アメリカンフットボール、Xリーグのオービックシーガルズが6月24日、今季カナダのプロフットボールCFLに挑戦するRB李卓、K山﨑丈路の2選手の壮行会を開いた。壮行会にはファンも参加し、2人は「ファンの皆さんの応援を忘れず、CFLで結果を出して、さらにはNFLへの道を開きます」と、決意を語った。李卓はモントリオール・アルエッツ、山崎はBCライオンズへの入団が決まっている。
壮行会は、JR新習志野駅前で、チームが運営するスポーツジム「VITA BASE（ヴィータベース）」で開かれた。
山﨑は、グローバルドラフトでのライオンズの指名について、直前に指名の連絡はあったが、昨年1年間一度もコンタクトが無かったチームなので少し不安な部分があったという。
ライオンズはグローバルドラフトでは、1巡でオーストラリア人のパンター、3巡で山﨑を指名した一方で、2019年まで在籍していた選手を放出しており、現在ロースターに残っているP1人、K2人はいずれもCFL未経験者。活躍できる可能性は大きい。
山﨑は「スペシャルチームコーディネーターからもかなり期待してもらっている。P、Kが3人いる中で、純正のプレースキッカーは自分１人だけ。違いをはっきり見せつけて正選手のロースター枠を勝ち取るように戦っていきたい」と意気込んだ。
3ダウン制のカナディアンフットボールは、ボールポゼッションが重要なため、パントの役割が大きい。また「ビデオを見た中では、フィールドゴール（FG）トライが7，8回という試合もあった」という。 気を付ける点としては「FGが外れて、リターンという場面もあるので、蹴ったら蹴りっぱなしではなくリターンにも備えたい」と話した。
ライオンズの本拠地、BCプレイス（バンクーバー市）は、ドームスタジアムで、雨や風の影響を受けない。練習では73ヤードのFGを決めたこともある長距離砲の山﨑にとって本領を存分に発揮できそうだ。
李卓は、アルエッツについて、「以前から気になっていたチーム。ユニフォームのカラーリングが（母校の）慶応に似ているということもある」という。アルエッツは、名QBアンソニー・カルビロが引退後の低迷期を脱出し、2019年に久しぶりに勝ち越した。現在のオフェンスの主軸、QBバーノン・アダムスについて「たまたま、オレゴン大学時代から気になって動画を見ていた選手」という。
「アルエッツはRBのランを中心にするオフェンス」と分析。パスについてもWRだけでなく、RBへ投げるものが多く、「自分のレシーブ能力など、いろいろ生かせると思う」と自信を見せた。
NFLのIPPプログラムで、2月から10週間にわたってトレーニングを重ねてきたが、「プラクティススクワッドに残るための練習ではなく、NFLのロースターを勝ち取るための技術を身に着けてきた」という。コーチ役を務めたアーネスト・バイナーは、ランだけでなくパスキャッチやブロックの技術にも優れた万能の名RBだっただけに、「スペシャルチームでのプレーも含めて、IPPプログラムのトレーニングで身に着けた技術や力は、CFLでも必ず役に立つ」と力強く語った。
カナディアンフットボールへの順応という点では、「個々のランプレー、パスキャッチという局面では技術的には同じフットボール。ただ、やはりフィールドが広い（縦に1割、横に2割大きい）ので、（ディフェンスの）人に対する意識だけでなく、スペースを意識して走るのがキーになって来ると思う」と話した。
壮行会では、地元、習志野市の宮本泰介市長や、ジャパンキッキングアカデミーの丸田喬仁さんがビデオメッセージで激励のコメント。さらにチームメートで、かってNFLヨーロッパでも活躍し、アトランタ・ファルコンズのキャンプに2年連続で帯同したWR木下典明が「CFLは通過点で、最終目的はNFL。そのために、日本のアメフトのレベルを世界の皆さんに知らしめるのが重要。個人個人が、「サムライ」という負けない気持ちを持って世界と戦ってください」と画面から檄を飛ばした。
大橋誠ヘッドコーチは「今回、彼らがCFLにチャレンジするというのは、我々の（アメフト）業界では本当に画期的なこと。日本のフットボール界にとって、一つの大きなスタートがやっと切れる。木下選手が言ったように、さらにその次を目指してほしい」とあいさつ。そして、「スポーツの神」として知られる東京・亀戸の香取神宮のお守りを手渡した。
李、山﨑の2人は、7月上旬に米国経由でカナダに渡り、1週間の隔離期間を経て、7月10日にキャンプインする。
