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2026-10-09

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第41回「スタミナ源」その4

巡業地で記者から差し入れられたおでんの卵を食べる貴景勝

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この夏も暑かったですね。夏だから暑くて当たり前だって? 
そりゃそうですが、こう暑くっちゃ体力が持ちません。
誰ですか、木陰でぐったりしている人は。
それに引き換え、力士たちのあの元気さはなんなのでしょう。
酷暑、猛暑だって言うのに、令和4年名古屋場所も元気もりもり。
連日、汗まみれになりながら、熱戦、熱闘を繰り広げました。
いや、名古屋場所だけじゃありませんよ。
1年中、彼らは元気いっぱいです。
あの底なしの元気の素、尽きせぬスタミナ源は何なんなのか。
どうやら食にありそうですが、その秘密を探ってみましょう。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

疲労回復には卵

力士たちはそれぞれ、こだわりのスタミナ源を持っている。大関貴景勝(現湊川親方)のこだわりは卵とにんにくだ。
 
平成30(2018)年九州場所11日目、まだ東小結だった貴景勝は東前頭2枚目の栃煌山(現清見潟親方)をタイミングよく叩き込んで1敗を守り、8日目からの単独トップを維持した。このときの貴景勝は、前師匠の貴乃花親方が突然、相撲協会を退職したため、千賀ノ浦部屋に移籍したばかり。さまざまな雑音やプレッシャーにもめげず、連日大奮闘の秘密を問われた貴景勝は迷わず卵パワーをあげた。

「毎日、10個以上、食べている。卵は疲労回復にもなるし、体の張りも出てくる」
 
とその効果をあげ、この場所は、

「そのままよりも食べやすいから」
 
と75度のお湯で作る温泉卵に凝っていることまで明かした。この大量の卵摂取について、後日、ネット上などで賛否の声があがったが、貴景勝は、

「たくさん食べるとコレステロールがどうのと言うけど、そんなことはないと研究結果が出ている」
 
と一歩も譲らず、巡業地では報道陣から差し入れられた15個ものおでん種のゆで卵を笑顔で食べて見せた。それよりなによりこの場所の貴景勝は最後まで勢いが止まらず、13勝2敗で初優勝したのが最大の証明だ。小結では18年半ぶりの快挙だった。
 
この貴景勝がもう一つ、愛用しているスタミナ源がニンニクだ。平成31年春場所9日目の打ち出し後、ボクシングの亀田3兄弟の父、史郎さんから、

「感謝の気持ちは白星で返してくれたらええ」
 
と約80個もの特製の黒ニンニクを差し入れられた。
 
何度も小さく頷いた貴景勝。翌10日目、横綱の鶴竜(現音羽山親方)を猛然と突っ張り、懸命に回り込もうとするところを鮮やかに引き落として8勝目を挙げた。ニンニクパワー全開。さっそく感謝の意を表したのだ。
 
足取りも軽く引き揚げてきた貴景勝は、

「初顔のつもりで、精神的に負けないようにした。体が勝手に動いた。脳みそがいい判断をしてくれました」
 
と会心の表情だった。
 
この中盤でのスタミナ補充が功を奏し、千秋楽、栃ノ心との“大関入れ替え戦”に勝った貴景勝は、場所後、晴れて大関に昇進している。初土俵から所要28場所での大関昇進は、6場所制下の日本人力士としては史上最短だった。

月刊『相撲』令和4年8月号掲載

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