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2020-12-17

「第99回全国高校サッカー選手権大会」開幕直前<1> 昌平高校のポジショニング指導:後編

99回目を迎える全国高校サッカー選手権大会。昌平高校は1回戦で高川学園高校と戦う

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12月31日に始まる第99回全国高校サッカー選手権大会。埼玉県代表としてこの大会の出場権を持ち、2021年は鹿島アントラーズをはじめ3クラブに4選手を送り込む昌平高校に、「ポジショニングの指導方法」について聞く。今大会の優勝候補にも挙げられる昌平の藤島崇之監督のポジショニングの考え方とは――。

出典:『サッカークリニック』2020年9月号

個を育てる時期はゴールを最優先する

――現在、昌平高校にはFCラヴィーダという「下部組織」があり、中高6年ベースでの強化も行なっています。中学年代におけるポジショニングの落とし込み方と高校年代におけるポジショニングの落とし込み方で異なる部分はありますか?

藤島 私たちは、一つの戦術や戦略の型にはめ込むのがあまり好きではありません。ですから、ラヴィーダでは、まずはシンプルにゴールを狙う判断を優先的に持つようにしています。高校年代では、ボールを失わない状況をつくって良さを発揮することをその判断に加えています。

私は、ゴールに向かうポジションをとること、前を向いて仕掛けられるポジションをとることを中学年代で意識させるのが重要だと思います。私たちの課題の一つなのですが、ボールを動かすことには長けていても、「仕掛け」という点で考えると物足りないというケースがあります。ですから、まずはゴールに向かってチャレンジさせます。ポジショニングについても、中学年代の前提条件として、ゴールに向かうためという点をベースとして重視しています。

――中学年代からゴールに向かう、ゴールを決めるという絶対条件を刷り込ませないと、高校年代で何か悪い面が表面化する場合がありますか?

藤島 「逆算力」がないと、手段が目的になってしまいます。あくまでもゴールから逆算してのポジショニング、パス、ドリブル、判断の変化といった連鎖が大事だと思います。ゴールを目指せない選手は「ボール扱いがうまいだけの選手」になってしまう危険性があります。個で打開できる選手にならなければいけませんし、グループでの打開はそこから生まれてきます。個の力を高めることを優先する時期から段階を踏んで、高校に上がるにつれて、組織を相手にどう崩すかを考えさせるイメージです。

――ポジショニングについての選手たちの認識をどのように感じますか?

藤島 動けば良いという発想があるかもしれません。逆に止まっていたほうが良い場面もあります。ボール保持者と相手との関係性の中で、動き過ぎてボールを入れられない、スペースをつくったかもしれないが、そこに味方が入って来る共有がない、といった状況が生まれたりもします。

――良い選手は、間をつくりながら前線の選手を見て、そこがダメだったら別の選択を考えたりします。

藤島 繰り返しになりますが、「優先順位の最上位にゴールを持っていくこと」がやはり重要なのです。遠く(ゴール)が見えていれば、間接視野でその手前も見えるので、多くの情報を得られます。ほかの選択肢の情報も得られるわけです。周りの選手も含め、自分がやるべき次のプレー、さらには次の次をイメージしたポジションをとり、ボールホルダーの選択肢を増やすことが大事だと思います。

――攻撃時のポジショニング、守備時のポジショニング、切り替え時のポジショニングがあると思いますが、それらを分けて考えていますか? それとも一つの流れとして落とし込んでいますか?

藤島 後者です。距離感を常に大事にして、攻撃の連動から守備の連動へとリンクさせなければいけないと考えています。昨年度のチームの場合は、ボールを奪われた瞬間にディフェンスすることを重視していました。そうすると、選手の距離感が大事になります。味方と近い位置にいることで、相手ボールになった瞬間にすぐに誰かが奪いに行けるからです。そして、押し込んだ状況から背後をとりに行きます。チャレンジのパスはどんどんやっていいのです。そのパスが引っかかった瞬間に守備陣形が整っていれば、問題ありません。ボールの周りで味方との距離を近くし、連動してサイドバックが中に絞ったりして、全体のポジショニングの方向性が決まっていきます。

――それを具現化させるためにトレーニングで意識していることは何でしょうか?

藤島 「プレスがかかっているところにパスを出すのはダメではない」ということは特に意識させるようにしています。相手のプレスがかかっているところに意図的にパスを出すと、ボールを受けた選手が相手を背負ってキープすることによって、周りが空きます。そこに素早く走り込んでボールを受け直したり、3人目がサポートや相手の背後をとることでボールを前に運んだりできるからです。そうした連動を生むことで、「プレスがかかっているところにいる」ことも良いポジショニングになると思います。ただし、誰がサポートに行くのか、それに対して周りはどう動くのかという共有がなければいけません。

サッカークリニック 1月号

取材・構成/安藤隆人

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