男子マラソン日本記録保持者の大迫傑(ナイキ)が3月1日の東京マラソンで、自身の記録を21秒更新。2時間05分29秒の日本新記録で4位(日本人トップ)に入ったレースを振り返った。
写真上=2018年のシカゴマラソン以来の日本新樹立となった大迫は、日本実業団連合から報奨金1億円を授与された
撮影/中野英聡(陸上競技マガジン)
昨年9月のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)では3位となり、東京五輪代表内定を逃していた大迫。残り1枠を争うMGCファイナルチャレンジ(指定3レース)では、代表内定条件の設定記録(大迫の自己記録を1秒上回る2時間05分49秒)を突破する選手が出てこなければ、大迫がそのまま代表に内定することになっていた。しかし、大迫は、これまでのマラソンではすべて3位に終わっていたこと、また、待つのではなく、MGCで3位に終わった悔しさを晴らすべく、この半年間には初めてケニア合宿を行うなど、今大会に向けて調整を続けてきた。
レースでは序盤から2時間03分00秒設定(1kmごと2分55秒/5kmごと14分35秒)のペースメイカーの集団に付き、25km過ぎではいったん、後退したものの、30km過ぎから再びギアをアップ。32km過ぎでは、日本記録ペースを刻んでいた井上大仁(MHPS)をとらえ、その後は前を行く海外勢を追い、最終的には4位でフィニッシュした。
3月8日に行われるびわ湖毎日マラソンで、今回の大迫の日本記録を上回る選手が出てこなければ、大迫がマラソン代表に内定する。
以下、表彰式後の記者会見の概要。
「結果的に4番という順位ではあったのですが、東京五輪に近づけることができてよかったと思います。(レース直後のインタビューで涙したこと)プライベートなことなので、内緒にしておきます。
あまり(日本)記録については考えていなかったので、最後の3~4kmで(記録更新)いけるかなと思ったくらいです。
(22~23kmで先頭集団から離れたときは)リラックスして1回休んで自分のリズムを取れればと思っていたら、再び(32km付近で)追いつくことができました。
追い付いたときに集団のペースが遅く感じたので、井上選手含めてきつそうだったので、チャレンジしていこうかなと思って、ペースを上げました。いつもなら後ろに控えて休んだりするのですが、大会前のケニアでの練習なども通して、いけるのかなと。
昨年9月のMGCに比べると、ペースが速かったので比較的後ろで見れたことで冷静にいけた分もありますが、MGCにしても、今回にしてもきつかったです。
まずはMGCシリーズを終えてほっとしたましたし、(日本新記録による)賞金の使い方については、スクールや来年の大会開催など、これから育っていく選手ために使っていける部分もあるのかなと思っています。
また、多くの選手がMGCからこの東京マラソンまで、来週のびわ湖毎日マラソンもありますけど、緊張感を持って取り組み、独特な緊張感、プレッシャーのなかでまた同じスタートラインに立てたことは価値のあることだと思います。
皆さんが思うような海外との差ではなく、自分自身が早くなることを追求している。結果的に4番だったので、まだまだかなと。現時点で東京五輪に近づいたので、まだ来週ありますけど、次に向けて頑張っていきたいと思います」
構成/牧野 豊(陸上競技マガジン)
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