写真は昭和32(1957)年10月3日、都内は中央区の浜町グラウンドで行われた「大相撲家族慰安運動会」の各部屋仮装行列での一スナップである。
※写真上=このスカート姿の美女は、まだマゲも結えない新弟子時代の龍虎
写真:月刊相撲
長い人生には、誰にもエポックメーキングな瞬間があり、それはたいてい鮮やかな一シーンとなって人々の脳裏に刻まれている。
相撲ファンにも必ず、自分の人生に大きな感動と勇気を与えてくれた飛び切りの「一枚」というものがある――。
本企画では、写真や絵、書に限らず雑誌の表紙、ポスターに至るまで、各界の幅広い層の方々に、自身の心の支え、転機となった相撲にまつわる奇跡的な「一枚」をご披露いただく。
※月刊『相撲』に連載中の「私の“奇跡の一枚”」を一部編集。平成24年3月号掲載の第2回から、毎週火曜日に公開します。
屈強な男たちが女装して繰り出したのは、当時“土俵の鬼”として売り出し中の若ノ花を擁する阿佐ケ谷の花籠一門。
女装男性がテレビに当然のように登場する現在と違って、当時は男性が化粧し、ちょっと女性用の服を着て見せるだけで異形の仮装と面白がられた時代だった。
とはいえ写真中央のスカートを履いた“仮装”人物は、美人度でも際立っていると思われないだろうか。これはこの運動会の風景をリポートした雑誌『相撲』に載ったスナップだが、写真説明記事でも「八頭身もみごとな美人ぶりに会場のお客さんもちょっと息をのむ」と絶賛している。
実はこれ、私の相撲の同期生(昭和32年初場所初土俵)で、大親友の龍虎こと鈴木忠清くんの新弟子時代、青春の一コマである。
この1月に入門したばかりで、マゲもチョンマゲが結えるまで伸びていなかったのだろう。逆にそのまま地毛を生かしてモダンパーマ風にした髪型がその顔立ちを引き立てている。足元のハイヒールに仕立てたブサイクな下駄がでっかい足にご愛嬌。
この仮装、兄弟子の強制とか、本人に嫌がっているふうは見えない。逆にあっけらかんと楽しんでいる。とにかく明るい男なのだ。
45、46人(新弟子検査不合格を含めると実際には70人ぐらい)いた同期生のうち、最終的に幕内に上がったのは私と若乃洲、龍虎の3人。ところがその大勢の新弟子の中で弱さの一、二を争っていたのが龍虎と私のコンビだったのだから、世の中分からない。まさかと思われるかもしれないが、私たちは俗に“停年”(自費養成力士制度と言い、入門以来30場所経っても幕内に上がれない力士には力士養成費が打ち切られた)ギリギリまでかかったのだから本当にへなちょこで弱かったのだ(ともに細っこい体でパチャパチャと動き回るだけの相撲だった)。今考えると若さに任せて人生を楽しむほうに熱を上げていたのだから無理もないか。
龍虎は私が大関に上がったころにもまだ幕下だったのだから本当に遅咲きだった。大ベテランと呼ばれるようになってからの彼のケガ等との戦い、頑張り、相撲を離れてからの活躍は皆さんご存じのとおり。
若いころ回り道をしていた分、私たちは、他の力士より確かにモテていた。その意味ではオレたちの「番付」は逆転、アイツのモテ度は横綱で、オレは小結ぐらいだったかもしれない。
弱い者同士、似た者同士だったのだろう、私たちは部屋、一門を超えて仲良くなり、肝胆相照らす長い付き合いをしてきた。
その彼が平成26(2014)年秋場所を前にした8月29日、心筋梗塞で突然逝ってしまった。盛大な葬儀で、「オレは新しい日本人横綱誕生を見るまではお前みたいに簡単にそっちにはいかないからな」と言って送り出したものの、さまざまな思い出が次々とよみがえってくる。場所が始まってからでも、優勝争いを横目に、昔からカッコいいやつだったよなあ、と時折アルバムからこぼれてくる写真に、ぼんやりと見入ったりしているこのごろである。
語り部=北の富士勝昭(相撲解説者、元52代横綱北の富士)
月刊『相撲』平成26年10月号掲載
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