※写真上=8月のインターハイ100mバタフライで9年ぶりに高校新記録をマークした石川愼之助
写真◎榎本郁也/スイミング・マガジン
ジュニアスイマーの活躍を振り返る「男子編」。
女子のように、高校生ですでに日本代表入りしている選手がいるわけではないが、順調に育てば東京五輪に出場が叶うかもしれないハイレベルな記録をマークした選手も複数おり、その活躍から目が離せない。
今シーズン、男子でインターナショナル標準を突破したのは計6選手。その中でも、インターハイの100mバタフライで51秒92の高校新をマークした石川愼之助(パル西尾/中京大附中京高3年)、日本選手権の200m自由形で1分48秒90で5位、10月のユース五輪でも1分48秒75で5位に入った吉田啓祐(日大豊山高3年)。この両名は、この波に乗ってさらに記録を伸ばすことができれば、来シーズン、世界選手権代表も夢ではない好位置につけていると言えるだろう。吉田は、まずは800mフリーリレーのひとりとして、一方の石川は、日本ランキング3位、2018年シーズンの派遣基準(51秒76)に当てはめれば0秒16に迫っているその双方の観点から、個人種目での代表入りを目指す位置につけていると言っていい(ただし2019年の選考基準は改めて設定)。
新たな戦力として、世界選手権の日本代表に名を連ねることができるか、ここから来春までの強化がカギを握る。
今シーズンのジュニアの男子全体を見てみると、トップ選手と密接な結びつきがあることが見えてくる。
日本水泳連盟が定めるインターナショナル・ナショナル標準記録を見ていくと、対象となっている中学1年生から高校3年生までの6学年の合計突破数上位の常連は200m平泳ぎ。これはお家芸であり、世界大会で頻繁にメダルを獲っている種目であることからも当然と言えば当然である。高校ランキング1位は2年生の林太陽(スウィン東光/武南高)で、2位に深沢大和(Style1/慶應義塾高3年)、3位にはここでも2年生の谷口卓(日大豊山高)が続いている。
そして近年、突破者数を着実に伸ばしているのが400m個人メドレー。2016年の13名から2017年には17名、そして今季は18名と、ついにお家芸・200m平泳ぎ(16名)を抜いた。これは萩野公介(ブリヂストン)、瀬戸大也(ANA)の活躍に起因するものが大きいと見ていいだろう。高校生では年齢無差別のインターナショナル標準を2名が突破しており、その松本周也(伊東高3年)と井狩裕貴(イトマンSS/近畿大附高3年)が日本ランキングでも5位と6位につける充実。さらにこの種目は中学生も活況で、3年生に至っては7名がナショナル標準を突破しており、彼らの存在は、上級生にとって大きな刺激となっている。
もう1種目、今シーズン、大躍進を遂げたのが200m自由形だ。ナショナル標準記録の突破数だけを見ても、6学年の突破合計数は昨年の11名から19名にジャンプアップ。これは先に挙げた200m平泳ぎ、400m個人メドレーを上回り、男子の種目別で堂々の1位だ。その背景のひとつにあるのは、リオ五輪800mフリーリレーでの銅メダル獲得。個人種目の出場枠が2名なのに対し、リレーは4名に代表入りのチャンスがあるということも、目指す選手たちのモチベーション向上になっているのは間違いないだろう。冒頭に挙げた吉田を筆頭に、高校生は石崎慶祐(ダッシュ新潟/新潟県立長岡大手高3年)、個人メドレーを専門とする大武誠之(DOSS豊洲/芝浦工大附高3年)がトップ3を占め、高校1年生の石田虎流(イトマン東京/慶應義塾高)、中学生では同じく個人メドレーも得意とする加藤晃成(豊橋SS/豊橋市立東部中3年)ら、成長著しい下級生にも逸材がひしめいている。
1年で急成長を遂げる可能性を秘めている男子のジュニア選手たち。2019年はどんな選手が出現し、どの種目に成長が見られるか、楽しみだ。
(注)文中のランキングは、日本水泳連盟が設定するインターナショナル・ナショナル標準記録の突破指定大会にて出した記録での順位を示す(データは10月23日現在)。
文◎桜間晶子(スイミング・マガジン)
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