箱根駅伝を走ることを目指し、実業団経由で日本大に入学したチャールズ・ドゥング(1年)。かつて都大路を沸かせたオールドルーキーは学生駅伝デビュー戦となる箱根でも快走を誓う。
写真上=箱根駅伝予選会では個人4位。母校のシード権獲得のため、エース区間の2区で快走を誓う
撮影/犬童嘉弘(陸上競技マガジン)
日本育ちのケニア人ランナーが憧れの箱根路の舞台に立つ。
2012年に札幌山の手高(北海道)に入学し、全国高校駅伝では2年時から2年連続3区区間3位の快走を見せた。2年時に23人、3年時に15人。この2大会でゴボウ抜きした人数だ。チームは強豪校ではなかったが、その活躍は強烈なインパクトを残した。
高校卒業後、実業団の小森コーポレーションで競技を継続していたが、いつしかテレビで見ていた箱根駅伝の思いが膨らむ。
「沿道に詰めかける人の多さ、にぎやかな雰囲気。どれをとっても最高です。いつかは走ってみたかった」
将来、指導者を志していたドゥングにとって、日本の大学でスポーツを体系的に修めたいとの思いもあった。
2019年4月、2つの夢をかなえるため、ドゥングは日大の門をたたいた。
早速、前回の箱根で2区区間賞を獲得し、今春卒業したパトリック・ワンブィ(現・NTT西日本)の活躍を彷彿とさせるかのように、関東インカレ1部10000m2位、同ハーフマラソン優勝と実力の一端を示した。続く、全日本大学駅伝関東選考会では本領を発揮できなかったものの、10月の箱根駅伝予選会では1時間02分33秒と個人4位で走り、チームを7位通過に導いた。
本戦では「花の2区」での起用が有力視されており、自身もその準備を進めてきた。2区最大の難所である権太坂から続くアップダウンの攻略にも自信をのぞかせる。
「コースのイメージはできています。上りは気にならないタイプですし、権太坂を上り切った15㎞過ぎから一気にギアチェンジします。区間賞を狙いますよ。自信はあります」
第90回大会の7位を最後に、日大はシード権獲得を逃してきた。今大会を名門復活の第一歩に、との周囲の期待も分かっている。
「日大にはたくさんのOBの方がいますから、私にもプレッシャーはあります。でも、いったんスタートしたら問題ありません。どんな順位で受けても、最後まで頑張っていい順位でタスキをつなぐつもりです」
憧れの舞台で、自身の真価を証明してみせる。
チャールズ・ドゥング◎1996年2月20日生まれ、ケニア出身。マサクワ中(ケニア)→札幌山の手高(北海道)→小森コーポレーション。169㎝、53㎏。自己ベスト10000m27分57秒36(2016年)、ハーフマラソン1時間02分12秒(19年)。
文/石井 亮(陸上競技マガジン)
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