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2020-10-23

青山敏弘と考えるサッカーのポジショニング[後編]

2014年のブラジル・ワールドカップではコロンビア戦に出場した元日本代表の青山敏弘

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「前」を意識したプレーを怖れない

――予測の連続と判断を変えることの重要性をあらためて感じました。ポジショニングは自己満足ではいけないということもあらためて思いました。

青山 手段が目的になってしまうことがよくありますが、いいポジションをとることは目的ではありません。あくまでもゴールを奪うための手段でなければいけません。

――自分ではいいポジションだと思っていても、それがチームにとって有益でなければ、いいポジショニングにはなりません。

青山 チームとしての意図が反映されていればいいですよね。本当にポジショニング一つでゲームのコントロールはできてしまいます。全体のスピードを落とすためのポジショニング、全体のスピードを上げるためのポジショニングがありますが、僕は後者を得意とします。遠藤保仁さん(ジュビロ磐田)のように前者ができる選手はかなりハイレベルだと思います。時間もスペースもない中でゆっくりとプレーするんですが、全体がゆっくりだからそうするのではなく、ハイペースの中で、あえてそういう時間をつくり出すわけです。裏を返せば、どこかでスイッチを押せるものを持っているからこそできるんだと思います。自分がペースを落とすのだけれど、ペースを上げることも自分でできるんです。その領域まで行くと、チームにとって有益なポジショニングが本当にできていると思います。

――最後に育成年代の選手たちに一言お願いします。

青山 ポジショニングで大切なのはやはり、目的を達成するための手段であることです。「もらう前に考えておこう」とよく言われますが、その「考え」は漠然としたものではいけません。戦術や味方と相手の特性などを含め、きちんとイメージして、日々の練習に落とし込んでいくことが大切です。それができるようになれば、成長の階段をまた一段上がることができます。この一段はただの一段ではなく、自分をより高みへと導いてくれる大きな武器になると思います。

 それはどのポジションの選手でも一緒です。もらう前に考えて、その考えたものが前への選択肢だったらなお良いでしょう。前を選んでそれが点につながれば、そのプレーは「スーパープレー」になります。それを実際の試合で表現するためのポジショニングであってほしいと思います。ミスを怖れずに、どんどんトライしてください。

プロフィール
1986年2月22日生まれ、岡山県出身。岡山県作陽高校から2004年にサンフレッチェ広島入り。ボランチとして、12年、13年、15年とJリーグ優勝に貢献した。15年にはJリーグ最優秀選手賞(MVP)を受賞。11年、日本代表に初めて招集され、14年のブラジル・ワールドカップに出場。今年はクラブ生え抜きとして17年目のシーズンを戦っている。174cm、73kg

取材・構成/安藤隆人

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