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2019-08-22

[甲子園・記者コラム] プレーイングマネジャー、最後の大仕事

8月22日、第101回大会の決勝戦が行われる。履正社(大阪)、星稜(石川)がともに初の優勝を目指して激突する。
 圧倒的な打撃力でコマを進めてきた履正社のスターティングオーダーには、マネジャーとして仕事を務めあげた選手が名を連ねている。

※上写真=準決勝の明石商戦では2安打2打点1得点と活躍した履正社・西川
写真◎高原由佳

選手とマネジャーの両立を経た成長の成果

 今大会打率.500と当たっている履正社の西川黎には、選手としてだけでなくマネジャーの役割もある。

 練習では欠席者や道具の確認、試合へ向けては道具を磨いたりする。
 岡田龍生監督から任命されたのは新チームになってすぐ。これまでは個人練習の多い投手から選ばれることが多かった。野手はグラウンドでの全体練習の時間が長くなるため、両立のハードルは高い。

「先輩のマネジャーの方からも大変だと聞いていたので、自分にできるかなという不安の方が大きかったです。選手とマネジャーを一緒にやることで練習時間を削られたりするので。自分の技術のことだけじゃなくてチーム全体を見るというのが大変かなと思います」

 時には学校で練習した後、グラウンドに持って帰るはずのノックボールを置きっぱなしにしてしまったり、公式戦にヘルメットを忘れて行ってしまったこともある。岡田監督から何度も雷を落とされたが、この場面でどういったバッテイングが必要か、守備位置はどうすべきかなどに注意が向くようになり視野が広がった。

 大変だったプレーイングマネジャーも任期はあと1日。
 後継者には「大変な仕事だと思うんですけど、人間性もすごく成長できる役職だと思うので、なったからにはしっかりやってほしいなと思います」とエールを送るが、引き継ぐ前に最大の大仕事が待っている。

「勝つために全部やってきたことなので、星稜にリベンジして勝つことが一番良い仕事かなと思います」

 目指すのはチームを頂点に導く、日本一のプレーイングマネジャーだ。

文◎小中翔太(スポーツライター)

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