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2020-10-19

【アメフト】米育成プロリーグ「TSL」に近江と佐藤が参戦 拡大して10月末開幕、本格リーグ戦で全米中継

10月末から開幕するTSLでプレーすることが決まったK佐藤とWR近江(共にIBMビッグブルー)=撮影:小座野容斉

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アメリカンフットボールの、米国育成プロリーグ「The Spring League(TSL)」が、10月末からリーグ戦を開催する。チーム数を6に拡大し、米テキサス州サンアントニオで、11月にかけてリーグ戦4試合、その後優勝決定戦を行う。日本からは、IBMビッグブルーのWR近江克仁、K佐藤敏基が参戦する。TSLは、今月上旬、米FOXテレビの系列スポーツ局、Fox Sports 1(FS1)との契約を結んだため、試合は全米で放送されるという。

<web「アメリカンフットボール・マガジン」では、TSLに参戦する近江選手、佐藤選手の手記を定期的に掲載します>

 TSLは2017年に始まった、NFLやカナダのプロフットボールCFLに選手を送り出すことを目指すプロ育成リーグ。当初4チームでスタートし、名前には「スプリング=春」とつけられているが、春だけでなく、夏や秋にも試合やスクリーメージを開催してきた。今春には、TSLの選抜チームが、テキサス州ダラスで日本代表と対戦した。

 今回、TSLはチーム数を1チーム32人の6チームに拡大し、本格的なリーグ戦形式での戦いとなる。これまでのシーズンは3もしくは4チームで、試合数も限られていた。シーズンが中止となり今季の働き場所がないCFLの選手や、XFLなどでプレーした選手も加わるため、従来よりもレベルが上がり、競争が激しくなるとみられる。

 6チームは、テキサス州オースチンに本拠地を置くジェネラルズ、ネバダ州ラスベガスのアビエイターズと、本拠地がないアルファズ、ブルーズ、コンカラーズ、ジャウスターズの計6チーム。近江はアルファズ、佐藤はアビエイターズに所属する。

TSLアルファズに所属するWR近江(IBMビッグブルー)=撮影:小座野容斉
TSLアルファズに所属するWR近江(IBMビッグブルー)=撮影:小座野容斉

TSLアビエイターズに所属するK佐藤(IBMビッグブルー)=撮影:小座野容斉
TSLアビエイターズに所属するK佐藤(IBMビッグブルー)=撮影:小座野容斉


 4チームは、本拠地がないが、テキサス州サンアントニオのアラモドームで一ヵ所集中開催のリーグ戦となるのがその理由だ。

 ヘッドコーチ(HC)としては、ジェリー・グランビル(コンカラーズ)、テッド・コトレル(ブルーズ)という、2人のNFLのHC経験者が入り、日本代表と対戦したTSL選抜を率いたテリー・シェアもアビエイターズHCとなった。他の3チームのHCにも、スティーブ・フェアチャイルド(アルファーズ)、バート・アンドラス(ジェネラルズ)、チャック・ブレスナハン(ジャウスターズ)という、NFLやカレッジでコーチ経験を持つベテランが揃った。

 リーグ戦の日程(すべて米国時間)は次の通り。試合会場はすべてアラモドーム(テキサス州サンアントニオ)。*の試合はFS1で中継される。

<第1週>
10月27日
アルファズvsブルーズ
アビエイターズvsジャウスターズ
コンカラーズvsジェネラルズ*
<第2週>
11月4日
ブルーズvsアビエイターズ*
アルファズvsコンカラーズ*
11月5日
ジェネラルズvsジャウスターズ
<第3週>
11月10日
ジャウスターズvsアルファズ*
11月11日
コンカラーズvsアビエイターズ
ブルーズvsジェネラルズ*
<第4週>
11月17日
ジャウスターズvsコンカラーズ*
11月18日
アルファズvsブルーズ
アビエイターズvsジェネラルズ*
<第5週>
優勝戦=11月24日~12月1日のいずれか1日*

【解説】背景にCFLの中止、XFLの破綻

 TSLが拡大して秋に本格的なリーグ戦を戦うことになった背景には、新型コロナ感染症(COVID-19)の拡大で、今春始まった新興リーグのXFLが破綻し、CFLのシーズンが中止になったことがある。

 CFLの半数近くを占めるアメリカ人選手、XFLの選手、さらに2019年春にリーグ戦を第8週まで実施した、新興リーグのAAF(Alliance of American Football)などで掘り起こされた選手たちもいる。彼らのように、大学を出た後、プロとして活動したいのにプレーの場所がなかなか見つからない選手が米には多数いる。

 NFLには、野球のマイナーリーグのような下部リーグがなく、選手の供給という点では、カレッジフットボールがその役目を果たしている。しかし、いったんプロ契約した選手は、その競技ではカレッジでは2度とプレーできない。選手がプロ入り後の育成・調整や、解雇・放出された後の再挑戦には、マイナーリーグのような、レベルの違う別のプロリーグの存在が必要と、米国でも長い間言われてきた。今後、TSLがそういう存在として幅広い認知を受ける可能性がある。

 今回のもう一つの注目点は、NFLが同時開催中であることだ。米国ではCOVID-19の感染蔓延により、今季のNFLには通常のインジュアリーリザーブとは別に、COVID-19 用のリザーブ枠がある。検査で陽性とわかった選手は、仮に発症していなくとも、このリザーブに送られ、複数週、試合には出られなくなる。また、プラクティススクワッド(練習生)枠も、通常の倍の16人に拡大されている。

 10月上旬に、テネシー・タイタンズで発生した集団感染の記憶は新しい。今後、似たような事態が起きたときに、TSLで活躍した選手に、NFLのチームから声がかかる可能性も考えられる。日本から挑戦する近江、佐藤の両選手にもチャンスがあるということだ。

 TSLの動きから、目が離せなくなってきた。【小座野容斉】

web「アメリカンフットボール・マガジン」では、今後、TSLに参戦する近江選手、佐藤選手の手記を定期的に掲載する。

日本代表と対戦したTSL選抜チーム。中央のメッテンバーガーはNFLのタイタンズなどでも活躍した経験を持つ=撮影:小座野容斉日本代表と対戦したTSL選抜チーム。中央のメッテンバーガーはNFLのタイタンズなどでも活躍した経験を持つ=撮影:小座野容斉

TSLアビエイターズに所属するK佐藤(IBMビッグブルー)=撮影:小座野容斉日本代表と対戦したTSL選抜チームのQBメッテンバーガー。NFLのタイタンズなどでも活躍した経験を持つ=撮影:小座野容斉

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