開催中の世界柔道選手権で魅力的な海外選手をピックアップ。4回目はハンガリーのトート選手を紹介します!

魅力的な外国人選手4

●90kg級 K・トート(ハンガリー)

「技と押忍のトート」

今回は90kg級に出場した技と礼儀のK・トート(ハンガリー)をご紹介します。

大会前の世界ランクは2位、大会には第2シードで出場した有力な優勝候補のひとりでした。しかし、準々決勝敗退、敗者復活戦でも敗れて5位に終わりました。

背負い投げや内股、袖釣り込み腰と多彩な技の持ち主で、ガンガン攻めるアグレッシブさが魅力。組み手や崩しに工夫もたっぷり見られる、見ていてストレートに楽しめる柔道をする人です。身長は174cmと90kg級では低い方で、筋肉がぎゅっと詰まったようなずんぐり気味の“タンク型”。大臀筋からハムストリングの張りっぷりを見ると、下半身の強さは相当なものであることが想像できます。

今大会でも、その強靱な足腰を生かして、相手の懐に潜り込んだり、相手を引き出したりして技をかけまくりました。初戦(2回戦)では相手を引き出しての内股や背負い投げ、3回戦では韓国背負いも繰り出すなど、かなり好調に見えたのですが・・・。準決勝で敗れたM・ニーマン(スウェーデン)は大会前の世界ランク74位。トートは直前7月のグランプリ・ザグレブで勝っており、それ以前も5戦5勝と圧倒的に分が良かっただけに、完全にアップセットを演じられてしまいました。その技と攻めの柔道をもっと見たかった…というのが正直な感想ですが、来年の東京五輪までのお楽しみとしたいと思います。

画像: ※写真上=畳の上では眼光鋭いファイターだが、畳を降りると礼儀正しい柔道家のトート 写真◎近代柔道

※写真上=畳の上では眼光鋭いファイターだが、畳を降りると礼儀正しい柔道家のトート
写真◎近代柔道

ちなみにトートのもう一つのキャッチコピー(?)の「礼儀」のゆえんですが、それは全日本男子強化チームの金丸雄介さん(了徳寺大准教授)からの「えらい礼儀正しい」という情報から。金丸さんによると、試合場や国際合宿会場ですれ違うたび、必ず挨拶してくれる律儀でいいヤツなのだそうです。でも、ちょっと後ずさりしそうになってしまうとか。

「『オス(押忍)』って言うんですよね(笑)。オスっていまどき日本でもなかなか聞きませんよね。しかも、まじめなだけに眼光もするどくて、にらまれてるのかって思うくらいちょっとコワイ。どうやらお父さんがハンガリー柔道の重鎮とのことで、礼儀をしっかり指導されているんでしょうね」

 ちなみに、ハンガリーは国際柔道連盟(IJF)のM・ビゼール会長のお膝元。今回、東京で開かれた同連盟総会で、連盟本部をスイスのローザンヌから、ハンガリーのブダペストに移すことも決まりました。(2022年世界選手権もブダペストで開催)。ハンガリーは世界の柔道の中心地を目指しているようなので、トートの活躍はもうしばらく同国でも期待されるのでは、と思われます。

画像: ※写真上=今年29歳のベテラン、今大会、世界選手権初のメダルを獲得したニーマン(青) 写真◎近代柔道

※写真上=今年29歳のベテラン、今大会、世界選手権初のメダルを獲得したニーマン(青)
写真◎近代柔道

さらに付けくわえると、トートに準決勝で勝ったニーマンは今年29歳。IJFツアーには2010年から参戦しているベテラン。2016年リオ五輪以降、IJFツアーに姿は見せていませんでしたが、7月のグランプリ・ザグレブに突如登場、今大会は世界選手権で初のメダル獲得となりました。選手としての旬は過ぎていたと思われる人ですが、国内の競争が激しくない国では、しばしば、このように復活する「よみがえり枠」、あるいは4年に1度、五輪に合わせて登場してくる「五輪特化型」選手が登場します。国内でのつぶし合いがないぶん、消耗が少ないので選手として長持ちすると言えそうです。

文◎佐藤温夏(スポーツライター)

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