グランドスラムデュッセルドルフ2日目、日本勢は73kg級・大野将平、63kg級・田代未来、70kg級・新井千鶴が優勝した。優勝した3選手と、81kg級・永瀬貴規、そして男女両監督の試合後のコメントを紹介する。

※写真上=73kg級で優勝した大野将平

写真◎IJF

73kg級優勝 大野将平(旭化成)

きょうは、改めて、なんですけど、試合は難しいなと言うことを感じましたね。

私自身も必死ですけど、相手も必死なので、思うようにいかないことも多い。そのことを改めて感じました。

昨年の東京世界選手権のインパクトがあっての次の大会なので余計、いつも以上に組み合ってもらえない、柔道に取りくまないような感覚がありました。そういう中で戦ってやっていくしかないので、自分がやりたいような柔道も押し殺してやっていきました。

理想はね、やっぱりいい柔道を畳の上見せるのがいいんですけどね、それはもう自分のエゴ、欲、色気なのでそれはもう置いておいて、微妙な「指導」とかもね、ありましたけど、しっかりかみしめつつ、戦えたのは練習では味わえないことなので非常にいい収穫がありました。

 きょう、満足したところは、ないんじゃないんですかね。終わったばっかなんでなんとも言えないですけどね。雨とは言わないですけどね、曇りという感じですかね。どんよりというか。ぱっとしなかったですね。情けないですね。

63kg級優勝・田代未来(コマツ)

 今回は重要な大会だったので、準備の段階でもいろんな不安と自分との戦いでした。でもきょう優勝することができて、スタートラインに立てたんじゃないかなと思います。

 自分の中では技術の部分でうまくいかないな、気持ちが乗らないなというのがすごくあったんですけど、先生方に意地がないと怒られることもたくさんあって、意地をもってやっているつもりではありましたけど、東京五輪で金メダルを獲るんだという気持ちを出し切れなかった。そういうところが足りない部分だったのかなと気づけました。今年に入ってから、根気強さがなかったりとか、本当に基本的な部分がわからなくなっていった。強い気持ちが少しぶれていた部分があったのかなと思いました。

自分でやるべきことをやるということを重点的にやってきて、この試合で自分で成長したいなと思ってやりました。内容の部分はもっと突きつめていかないとと思っています。

今日は優勝して良かったと思うのと同時に、ここからだな、ということを思いました。

画像: 63kg級優勝・田代未来(コマツ)

※写真上=63kg級で優勝した田代未来

70kg級優勝 新井千鶴(三井住友海上)

5月のグランドスラム・バクーぶりの優勝でうれしいです。今回はシンプルに金メダルが欲しいと思って臨んでいましたし、そういう気持ちできょう1日臨めていました。

(昨年から今年にかけては)東京五輪への気持ちとか、何度も折れそうになってというのもあったんですけど、何のために3年間やってきたのかなと思って。

年明けから気持ちの面で変化がありました。70kg級では誰にも負けないし、渡しちゃいけない、ということで日々やってきました。ここ最近勝てないなかで、いろんな状況の自分を膨らませて、それに負けている自分がいたました。そういうのを何度も何度も乗り越えてきたので、きょうはそういう自分を払拭したいというか。ここでしっかり優勝してスタート切って、必ず代表になりたいと心の底から思ってドイツに来ましたし、今日1日気持ちを切らさずに過ごせたので、こういう気持ちでやれば結果もついてくるんだなと思いました。

今大会で優勝することが五輪内定の前提条件だと思うので、獲るべきところで獲れたのは、獲り続けられないときから考えたら、成長できたのかなと思います。

画像: 70kg級優勝 新井千鶴(三井住友海上)

※写真上=70kg級で優勝した新井千鶴

81kg級2回戦敗退 永瀬貴規(旭化成)

少し身体が固かったかなというのはあります。ポイントを取られた場面は延長に入る寸前だったので、それを考えて隙ができてしまった。そういう自分がまだまだ弱いと思います。

初戦の難しさはありました。でも五輪内定を意識してというわけではなく、単純にこの大会で勝ちついという思いで臨みました。

相手は急成長していて若い選手なので組み合わせが決まってから研究してきたんですが……。五輪代表についてなどは、試合終がわったばかりで何も考えられないのが正直なところです。

井上康生男子監督

大野将平については、やはり勝ちきったということはまず意味のあることだと思います。また、きょうはこれまで当たったことがない相手とできましたので、五輪に向けてな一通りマークできたのではないかなと思います。なかなか持たせてもらえない展開も多かったのですが、いろいろな相手と対戦することを想定したうえで準備していましたし、彼自身も収穫があったんではないかと思います。

初戦敗退となった永瀬貴規は、一瞬の隙をつかれました。これは、永瀬だけでなく、日本人選手が十分に気をつけていかなければいけないところだと感じました。試合終了で延長戦突入直前のあのタイミングで海外の選手たちはそこも関係なく勝負を挑んできます。柔道という概念を日本の感覚で持ってはいけないということの証明になるんじゃないかな、と思います。その意味でも、我々にとって大きな課題と収穫があったと言えますし、こういうことは一つひとつ埋めながら準備していかなければいけないと改めて感じさせてもらいました。

五輪代表選考については、大野は2年間、負けがなく、世界選手権で圧倒的な勝ち方をしているというところを見ても五輪代表に非常に近いところにいるというのは言えると思います。永瀬も初戦で負けはしましたが、国際大会4連勝という成績を収めていることもありますので、それは変わることはありません。そうした実績を踏まえ、審議にかけていきたいと思います。

増地克之女子監督

新井千鶴は最後まで集中力を切らさず戦い切ることができました。決勝では4点ポジション(両肩、両肘)を着けば寝姿勢となり、自分から立ち上がろうとしていたところにかけたら立ち技と判断されます。そういうワンチャンスをものにできたと思います。

 きょうは5試合を勝ちきり、結果を出したことはとても大きな意味がります。まだやっぱり試合の中で波があるのが課題です。見事な内股で決める試合もあれば、ポイント取られて見ててヒヤヒヤする試合もありましたけど、そういう試合をいかになくしていくか。バランスを崩す場面もあって、下半身の強化が必要だなというところもありましたので、しっかりトレーニングさせていきたいと思います。

世界選手権で負けてから、気持ちの切り替えがなかなかできなかったのですが、今大会の優勝で吹っ切ってくれると我々としては非常にうれしいです。勝ちというのはいい薬になりますから。

田代未来は実力を示してくれたのではないかと思います。

今大会では決勝で対戦したトルスティニャクが一番のライバルでしたが、過去9度戦って勝っている相手でした。そういう相手には選手というものはいつか負けるんじゃないかという不安を持ってしまうと思うのですが、きょうはそういう不安を感じさせないような試合だったと思います。相手も気迫あふれる試合をやってきましたが、それに動揺することなく、しっかり自分の柔道に徹したのではないかと思います。GS大阪では消極的な展開での試合を見せていましたが、そこから見違えるような試合をしたと思います。

五輪選手選考については、ともにリードしている立場の選手ですから、優勝したことは代表に向け大きな前進だと言っていいと思います。

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