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2021-08-08

【ボクシング】元王者・奥本、連敗ストップで2年ぶり勝利

奥本の左アッパー。これをもっと使いたかった

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 8日、大阪府・枚方市立総合体育館で行われた53.0kg契約8回戦は、元日本スーパーフライ級王者で現・同級6位の奥本貴之(29歳=グリーンツダ)が、同級12位の仁平宗忍(にへい・そうにん、27歳=ワタナベ)を3-0判定(80対72、78対74、78対74)で破り、連敗をストップ。2年ぶりの勝利を得た。

技術で上回るも、仁平の手数を止められず


 スコア以上の接戦の印象だった。2019年8月以来、ちょうど2年ぶりの勝利となった奥本も「この内容やったら0点」と、苦笑いを浮かべたほどだ。

 これまたちょうど5年前の2016年8月に、ノンタイトル戦で手合わせをしている両者。このときは奥本が2回TKO勝ちしているが、リベンジに燃える仁平の気迫に何度も飲み込まれかけた。

接近して打ち合う両者。スコア以上の接戦の印象だった
接近して打ち合う両者。スコア以上の接戦の印象だった

 サウスポースタイルをさらに半身に構え、右へのターンから、正面が開く仁平に左アッパーカット、左ストレートを送り込んだまではよかった。が、ブレークからの再開でいきなりの右をまともに浴びると、その後は接近戦で仁平の左右ボディブローを食う場面が増えた。

 不器用な仁平に対し、個々の技術では奥本が上回っており、要所で回り込んでスイングをかわし、左ショートを決めていく。だが、仁平の猛烈な手数を止めることはできない。奥本に体勢や思考を整えさせる間を与えずに、仁平は愚直に攻めていく。各ラウンド2分30秒を仁平が攻めまくり、奥本はラスト30秒で印象点を稼ぐ。後半はそういう戦いが続いた。

2年ぶりに勝ち名乗りを受ける奥本だが、浮かれる様子はなく反省の弁
2年ぶりに勝ち名乗りを受ける奥本だが、浮かれる様子はなく反省の弁

「スカッと勝って、またタイトルを! と言いたかったけれど、これでは言えない。また出直します」。久々の勝利の余韻に浸る間もなく、奥本は反省の弁を述べた。
 奥本の戦績は38戦24勝(11KO)10敗4分<※JBC発表では1勝1敗が抜けているが、これはJBCが認める17歳以前の試合をタイで行っているため>。大奮闘を見せた仁平の戦績は18戦10勝(2KO)6敗2分。

ホープ前田は不満の無敗8連勝

この日の前田(左)は攻撃以上に守る技術の確かさを披露した

この日の前田(左)は攻撃以上に守る技術の確かさを披露した

 セミファイナルも、メイン同様にサウスポーのテクニシャン対ファイター。日本フェザー級12位のホープ前田稔輝(まえだ・じんき、24歳=グリーンツダ)と東祐也(あずま・ゆうや、21歳=北海道畠山)の60.0kg契約6回戦は、前田の3-0勝利(59対55、60対54、60対54)。
 超変則スタイルの東が初回に右を当てて前田をたじろがせたが、その後は前田のテクニシャンぶりが際立った。東の左右スイングをターン、ダッキング、ウィービングでかわし続け、左ショートカウンターをヒット。着実にポイントを稼いでいった。

「前回も不甲斐ない試合(ダウンを奪われる判定勝ち)。自分らしい、倒す試合をしたかった。相手のラフな攻めに対応できなかった」と反省しきりの前田。「新たな壁にぶち当たってます」と、苦しい心情を明かす。
 合わせることに主眼を置いた左ストレートは、上体が浮きがち。対して、ほんのわずかだけ見せたボディストレートは重心も落ちていて素晴らしかった。東のラフな攻めに、打ちづらい面はあったろうが、突進を止めるにも、ダメージを与えるにも、もっとストレートボディを見せれば有効だったように思う。5回に少しだけ披露した左右アッパーも、東がそれを見えていないと判断して打ったブロー。だが、“打たせない”を第一に考えて控えたのだろう。それはそれで、正しい選択だったと思う。
 前田の戦績は8戦8勝(4KO)。東の戦績は12戦5勝(1KO)6敗1分。

写真_佐藤真一

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