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2026-07-21

【相撲編集部が選ぶ名古屋場所10日目の一番】安青錦、負傷してなお強し。左足支えに踏み込み、最後は右足軸で横綱投げ飛ばす

安青錦は立ち合い右足から踏み込んで左下手を取ると、最後は右足を軸にした上手投げで豊昇龍を投げ飛ばし、1敗をキープ。大関復帰へもあと1勝とした

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安青錦(上手投げ)豊昇龍

足が万全でなくても、なお強しだ。
 
安青錦が横綱豊昇龍を投げ飛ばして1敗をキープし、今場所後の大関復帰の条件である10勝にリーチを掛けた。
 
この日の相手の豊昇龍に対しては、安青錦は過去、優勝決定戦を含めると5勝1敗。相手は横綱といえども、体調万全なら完全に有利と言える相手だ。ただ、今場所の安青錦は、もともと左足首に不安があったうえ、8日目の隆の勝戦で左足親指を痛めており、ちょっと状況が違った。記者団に左足の状態を聞かれると話を遮ることもあって、やはり通常の状態ではなさそうな雰囲気は強かった。
 
まずは立ち合いが注目されたが、安青錦のそれはちょっと意表を突くものだった。頭を下げていったのはいつもと同じだが、痛めている左足を支えるほうにして、右足から踏み込んでいったのだ。
 
豊昇龍は、それほど全力で突っ込む感じではなく、左は下から掬うように差しに、右はヒジを張って相手を起こしつつ距離を取ろうというような形で立った。安青錦が右足から踏み込んだことが横綱にとって予想外だったのかどうかは分からない、が、とにかく豊昇龍の右と安青錦の左は、ぶつかるまでにわずかに距離と時間が空いた。
 
これが結果的には安青錦に幸いした。豊昇龍は安青錦の頭を起こすことができず、安青錦は左から少しおっつけると、すぐに左の廻しを取ることに成功したのだ。
 
今の安青錦にとっては、この左の廻しこそ命綱。これが取れれば、自分の動きが安定し、右足のほうを軸にして投げを打つことも可能になるからだ。
 
安青錦はすぐ左に回って上手投げを打つと、右も差し込んで下手を取り、食いついた。
 
豊昇龍はこうなると、右からの投げに勝負をかけるのがいつもの流れ。もちろん安青錦もそれは先刻承知で、横綱が掬い投げに来たところ、左足を前に入れて左から上手投げを打ち返し、豪快に横綱を転がした。

「(立ち合いは前廻し狙い?)それはよかったと思います。体が勝手に動いてくれた。いい感じだった。止まってしまうと横綱はいろんな技を持っている。どんな体勢でも自分から攻めようと思っていた」と安青錦。立ち合いの踏み込み以外は、左足の不安の影響を最も少なくするような、理想的な相撲内容だった。
 
これで安青錦は役力士ではただ一人の1敗をキープ。この日、1敗だった平幕勢は、獅司が朝白龍に敗れ、安青錦と並走するのは阿炎を切り返しに破った琴栄峰のみとなった。2敗は大関霧島、平幕の髙安、朝乃山、尊富士、獅司の5人。
 
安青錦は、優勝争いという意味では、対戦を残す霧島が1差でおり、琴栄峰とも当たっていないので、まだ有利と言い切れる状況ではないが、今場所のもう一つの目標である、大関復帰ラインの10勝へは、いよいよあと1勝とリーチを掛けた。
 
安青錦は、今場所に臨むにあたっては、最初から、「(大関復帰の)10勝を目指すのではなく、優勝を目指していく」と公言していたが、だからと言って大関復帰なぞ眼中にない、というわけではなかろう。先の発言には、もちろん、一つには文字通り、「目標は高く持つべきで、力士として目指すところは当然優勝」ということはあると思うが、同時にそれは「大関復帰の10勝を目標に設定してしまうと、そこへの星勘定をして硬くなりがちなので、目標を遠くに置くことでそれを防ぎたい」という、大関復帰実現の可能性を高めるためのプランでもあったと思う。
 
あすは圧力のある豪ノ山との対戦。安青錦は「(大関復帰へあと1勝は)特に気にせず、残り5日間やっていきます」と言うが、できれば大関復帰はあした決めてしまいたいところだ。そうすれば、本当に優勝というところ一本に狙いが絞れ、対霧島の勝負に集中することができる。

「(昨日と比べて)だいぶ動いてくれていると思います。(痛みに慣れた?)それは分からない。なかなか難しい」と、足はまだ万全とは言えないながらも、本人の気持ちも含めていいほうには向かっているよう。もしこの状態で優勝まで走り切ることができれば、また一つ、安青錦という力士のスゴさが証明されることになるが、結果はいかに。

文=藤本泰祐

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