4月21・22日、東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場でグランプリシリーズプレミアの東京大会「TOKYO Combined Events Meet 2018」が開催された。七種競技で日本選手権3連覇、この大会も3連覇中だったヘンプヒル恵は、大ケガからの復帰戦で3位。新たなスタートを切った。
春季グランプリと日本選手権の七種競技で3連覇しているヘンプヒル恵(中大4年)が、TOKYO Combined Events Meet 2018(東京混成)で5441点の3位に敗れ、大会4連覇を逃した。
今大会前から、勝つことが厳しいことは分かっていた。昨年8月10日の練習で、台北ユニバーシアード(8月23~28日)と秋の日本インカレに向けて「絶好調だった」というヘンプヒルは、ハードルジャンプの際に故障してしまう。
左ヒザの前十字靭帯断裂、内側半月板損傷。重症だった。
しかし、ユニバーシアード出場に強い意欲を持っていたため、手術日が決まっていながら代表チームとして台北に渡る。前日までアップ場に向かう表情は鬼気迫るものだった。高3時の世界ジュニアをインターハイ路線優先のために見送ってから、国際大会出場には人一倍こだわりを持っている。当然、出場はかなわなかった。
帰国してすぐの8月31日に手術。それから長いリハビリが続き、12月にジョグを開始。少しずつ体を戻していった。
迎えたシーズンイン。関東学連春季オープン200mと砲丸投、日体大・中大対校戦の走高跳、砲丸投などに出場。だが、代名詞ともいえる100mHや走幅跳など、スピードを出す種目はどれほどこなせるかやってみないと分からないという状態。東京混成も「まずは七種競技の感覚を戻すことだけ。無理をせずに」という気持ちで臨んでいた。
1種目めの100mH。強い向かい風(-4.5)のなか14秒84の組3着。第一声は「3歩で走り切れました!」だった。実は「前日まで、5歩でいくか、4歩でいくか決められなかった」(高橋賢作監督)という。
残りの6種目。納得のいく試技は少なかったかもしれないが、走高跳のバーを越えては飛び跳ね、うまくいかないと悔しそうなリアクション。終始、楽しそうだ。陸上競技を始めてから、初めての長期離脱。走り回ることの楽しさをかみ締めているように見えた。
ほかの指導者からも「正直、もっと厳しいと思っていた」「思ったよりも戻ってきている」「やはり素材が違う。すごい選手」と感嘆の声が聞こえた。走幅跳では逆脚踏切(いつもの踏切脚をケガしていたため)で5m68(-0.2)を残すなど、やはりその能力の高さは計り知れない。
戦列に復帰したからこそ、求めるフィジカルコンディション・動きと実際の状態とのズレがこれから生じるはず。これまで以上に焦らずに“我慢”が必要だ。そこを乗り越えられれば、ケガ以前よりも成長した姿を見せるだろう。
「日本新記録」「6000点」と記録を求められ続けてきた。だが、大台にだけ目をとらわれがちだが、ここまで刻んできた競技成績もとてつもない。
七種競技通算31試合で23勝8敗(内、ケガが続いた高1時の2012年に4敗、海外2敗)、高3の春季グランプリで桐山智衣(当時・モンテローザ、現・ヤマダ電機)に敗れ2位だったのを最後に、インターハイ京都市内ブロック大会から国内では16連勝、昨年まで6年連続自己ベスト更新。個人的に負けたのを目の前で見たのは高1のインターハイ以来、今大会で5年8カ月ぶりだった。
「不安より楽しみの方が大きかったです。状態は思っていたよりも悪くなかった。ケガをせず終わることが一番」
報道陣の前では笑顔と安堵の表情だったが、おそらく、試合後は負けた悔しさでいっぱいだっただろう。彼女はそういう選手だ。だから、これまで成長を続け、勝ち続けてきた。
「あのときこうすればよかった……と思うことはありますが、ケガはチャンス。これを意味のあるものにしたいです」
本当に強い選手は、負けたとき、挫折したときにこそ成長の糧とし、本領を発揮する。連勝のストップは、すなわち新しい道のりのスタート。世界を舞台にするヘンプヒル劇場の第2章がここから始まる。
文/向永拓史
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