桐生祥秀(東洋大4年)が、9月9日、日本人初の100m9秒台をマークした。その時、共に走った選手はどのように感じていたのだろうか。
桐生祥秀(東洋大4年)の9秒98に沸いた日本インカレ100m決勝後の表彰式。桐生と、10秒07で2位に入った伸び盛りの多田修平(関学大3年)には大勢のカメラが向けられた。
その隣にいたのが、10秒31で3位となった中大3年の竹田一平だった。
「早く帰りたい。自分なんて放っておいてほしい。そう思っていました」
自分は邪魔者扱いされているんじゃないか。そう思っても仕方のない状況。もしかすると、メディアの一部は実際にそう思っていたのかもしれない。
竹田の名が陸上界で知れ渡ったのは、2016年5月の水戸招待。このとき、多くの記者が会場に駆けつけていた。竹田を見るためではない。当時・城西大附城西高3年だったサニブラウン・アブデル・ハキームが出場するからだった。
そこで、竹田は10秒2台を2本(予選10秒29、-2.1、決勝10秒27、+1.0)そろえて優勝する。
「この選手は一体!?」
竹田はこの走りで一気にスプリンターとして注目を集めることなる。埼玉・不動岡高時代はインターハイに行くのがやっと(3年時100m、200m予選落ち)の選手だったこと、早生まれでありU20世界選手権にも出場する資格を有していたこと、中・高校時代(特に2年時まで)は走幅跳・三段跳を専門種目として取り組んでいたこと。
これらの要素もあり、新星に目が向くのは当然のことだった。
しかし――直後の関東インカレでは100m準決勝で敗退。「力んでしまいました」と悔しそうな表情を見せていた。竹田が姿を消したあと、ある記者から「水戸招待だけの“一発屋”だったか」という声まで聞こえた。
日本インカレ100m決勝で悔しさを味わった竹田(右)写真/田中慎一郎
確かに安定感は欠いたが、16年はアジアジュニア選手権2位、U20世界選手権では4×100mRの1走を務めて銀メダル獲得に貢献。今シーズンは、関東インカレ100m3位(10秒40)、日本学生個人7位(10秒39)、実学対校2位(10秒35)、トワイライトゲームス2位(10秒33)と、安定した成績を収められるようになった。
確実に手応えを感じながら臨んだ日本インカレ。そこで、圧倒的な差をつけられた。表彰式では誰も自分を見ていなかった。
「悔しさしかなかったです。日本で一番、僕だけがあの悔しさを味わったと思っています」
でも――
「悔しさは自分を伸ばしてくれるもの。“大器晩成”になれるよう、最終学年で頑張りたいと思います。あの悔しさだけは忘れません」
昨シーズン、インタビューエリアにくると少し照れくさそうに話していた竹田。だが今は違う。堂々と、真っすぐに前を見つめて語ることができている。
自信と悔しさ。交互に訪れるなか、着実に成長してきた。竹田のスプリント人生は、三段跳でいえばまだまだ“ホップ”したばかりだ。
文/向永拓史
竹田一平/不動岡高→中大3年。自己ベスト100m10秒27。競技歴もまだまだ浅くこれからの成長が楽しみなスプリンターの一人(写真/田中慎一郎)
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