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2026-07-20

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所9日目の一番】霧島2敗目、豊昇龍3敗目。横綱・大関陣総崩れでV争いは一気に混とん

俵の上、左足一本で残しながらの美ノ海の突き落としで、先に手をついてしまい、霧島は痛恨の2敗目。綱取りへは、もう一番も落とせなくなった

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美ノ海(押し出し)霧島

幕下の取組で、「史上最強の新弟子」とも言われ、序ノ口から25連勝(優勝決定戦除く)してきていた旭富士が関取経験者の生田目の気迫あふれる突き押しに敗れて、デビュー以来初めての黒星。「きょうは何かが起こる日?」という予感はないでもなかった。
 
が、まさかこれほどとは……。幕内に入り、平穏だったのは獅司と琴栄峰が1敗を守ってしっかりと勝ち越した前半戦まで。後半戦に入って結び4番では嵐が吹き荒れた。きのうのこのコラムでは「霧島独走への流れができるか」と書いたが、全くそうはならなかったばかりか、なぜか「豊昇龍が星を落とすかも」の予感だけは当たって、横綱・大関陣が総崩れの一日になってしまったのだ。
 
まずカド番大関琴櫻が伯乃富士の上手投げに転がされて再び黒星先行の5敗目。
 
そして次が綱取り大関の霧島だ。この日は安青錦や豊昇龍と比較すると落とす可能性は低いかと予想されたが、そう簡単にはいかなかった。
 
まず立ち合い。左は差せたが右手が伸ばせず、最も警戒すべきだった左前ミツを美ノ海に許してしまう。それでも右から極めるようにして下から持ち上げ、これを切ることに成功、ここまではよかった。相手が一瞬横向きになったところをとらえ、左からの突き。攻め込むタイミングとしてはこれは当然だったが、一気に決めようとしたところに落とし穴があった。美ノ海は左足を踏み越しそうになりながらも、ギリギリ俵の上で残しながら右から突き落とし。霧島は相手が土俵を飛び出すより先に手をついてしまった。物言いがついたが軍配通り美ノ海の勝ちに。

「足が片方、残ったつもりだったけど。僕の位置から見えなかった。取り直しか負けかなと。左は狙った位置が取れた。アレがないと残れない」と美ノ海。霧島は2敗目を喫し、優勝候補本命が一歩後退となった。
 
そして結び前は安青錦と大の里だ。今場所の成績は1敗の安青錦のほうがいいが、過去の対戦成績は大の里が4戦すべて白星、さらに安青錦が昨日左足を痛めて万全ではないこと、ここにきて大の里が調子を上げてきたことを考えると、安青錦が勝つという予想はしづらかった。
 
相撲は予想通り、立ち合いから突き放して当たり勝った大の里が一気に攻める形になったが……、ここでも大の里が一気に決めようとしたところに落とし穴があった。簡単に突き出そうとした大の里は体の寄せが甘く、安青錦に左に逃げられ、自ら勢い余って土俵を飛び出すような形になってしまった。
 
結びは豊昇龍だ。霧島が敗れ、トップグループに残った役力士の安青錦は手負いと、ここで勝てば一気にV候補本命に躍り出ることができたが、義ノ富士を起こせず、下から二本入られて寄り切られた。
 
これで9日目を終え、1敗は関脇安青錦、平幕の琴栄峰、獅司の3人、大関霧島、平幕伯乃富士、髙安、朝乃山、尊富士の5人が2敗で追う形になった。
 
普通の状態でこの星勘定なら役力士で1敗の安青錦がV候補になるところだが、この日の相撲を見ても左足に不安があることは明らか。大関復帰へのあと2勝はなんとかなるかもしれないが、この先、優勝するほど星が残せるかと言われればちょっと苦しい気がするのが正直なところだ。
 
そうなると1敗の平幕勢や2敗の霧島にも十分チャンスがあると見えるが、霧島は優勝の可能性はともかく、横綱への可能性としては、もう全く落とせなくなり、目の前の一番、一番を勝っていくしかなくなった。さらに2敗の伯乃富士、3敗の豊昇龍は、優勝のチャンスは残すが、「霧島と安青錦の2人に勝てれば」の条件つきになるので、これも一番一番の勝負だ。
 
こう考えると、W杯の決勝トーナメントではないが、誰にとっても、「もう毎日が負けられない戦い」となってきたといえ、さらに言えば、それはここまで5勝4敗の横綱大の里、4勝5敗のカド番大関琴櫻にとっても同じこと。見ているファンにとってはどの一番も手に汗握ることになるのでいいが、ここからはどの力士にとっても、シビれる残り6日間になりそうだ。

文=藤本泰祐

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