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2021-06-09

【陸上】山縣亮太が振り返る9秒95と平均9秒98「身体に倦怠感が残っています」

3日前の布勢スプリントで日本新をたたき出した山縣 写真/早浪章弘(陸上競技マガジン)

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6月6日の布勢スプリントで9秒95の男子100m日本新記録を樹立した山縣亮太(セイコー)が6月9日にリモート会見を行い、改めてレースを振り返り、6月下旬の日本選手権に向けた抱負を語った。

 快挙から3日が経過。あらためて日本新記録を樹立したことについて聞かれた山縣は、「意外と変わらない日々を過ごしている感じですが、たくさんのメッセージをいただいてうれしいです」リラックスした表情で返答。

 布勢スプリントでは決勝での日本新記録のみならず、

 予選でも東京五輪参加標準記録(10秒05)を初めて突破する10秒01をマーク。大会に向けては「5月下旬にスターティングブロックを使った練習でピタッときた」こと、現地入りした大会2日前の練習では、「身体の重心がはまってくれた」と要所で手ごたえをつかんだことで、自信を持って1本目から記録を狙った結果だった。

 あくまで単純計算だが、2レースのアベレージは9秒98。レース直後に山縣自身が「(決勝を)世界大会の準決勝のつもりで走った」と言うようにレース間隔が約2時間だったことを考えると、大きな自信になったことは間違いない。もっとも、ハイパフォーマンスゆえ、「レース翌日は身体がぎゅっと(体の中心部分に)締まるというか、倦怠感が出ていました」と、激走の余韻が体に現れ、今でも残っているという。

 日本陸連科学委員会が発表したレース分析では、山縣の日本新記録樹立時のトップスピードは「秒速11.62m」(55m地点で記録)と、100m9秒台の指針となる「秒速11.6m」を上回るものだった。

 風速は記録が公認されるギリギリの追い風2.0mと恵まれたが、山縣自身は「風速が強いときのほうが走りにくい感覚が以前からある」という。「布勢スプリントの決勝もレース終盤は脚が後ろに流れてしまいました。ただ、矛盾しますが、全体を通してみると腕と脚のタイミングが合うようになったなと思います」と課題と手応えの両面から振り返った。

 過去2年はケガ等で思うようなシーズンを送れなかった山縣だが、今季は初戦から徐々に調子を上げてきた。その一つの要因は今年2月から山縣の母校・慶應義塾大の高野大樹コーチに師事を受けるようになったこと。山縣は学生時代から特定のコーチに付かず、一人で競技を続けてきたが、今季前の冬期練習でもケガが再発し、走りの動きを変えざるを得なくなるなど、苦悩の日々が続いていた。その状況を打開するため、自身が変化することで前進するための新たな決断だった。

 山縣自身が練習を組み立てるスタンスに変わりはないが、高野コーチの視点から意見をもらい、それに対してまた山縣が考え、意見を出す。そのやり取りを重ねるごとに「自分より多くの引き出しを持っている方ですし、自分が思ってもみない部分に課題を見いだしてくれる」と信頼関係を醸成。同時に高野コーチが指導する女子100mHの日本記録保持者、寺田明日香とも練習を共にし、多くの刺激を受けてきた。

「フィジカル、テクニックともに素晴らしいものを持っていて、そういう選手から走りのヒント得る機会があったのは、自分が調子を上げていく要因だったと思います」

 6月24日から始まる日本選手権では決勝3位以内に入れば東京五輪代表に内定する。

「幸運にも五輪参加標準記録を突破できたので、今回の反省を生かして日本選手権に向け、記録を求めつつも3位以内、代表権を取りにいきたい」

 その先にあるのは東京五輪。山縣は2012年ロンドン五輪、16年リオ五輪では100mで自己ベスト更新と準決勝進出を果たし、4×100mRでもそれぞれ4位、銀メダル獲得の中心選手だった。

「今度こそ準決勝で自己ベスト、9秒台を出して決勝に進みたいですし、リレーはリオ以上の結果を残せるように、その一員になれるように頑張っていきたいと思います」

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