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2026-10-06

【連載 泣き笑いどすこい劇場】第41回「失敗」その2

平成24年九州場所2日目、白鵬―栃煌山戦をさばく式守伊之助。よく見ると袴の左足側だけがタイトで、右足側は生地が余っているのが分かる

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この世の中、どこを突っついても一点のスキもない完璧な人間なんか、いません。
みんな、どこかになんらかの弱点や傷を秘めているものです。
だから、大小はともかく、失敗、ミスをしでかすんですね。
でも、失敗するのも人間らしくていいじゃないですか。
なんの失敗もしない人間なんか、きっとつまらなくて、肩が凝って、付き合えたものじゃありませんよ。
大相撲界にも失敗談は山ほど転がっています。
それも漫画チックなものからシビア過ぎるものまで、実にさまざまです。
そんなミステークにまつわるエピソードです。
※月刊『相撲』平成22年11月号から連載された「泣き笑いどすこい劇場」を一部編集。毎週火曜日に公開します。

片方に両足を……

37代木村庄之助が39代の式守伊之助に昇格し、初めて立行司になったのは平成24(2012)年九州場所のことだった。初日は緊張でコチコチだったが、なんとか無難にこなし、やれやれと胸をなで下ろした。もしかすると、このホッとしたのがよくなかったのかもしれない。

翌2日目、土俵下の控えに入った伊之助は何となく違和感を覚え、ふと目を下半身に移して思わずあっと飛び上がった。なんと袴の片っ方に両足とも突っ込んでいたのだ。この伊之助、数年前に大病を患い、それまで74キロ前後もあった体重が52キロにまで落ちていた。そのため、片っ方に両足を突っ込んでもゆるゆるで、花道を歩いて控えに入るまでまったく気が付かなかったのだ。

「いやあ、あのときは冷や汗がドッと噴き出した。座るとき、なんかおかしいので、変だなとは思ったんだ。控えに入った以上、いまさら着替えに走るワケにはいかない。ええい、もうなるようになれ、と腹をくくってそのまま土俵に上がったんだけど、足元がもつれて転ばないでよかった。もし転んでいたら、みんなの笑い者になるところだった」

と伊之助は胸をなで下ろしていた。

しかし、中には目ざとい人もいるもので、いつも以上に伊之助の足元がひらひらしているので、「おかしいな」と思った人もおり、後日、あれは新しい袴か、と伊之助に問い合わせがあったという。たとえ袴を履いていなくても、足元には十分に気を付けないといけない。

月刊『相撲』平成26年3月号掲載

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