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2021-04-21

【ボクシング】日本スーパーウェルター級タイトルマッチ、王者・松永宏信が無難にV3

チャンピオンの松永(左)が左ストレートで中島を追いつめる

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 日本スーパーウェルター級タイトルマッチは21日、東京・後楽園ホールで行われ、チャンピオンの松永宏信(横浜光)が、ランキング5位の挑戦者、中島玲(寝屋川石田)に3-0の判定勝ちを収め、3度目の防衛に成功した。

 このタイトルを手にしてまる2年。松永は安定チャンピオンと言って差し支えない。だが、この日ははっきりと食いたらなかった。東洋太平洋とWBOアジアパシフィックのミドル級元チャンピオン、細川チャーリー忍(金子)を破って台頭してきた有望株、中島に対し、結果的には善戦を許したわけでもない。試合の半ばからは圧倒した。それでも、倒しきれずに、最後にかすかながらも中島の“見せ場”も提供してしまったのだ。

 サウスポーの松永は身長173.センチと、スーパーウェルター級としては決して大柄ではないが、中島は167センチとさらに小柄。だが、立ち上がりの挑戦者はとにかく速かった。ステップもそうだし、角度のある左フックを多用し、ステップインして打ち込む右ショートも狙い打つ。力感こそ感じられないが、シャープさはあった。「(中島は)速さに特化した選手。パワーは想定内でした」というチャンピオンは、まずは目ならしから始めたのか、序盤はほとんど手を出さなかった。

 潮目が変わる気配は4ラウンドあたりから。それが明白になるのは5ラウンド。プレスを強める松永は、右フックのカウンター、さらに左ストレートを打ち込むと、チャレンジャーの動きはがっくりと落ちていく。パンチと同様、ステップも速く、ヘッドワークによる守りもなかなかのものだったのだが、ここを境にチャンピオンの正面に立ち尽くしての戦いを強いられることになる。

 6ラウンド、再び待ちの体勢となった松永だが、ラウンド終盤に左ストレートを2発。続く7、8ラウンドはワンサイド。いつレフェリーがストップを決断してもおかしくない展開が続く。それが、9ラウンドになるとまたぷっつりと止まる。そのうち、中島の右オーバーハンドが一発当たり、場内がどよめいたこともあった。

 採点は96対94に97対93がふたり。まだプロ5戦目の挑戦者のキャリア、現状の力量差を考えれば、もっと差をつけて勝って当然に思えた。「KOは意識していません。見ている人は倒してほしと思ったかもしれませんが。まだまだでした」と勝者は語る。「世界に足を踏み入れたい? それはそうですが、もっと力をつけないと。ぼくには伸びしろしか見えていません」。その言葉を信じて、次戦の松永に期待したい。19戦18勝(11KO)1敗。中島は5戦4勝1敗。
パワーが自慢のミニマム級、石澤(左)が高田に右をねじ込んだ
パワーが自慢のミニマム級、石澤(左)が高田に右をねじ込んだ

 前座として行われた日本ユース・ミニマム級タイトルマッチは、チャンピオンの石澤開(MT)が高田勇仁(ライオンズ)を2-0の判定で破った。軽打ながらもコンビネーションを連発する高田を、石澤が7勝7KO(1敗)のパワーで押し切る形になった。
両目をカットした竹嶋(左)に阿部の右ジャブがヒット
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 IBF世界フェザー級11位にランクされるサウスポー、阿部麗也(KG大和)はアマチュア経験豊富な竹嶋宏心(緑)に7ラウンド2分42秒で負傷判定勝ち。バッティングで両目脇をカットした竹嶋にストップがかかり、それまでの採点で勝負は決まった。阿部は3ラウンド、左ストレートのカウンターでダウンを奪い、持ち前の鋭さが健在であるところを見せながら、それ以外は平坦な試合運びばかりが目立った。ほとんどの攻めが単打に終わり、コンビネーションにつながらなかったのが気になる。

文◎宮崎正博 写真◎小河原友信

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