってしまった。
 
相手からの圧力がなくなってしまえば、ここからは平戸海の相撲。平戸海は相手にイナされたり、手繰られたり、廻しを取られたりしないよう、理想的な上体の角度を保ちながら、自分が廻しを求めるのではなく、押しに徹して押し出した。
 
初日を出した平戸海にすれば、マジメに、愚直に頑張っていれば、天は見ていてくれるということか。横綱・大関戦はまだこれからなので、この白星をきっかけに、もうひと暴れもふた暴れもしてもらいたいところだ。
 
さて一方、「あまり内容がよくなかった」と語った霧島の状況はどうか。まず優勝争いの上では、この日、土がついたことで、トップを滑り落ちることになった。5日目を終わって全勝は、ここまで文句なしの内容の若々しい突き押しが光る若ノ勝と、まるで生まれ変わったように体を生かした力強い相撲を今場所見せている獅司の2人(ちなみに1敗は豊昇龍、霧島、安青錦ら9人)。全勝の2人はどちらもこの調子が続けば自己最多の勝ち星を挙げる可能性は十分あるが、とはいえ平幕ではあるので、霧島にとっては、横綱豊昇龍や、この日琴櫻を破った安青錦に星の上で並ばれたということのほうが大きいだろう。
 
3人のここまでの相撲内容を見ると、相対的には一番いいのは霧島という感じがするので、まだ優勝候補の一番手は霧島だとは思うが、豊昇龍や安青錦はここ一番の勝負になったときに霧島を倒す力がある力士なので、霧島としては直接対決のある終盤までにはリードして迎える形を作りたいところだろう。
 
そのように、「優勝できる可能性」に関しては、まだまだ十分あるとみられる霧島だが、綱取りへのハードルとして課されている「レベルの高い優勝」を考えたときには、5日目での1敗はかなり痛いと言える。「レベルの高い優勝」は数字では明示されていないが、まあ感覚的には13勝以上はしないと、という感じではないだろうか。もちろん何勝だろうと優勝さえしてしまえばムードが盛り上がって……、という可能性はあるが、普通に考えればあと許される黒星が1つ、というのは、なかなか精神的にも余裕のない状態のはず。このあたりをこれからどう乗り越えていくか。

「優勝の可能性は十分だが、綱取りの可能性は……」という、綱取り大関としてはちょっと珍しい状況になってしまった霧島だが、ここからどんなドラマが描かれていくのか。まだ場所は3分の1が終わったところで、先はかなり長い。

文=藤本泰祐

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