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2021-05-02

【陸上】日本選手権女子10000m展望:廣中&鍋島の日本郵政コンビ中心に展開か

優勝争いの中心となる廣中(左)と鍋島の日本郵政グループコンビ 写真/中野英聡(陸上競技マガジン)

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ロングスパートで勝負をかけたい安藤
清水・筒井のヤマダHDコンビも注目

 日本郵政勢に対抗する一番手は安藤だろう。金栗では廣中に16秒77差をつけられたが、ピークを上げられれば縮められない差ではない。1月の京都女子駅伝中・長距離競技会10000mでも、田中希実のスパートに対応できなかった。2月の全日本実業団ハーフマラソンで優勝したときのように、勝機があるとすれば終盤のロングスパートだろう。

 ダイナミックなフォームで走る廣中に対し、コンパクトなピッチ走法の安藤。金栗に続きマッチレースとなれば、対照的な走り方が注目を集める。


独特のピッチ走法で主導権を握りたい安藤

 安藤以外では清水真帆と筒井咲帆のヤマダホールディングス・コンビも優勝争いに加わる可能性がある。

 清水はクイーンズ駅伝1区で佐藤を抑え、廣中に続き区間2位となった。金栗記念は5000mで16分02秒80もかかり安定性に欠けるが、昨年の日本選手権は10月の1500mが6位、12月の5000mが14位。距離を伸ばすことに成功している最中で、この1年で可能性が感じられる選手に成長した。地元開催(静岡県出身)ということにも背中を押されるだろう。

 筒井は全日本実業団ハーフマラソンで安藤に次いで2位。クイーンズ駅伝5区で区間賞を取ったこともあり、単独走になっても崩れない。何かのきっかけで爆発力を発揮できれば、優勝争いに加わってくる。

 39歳の福士加代子(ワコール)もエントリーしてきた。04年アテネは10000m、08年北京と12年ロンドンは5000m&10000m、16年リオはマラソンと、女子選手最多の4大会でオリンピックに出場している選手。北京10000mは11位、ロンドン10000mは10位と世界で実績も残してきた。


4大会連続の五輪出場歴を誇る福士。代表争いに関係なく、その走りに注目が集まる

 昨年の名古屋でマラソン代表入りを逃しても、トラックで15分30秒台と32分10秒台のタイムを残し、クイーンズ駅伝5区では区間2位の走りで健在ぶりを見せてくれた。

 だが金栗記念の10000mは35分03秒23もかかった。その際に自社ホームページで「5月3日まで、時間はないですが今の自分から逃げずに、勝ちたいと思う自分と向き合います」とコメント。

 状況的には厳しいが、挑戦し続ける生き様を見せてくれるはずだ。

文/寺田辰朗

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