2011年1月、新団体「スターダム」が誕生した。旗揚げ戦は大きな盛り上がりを見せ、女子プロレス界に希望の光が差し込んだ。
2011年1月23日、東京・新木場1stRINGで女子プロレス新団体「スターダム」が旗揚げした。GMを務める風香とトップ選手の高橋奈苗(現・奈七永)が「3年で新しい時代を作る」「近い将来、女子プロで一番になる」と公言。一足先に初マットを踏んだグラビアアイドル・愛川ゆず季の評判の高さで話題となっていた。
旗揚げ戦はダイヤの原石が散らばっていた。試合順は当日発表。奈苗や夏樹☆たいようといった実力者がなんと第1試合に出場。愛川と激しい闘いを繰り広げた。注目のメインは美闘陽子vs世Ⅳ虎(現・世志琥)、セミは星輝ありさvs 岩谷麻優。どちらもデビュー戦だ。
シュートボクシング経験者の星輝は、その名の通りキラキラと輝いている選手。非凡な運動神経を感じさせ、得意のブラジリアンキックで会場をアッと驚かせる場面もあった。
岩谷はクールなビジュアルと秘めた内面の激しさを感じさせる選手。長く引きこもり生活を送っていたものの、プロレスで人生を変えた姿は爽やかな感動を見る者に残した。
極真空手全日本2位の実績を誇る美闘は、たたずまいだけでスター性を感じさせる選手。重いキックという武器もあり、エース候補から候補の文字が取れる日も近いと予感させた。
世Ⅳ虎は元ヤンキーで面構えが17歳と思えぬほどふてぶてしく、ハートの強さも持っていた。デビュー戦同士の旗揚げ戦メインでありながらも、すでに貫録のある闘いぶりを見せていたことは特筆すべき点である。
当時、女子プロレスというジャンルはその灯が消えかかっていた。そんな中で復興の夢を託せる魅力的な団体=スターダムが誕生したことはまさに希望。10年後、旗揚げ戦でデビューした岩谷と世志琥が6年前の別れを経て、3・3 武道館で禁断の再会を果たす。