close

2021-06-22

【ボクシング】“キャプテン対決”は飯村が勝利/元国体王者・永田がデビュー

左フックの相打ちで勝る飯村(左)

全ての画像を見る
 21日、東京・後楽園ホールでは、元トップアマ選手出場の6回戦2試合が行われた。フライ級では、元・日本大学主将の飯村樹輝弥(23歳=角海老宝石)が元・近畿大学主将の川崎智輝(22歳=SUN-RISE)と、バンタム級は元・国体少年の部ライトフライ級優勝の永田丈晶(ながた・じょうすけ、23歳=協栄新宿)が鶴海高士(つるみ・こうじ、24歳=寝屋川石田)と対戦した。

文_本間 暁 写真_菊田義久

 ソンブレロをかぶって入場する飯村は、ボクシングもメキシカンスタイルそのまま。1月のデビュー戦では鮮やかな初回TKO勝利を飾っており、この試合でもバランスの良い足取りから、迫力あるコンビネーションを打ち込んでいった。
 だが、これがデビュー戦の川崎も負けてはいない。気持ちのこもったワンツーを放ち、飯村との左フックの打ち合いにも応じる。前の手のフェイントの掛け合いも、「さすがキャプテン対決」と思わせる、ひりひりとさせるものだった。

川崎(左)も、デビュー戦とは思えない冷静な攻めを見せた
川崎(左)も、デビュー戦とは思えない冷静な攻めを見せた

 デビュー戦のイメージが強烈すぎた飯村だが、川崎の力量をしっかり把握すると、決して攻め過ぎない。ときに敢えて引いて誘い、右を合わせるなど、この日は巧さも見せた。さらに、ヒザの柔らかさを利用して、巧みに位置取りを変える。気迫では負けない川崎との差はここに表れた。

ソンブレロをかぶり、2勝目を喜ぶ飯村
ソンブレロをかぶり、2勝目を喜ぶ飯村

 判定に持ち込まれた結果は、ジャッジ三者とも58対56で飯村を支持。ともに6ラウンドをフルで戦えたことは収穫で、川崎は若干スタミナで劣ったところも課題となる。

3回、永田は左一撃でダウンを奪った
3回、永田は左一撃でダウンを奪った

 2015年国体優勝の実績を持つサウスポーの永田は、同大会で中垣龍汰朗、松本圭佑(ともに現・大橋)、そして前出の飯村を破っての戴冠。その熊本工業高校時代は、開新高校でトレーニングを積み、同校の同学年で極真空手時代からのライバル重岡優大(現ワタナベ)らと切磋琢磨した間柄だ。

 中央大に進んだ永田は、全国大会での活躍こそ果たせなかったものの、東京五輪出場を賭けた全日本選手権九州ブロック大会でふたたび中垣を破ってもいる。

「卒業して就職して、ボクシングは辞めていましたが、刺激がほしくなって……」と会社近くの協栄新宿ジムに入ったのが昨年6月。かつてのライバル中垣、松本、重岡兄弟らの活躍にも大いに影響を受け、10月にプロテストB級に合格。念願のこの日を迎えた。

ガードの間から右を差し込む永田
ガードの間から右を差し込む永田

 デビュー戦は、これが10戦目(5勝2KO3敗1分)となる鶴海の思い切りのいい左ボディブロー、左右フックに遭い、2回にはダウン寸前となったが、辛くも踏みとどまって逆襲。3回に左一撃で鶴海に尻もちを着かせ、その後は左ストレートを顔面に、左アッパーをボディに再三叩き込んで上回った。判定は58対55、59対54、59対54。

「プロの厳しさを知りました」と永田はにこにこしながら語る。希望していたスリルをいきなり味わったかたちだが、内田洋二トレーナーによれば「本当はフライ級がベスト」。2階級上の試合だっただけに、緊迫感はなおさらである。

右隣りは内田トレーナー。左隣が瀬藤幹人会長、左端が篠原さとしトレーナー。みんなデビュー戦勝利にホッとした表情 写真_本間 暁
右隣りは内田トレーナー。左隣が瀬藤幹人会長、左端が篠原さとしトレーナー。みんなデビュー戦勝利にホッとした表情 写真_本間 暁

 決してセンスに恵まれているわけではない。それは自認している。高校時代、いや空手キッズ以来、コツコツとやり続ける努力型である。キラキラと輝く中垣、松本、重岡たちとは違う歩み方をするだろうが、そんなボクシング道もまたおもしろそうだ。

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事