いよいよTOKYO2020の聖火リレーが始まった。世は新型コロナウイルスとの戦いの途上、それでもオリンピックのシンボルが希望の道をつなぐべく、日本全国を駆け回る。聖火ランナーの皆さんは複雑な思いの中ではあるが、それでも各々の誇りと責任を胸に、聖火をつないでいくことだろう。
さて話は57年前。日本で初のオリンピック開催となった1964年東京大会の聖火リレーに想いを馳せる。スポーツ総合出版社である当社は当時、『スポーツ・マガジン』という雑誌を発行し、オリンピックに沸く国民に、未知なるスポーツの祭典の魅力や見どころを伝えている。その10月号で「聖火は走る」と題し、聖火リレー・全正走名簿を掲載していた。
1964年10月に発行された『スポーツマガジン10月号』の表紙。ここに聖火ランナー(正走者)4341人の全リストが掲載されている
57年前の聖火リレーは4つのコースに分かれて日本国中を巡り、皇居前で一つにまとまって国立競技場まで繋がれた初日となった1964年9月9日、鹿児島県、宮崎県、北海道の3カ所からスタートし、10月10日の最終ランナー坂井義則氏まで、その数、全4341人。これはそれなりに貴重な資料だろう。
皆さんの周りにも「1964年の聖火ランナーだった」という方がいるのではないか。もしかしてお知り合いの中に、さらにはご家族が聖火ランナーだったという人もいるだろう。しかし半世紀以上前のこと。残念ながらお亡くなりになっている聖火ランナーの方も当然いらっしゃるだろうし、同様に「この目で聖火リレーを見た」という方の人数も年を経るごとに少なくなっていく。今でもまるで都市伝説かのごとく「○○さんが聖火ランナーだったらしいよ」と、せっかくの名誉が噂話に成り下がってしまっている例も多いと聞く。
そこでスポーツの素晴らしさを伝え続けて70有余年の小社は、インターネットという新たな情報伝達ツールが全盛を迎えている今、57年の時を経て改めて、紛れもなく1964東京オリンピックの一部を彩った聖火ランナーたちの名前を、歴史と記録に刻み直すことが使命であると考えた。
これから約4ヶ月間、今年の聖火リレーが走るタイミング合わせて「57年前の聖火ランナー(正走者)」の名前を都道府県別にリレー方式で刻んでいく。
第1回目の今回は、今年の聖火ランナーのスタートとなる「福島県」。
57年前に福島を駆け抜けた聖火ランナーの正走者71名は、こちらだ。
※氏名は『スポーツ・マガジン 10月号』に掲載された情報通りです。1964年東京オリンピック聖火ランナー【福島県】1964年9月28日〜30日 第4コース 71名
1 渋谷 肇
2 佐藤 邦治
3 瀬戸 源一
4 高橋 勝彦
5 川崎 浩通
6 大内 一夫
7 坂井 孝司
8 鈴木 荘吾
9 三浦 忠
10 島貫 康紘
11 波岡 平八
12 丸山 幸夫
13 山形 貞雄
14 森山 真弘
15 岩見 房夫
16 佐久間 和彦
17 藤田 健司
18 橋本 隆夫
19 吉村 平次郎
20 丹治 伝
21 加藤 進
22 丹野 駿一
23 安斎 俊夫
24 高野 忠一
25 佐藤 公伯
26 大内 正男
27 田中 耕太郎
28 高橋 平八郎
29 松下 哲雄
30 渡辺 文孝
31 斎藤 利美
32 伊藤 公一
33 伊藤 正志
34 渡辺 幹夫
35 松山 衛
36 渡辺 敏雄
37 藤田 賢剛
38 大村 敏昭
39 長久保 巧
40 斎藤 徹
41 星 兵一
42 星 保男
43 小山 稔
44 佐藤 克典
45 高橋 節夫
46 服部 信一
47 渡辺 一夫
48 吉田 正
49 矢吹 秀夫
50 小平 政弘
51 西沢 孝信
52 今泉 文克
53 大槻 孝男
54 面川 真
55 遠藤 喜一
56 今泉 務
57 人見 洋治
58 小針 幸神
59 薄葉 弥寿
60 大森 健彦
61 野崎 勝
62 薄葉 茂一
63 鈴木 一
64 水野谷 慶吾
65 荒井 幸吉
66 矢吹 正男
67 関根 才夫
68 庄田 育夫
69 白土 道生
70 石井 美治郎
71 岩鍋 国夫
次回の1964東京五輪聖火ランナー全リストは3月28日に「栃木県編」を掲載予定だ。