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2018-04-27

筑波大出身2人のジャンパーが 自己記録に“1cm”と迫ったことの意味は? ①助走歩数を変更した戸邉が4年ぶりに2m30

戸邉直人(つくばツインピークス)が4月22日の筑波大競技会男子走高跳で2m30を3回目にクリア。4年前に出した自己記録の2m31(日本歴代3位タイ)に1cmと迫った。同日の兵庫リレーカーニバル女子走幅跳では、中野瞳(和食山口)が6回目に6m43(+1.4)をジャンプ。2007年に出した自己記録の6m44(U20日本記録・U18日本記録・高校記録)に、こちらも1cmと迫った。種目も違えば自己記録を出してからの年数も違う。“1cmの意味”も違って当然だが、取材をすると「スピード」「楽に走る」など、共通点もあった。

4年ぶりの2m30

 戸邉直人(つくばツインピークス)は2014年に2m30台を4試合で跳んだが、15年は2m29、16年は2m25、17年は2m26と、故障の影響もあり2m30に届いていない。4年ぶりの2m30は、どんな跳躍だったのだろう。

「2m30の1・2回目は若干の向かい風もあって、頑張って走ろうとしてしまい、踏み切りにつながりませんでした。3回目は努力度を落として楽に走り、踏み切りにつながったんです。日本新の2m34も感触は悪くありませんでしたね。腰まで抜けていた跳躍もありましたから」

 戸邉にとって今回の試合は、助走を7歩から9歩に戻した初戦だった。9歩から7歩に少なくしたのが4年前の2014年。5月のゴールデングランプリで初の2m30台となる2m31に成功し、7月にモナコで2m30、8月にもドイツで2m30、そして9月にベルギーで2m31と、大台を跳び続けたシーズンだ。

 歩数を変更したことで2m30台を跳ぶことができた…わけではない。変更に踏み切ったのはシーズン途中で、2m30台2試合は9歩、2試合は7歩で跳んでいる。

「ヨーロッパを連戦していて、9歩助走をする距離がとれない競技場もありました。7月のハンガリーの大会がそうでしたし、その2試合後のモナコもぎりぎりでした。仕方がないので8月の遠征から7歩にしたのですが、それでも2m30を跳ぶことができましたし、短い方がコントロールもしやすかった。それで7歩を続けていたのです」

 しかし今年の1~2月にヨーロッパの室内競技会を3戦したとき、2m26の室内自己最高タイもマークしたが「もう少し何かを変えないといけない」と感じた。

「(技術と並行して)ずっとパワー発揮を高めるためのトレーニングをしてきて、特にこの冬はウエイトトレーニングで扱える重さも上がってきました。ところが、そのパワーを跳躍のときに上手く生かせない。助走のスピードを上げる必要性を感じました」

 帰国後、2カ月をかけて9歩助走に変更して迎えた屋外初戦だった。そこで自己記録に1cmと迫る高さを跳べた。

「まだ初戦で、すべてが上手くできたわけではありません。修正すべきところがいくつもあるなかで跳んだ2m30でしたから、今後に向けてすごく手応えを得られました。(記録を伸ばしていける)確信が持てた試合でしたね」

 次戦は5月3日の静岡国際で、20日のゴールデングランプリにも出場する。12年ぶりの日本記録(2m33)更新シーンが見られるかもしれない。

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文/寺田辰朗

次戦は静岡国際を予定している戸邉(写真/中野英聡)

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