米プロフットボールNFLのジャクソンビル・ジャガーズのヘッドコーチ(HC)に、前オハイオ州立大学のHC、アーバン・マイヤーが就任した。現地1月14日、球団が公式に発表した。マイヤーはオハイオ州立大で2014年に、その前にはフロリダ大で2006年と2008年に全米王者となった経験を持つ、カレッジフットボール屈指の名将だが、NFLでのコーチ経験はない。超大物コーチのNFL転向に、全米のフットボールファンが大きな関心を寄せている。
NFLジャガーズのHCに就任したアーバン・マイヤー。カレッジフットボールで全米優勝3回の実績を持つ=photo by Getty Images
もう一点は、マイヤーがオフェンスの専門家で、スプレッドオプションの創始者的な存在であるということだ。ショットガン・スプレッド隊形からのパスに、QB・RBのオプションを有機的に組み合わせたこの戦術は、過去10数年カレッジフットボールで主流となったばかりか、ここ数年は、NFLでも少しづつ普及してきた。
運動能力の高いQBが、パスと自らのランを組み合わせて効果的なオフェンスを組み立てる。ランとパスの比重に違いはあるが、デショーン・ワトソン(テキサンズ)、ラマー・ジャクソン(レイブンズ)、カイラー・マレイ(カーディナルス)がそうだ。OLやレシーバーにも、この戦術に対応する選手は増えている
マイヤーが、来シーズン開幕前には57歳という年齢で、NFLに転向するのは、そうしたプロフットボールの状況変化を見定めたということも理由の一つだろう。
もちろん不安はある。カレッジフットボールとNFLは、まったく別物だ。
仮に、戦術的な差異が、以前に比べて薄まったとしても、埋まらない大きな差がある。32チームの戦力均衡を至上命題とするNFLに比べ、カレッジフットボールは有力選手のリクルートや練習施設などで、強豪校と弱小校の格差は天と地ほどもある。マイヤーが指揮したフロリダ大やオハイオ州立大のような強豪校は恵まれている。
人材供給一つとっても、カレッジは、選手の人数はNFLの3倍近い。毎年全米トップ級の逸材が何人も入ってくる強豪校は、負傷した選手が出ても、穴は比較的直ぐに埋まる。そういった「黙っていてもついてくるアドバンテージ」がNFLにはない。
さらに、決定的な違いは、選手に報酬が発生しないカレッジフットボールでは、当然サラリーキャップも無いことだ。スター選手の流出は、個人的な事情などがない限り起こりにくい。
それはマイヤーも気にしているのだろう。ジャガーズは4月のドラフトで全体1位指名権を持つだけでない。ESPNによると、2021年のジャガーズのキャップスペースは32チーム中最多の7620万ドルという。QBをドラフトで指名した場合、ルーキー契約は金額上限があるため、その資金をFAなど選手補強に回す余裕がある。
NFLジャガーズのHCに就任したアーバン・マイヤー。1月11日の全米王座決定戦ではFOXテレビのアナライザーとしてゲームを観戦した=photo by Getty Images
カレッジで全米王座経験がある監督がNFLに転身するのは、近年ではシーホークスのピート・キャロルHC(USCで2001~09までHC)、そしてニック・セイバン(LSUからドルフィンズ)の例がある。
このうち、キャロルは、USCへ行く前、20年近いNFLでのコーチキャリアがあり、ニューイングランド・ペイトリオッツでHC経験もあった。マイヤーはNFLでのコーチ経験はまったく持ってないので、比較対象にはならない。
全米王者となったHCで、NFLでのコーチ経験がなく、チーム再建を任されたという意味で、マイヤーと似るのは、1989年にマイアミ大からカウボーイズHCに就任したジミー・ジョンソンだ。ジョンソンは1年目は1勝15敗だったが、ドラフト全体1位指名でQBトロイ・エイクマンを指名。その後もドラフトを中心にしたチーム作りで、劇的な強化に成功した。2年目は7勝9敗、3年目は11勝5敗でプレーオフ進出、4年目でスーパーボウルに優勝、さらにそこから連覇した。いまでもNFL史上屈指の強力チームと回顧されている。
カウボーイズとジョンソンの成功例を、カーンオーナーもファンも夢見ているはずだ。
「ドクター・フットボール」として、全米スポーツ界の尊敬を集める名将ルーホルツは、1976年、ジェッツで3勝10敗、1シーズン持たずに退任した。先日、全米優勝7回という偉業を達成したアラバマ大のニック・セイバンでも、ドルフィンズHCとしては2年目の2006年に、2ケタ敗戦となり、チームを放り出すように辞任した。チップケリーは当初2シーズンは10勝6敗だったが、3年目の2015年にディフェンスの崩壊から大きく負け越し、シーズン終了前に退任した。
ジャガーズとマイヤーの前に待つのはどんな将来なのだろうか。
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