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2021-07-23

競泳日本代表CLOSE UP 渡部香生子 「心の底からメダルを取りたい」

4月の五輪選考会を経て33人が選出された東京五輪の競泳日本代表。3人の選手をクローズアップする。1回目は自由形の渡部香生子(JSS)。※スイミングマガジン2021年7月号掲載記事より抜粋


「1~2回は見ました。だけど、自分でも気持ち良くないですし、良いイメージのものではないので、なるべく見たくはなかったですね」

 東京五輪選考会では100、200m平泳ぎで2冠を獲得し、3回目のオリンピック出場を決めた渡部香生子が、2012年ロンドン五輪、2016年リオ五輪代表のレースを振り返って見ることはあるのかと問われ、こう答えた。

 初めてのオリンピックとなったロンドン大会、リオ五輪ともに準決勝敗退という結果に終わった。

 その後はケガに泣かされた。2017年は前年12月に足首を捻挫。2019年は世界選手権代表を逃し、自信を喪失した。さらに8月末にはトレーニング中に左肘を骨折し、当初は翌2020年4月に東京五輪代表選考会を控えており「絶望的な状況だった」と、振り返る。

 しかし、手術を担当した医師を始め、リハビリに携わった多くの人たちの協力もあり、2020年2月頃には「もしかしたら間に合うかもしれない」という状況にまで回復した。

 この期間が遠回りだったのかといえば、決してそんなことはなかった。精神面で大きく成長することができた。

「リオ五輪後には代表落ちなど苦しいことも経験して、東京五輪では心の底からメダルを取りたい、頑張りたいという気持ちが芽生えました。ただ記録が伸びた、ということだけではなく、苦しいときやプレッシャーを感じても、自分の力を発揮できることが楽しいと思えています」

 これまでの2度の挑戦で結果を残せなかった最大の課題は、もう克服できた。東京五輪が1年延期されたことで、肘の状態も万全に近づいた。あとは、東京五輪に向かうだけだ。

文◎早川大介 写真◎小山真司

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