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2026-10-16

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第42回「勝ち飯」その1

平成27年初場所9日目、すっぽんパワー満タンの日馬富士が豪栄道を押し出す

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体力勝負の力士たちにとって、食べることは稽古の一つ。
前回も「スタミナ源」で取り上げましたが、食べることにそれこそ命をかけています。
そこで、今回は力士の「勝ち飯」にこだわりました。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

すっぽんパワー

腹が減っては戦(いくさ)ができぬ、と言います。勝負する前に、まず食うものを食って、腹をいっぱいにしなくちゃ勝ち抜けない。当然のことですね。
 
平成27(2015)年初場所のちょうど折り返し点、8日目の夜のことだ。前日の7日目、初顔だった前頭4枚目の常幸龍に土俵際まで攻め込みながら突き落とされ、初日からの連勝が「6」で止まった横綱の日馬富士は打ち出し後、夜の街に繰り出し、すっぽん料理店に入った。ここでもう一度、スタミナを補充し、後半戦に備えよう、という魂胆だ。そして、食って、食って、食いまくった。たいらげたすっぽんの数がなんと1ダースの12匹。

「前足の付け根の部分が柔らかくておいしいんだよ。炭焼きで食べたんだけど、最高だった」
 
と後日、日馬富士は思い出したように舌なめずりしながら話している。もちろん、鍋も注文し、最後はお決まりの雑炊でしっかりしめた。
 
これだけ食えば、パワーは満タン状態だ。翌9日目、大関の豪栄道をたった4秒2で押し出した日馬富士は、

「自分の流れで相撲が取れた。土俵に上がれる喜びを感じながら集中できているよ」
 
と自画自賛した。
 
しかし、こうして必死に追いかけたものの、肝心な優勝争いは、中盤から先頭に立った白鵬が土つかずのまま逃げ切ってしまった。日馬富士は11勝4敗の準優勝。ひょっとすると、白鵬はもっとたくさん、すっぽんを食っていたのかもしれませんね。

月刊『相撲』令和4年9月号掲載

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